西陣だより

お薬をただしくのんでいますか?

(この記事は2018年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 牛嶋 麻紀

おくすりは水でのむ方がいいの?

一般的にのみ薬は、コップ1杯程度(約200cc)の水、またはぬるま湯でのむように作られています。ただし、消化酵素剤や消炎酵素剤などのタンパク質でできている薬の場合、あまり熱いお湯で飲むと分解してしまうおそれがあるので注意しましょう。

水なしでのむとどうなるの?

薬を水なしで飲むと溶けにくいため、吸収が遅れ効果が現れにくくなったり、場合によっては、溶けずに便として出てしまうこともあります。薬が効果を十分に発揮するには、薬が溶けて吸収されなければなりません。
 錠剤やカプセル剤を水なしでのむと、食道にひっかかったり、くっついたりすることがあります。そうすると、その場で溶けてしまうことで、食道潰瘍を起こしてしまう場合もあります。また、粉薬などでは、気管から肺に入ってしまい、肺炎を起こした例もあります。

水以外でのむとどうなるの?

コーラやジュース、牛乳などで薬を飲むと、薬の成分にもよりますが、一般的には吸収が遅くなったり、悪くなったりして、効果も薄まる傾向がみられます。緊急の場合を除いては、水以外のものではのまない方がよいでしょう。

例えば・・・
グレープフルーツジュースの場合
グレープフルーツジュースで血圧降下薬(一部のカルシウム拮抗薬)などを飲むと、薬の分解が抑えられて作用が強く出てしまうことがあります。ジュースだけでなく、グレープフルーツの実を食べても、同様の作用が出てしまいます。この作用は3日ほど続く場合があります。
これは、グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン」という物質が薬を分解する小腸の酵素(CYP3A4)の働きを阻害し、薬の分解が遅くなって極端に効き目が強くなってしまうためです。
アルコールの場合
アルコールと同じような作用(眠くなるなど)を持つ精神安定剤や睡眠剤などは、アルコールと一緒だと作用が強まる傾向があります。糖尿病の薬には、低血糖を起こしやすいものもあります。薬は、絶対にアルコールと一緒に飲まないでください。
一般的にアルコールというと、ビール、ウイスキー、ワイン、日本酒などのことを思い浮かべますが、これら以外にも食べ物や飲み物によっては、アルコールを含む物があり、無意識のうちにアルコールを摂取しうる場合があるので注意が必要です。特に、医薬品として市販されているドリンク剤はアルコールを含んでいることもありますので、注意が必要です。

最後に

おくすりはお茶でのんでもかまいません。薬によってはお茶でのんではいけない薬もありますが、その場合は薬剤師が必ず説明します。一番よいのはお水かお白湯ですが、飲み忘れが一番よくありません!

 

 

2018年11月01日