(この記事は2019年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤部 薬剤師 國枝 亜矢香
NSAIDsって、なに?
NSAIDsは、鎮痛薬の種類の1つで、Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugsの略、日本語に直すと「非ステロイド性抗炎症薬」と呼ばれています。代表的なものに、ロキソプロフェンやイブプロフェンという成分があります。お薬手帳や市販薬のパッケージで成分を確認してみましょう。
NSAIDsの副作用ってどうしておこるの?
痛みがある時、身体の中で痛みや発熱の原因物質(プロスタグランディンE2)が作られます。NSAIDsは、この原因物質が作られるのを邪魔して、痛みを和らげたり、熱を下げたりします。また、身体の中には、胃や十二指腸の粘膜を保護するためや腎臓の働きを保つために「血流を保つためのプロスタグランディンI2」が作られています。困ったことにNSAIDsは、E2とI2の違いが分からないため、身体に大切な「プロスタグランディンI2」が作られるのも邪魔します。
つまり、NSAIDsを漫然と服用していたら、消化管粘膜や腎臓を保護してくれるI2が少なくなり、消化性潰瘍や腎機能障害といった症状が出る可能性があります。
どうしたらいいの?
市販薬にも同じようなNSAIDsがあるため、薬剤師にあなたの病状を伝えて、適切な服用方法を聞いてください。また、出血などの重篤な消化性潰瘍や腎機能障害が出現してしまった場合には、NSAIDsを使用できなくなってしまうこともあります。本当にNSAIDsが必要な時に使用できるためにも、説明書の記載量を超えた過剰な服用や、漫然とした服用は避けるようにしましょう。