西陣だより

スキンケアと薬

(この記事は2022年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  薬剤師  大竹 優樹

今回は、皮膚から薬を投与するための貼付薬( 経皮吸収型製剤)による副作用の予防と、皮膚のスキンケアについてご紹介します。

主な経皮吸収型製剤

狭心症や喘息、認知症の治療薬、がん性疼痛や整形外科領域などの慢性疼痛に用いる薬、禁煙外来で使われる禁煙補助剤などさまざまな種類の貼付薬があります。

貼付薬

一般的に、薬を飲みこむのが難しい患者さんにも使用しやすい・血中濃度が長時間に渡って一定に保たれるなどの利点がありますが、一方で皮膚トラブルの副作用が起こることがあり注意が必要です。

薬を開始する前に皮膚の状態を確認する

皮膚が弱い患者さんでは、1週間ほど前から保湿剤を使用し、それから貼付剤を開始すると、皮膚症状による副作用が減少したという報告があります。貼付剤を開始する前に、保湿剤の使用を検討してみましょう。

薬を貼る部分は清潔にする

汗などで濡れているときや汚れがあるときは、清潔なタオルでやさしく拭いてから貼りましょう。

薬を貼る場合は、毎回貼る部位を変える

同じ部位に貼り続けると、角質などが剥がれてかぶれなどが起こりやすくなります。

薬は皮膚に密着させる

●皮膚に貼ったら、手のひらでおさえ薬をしっかり密着させましょう。
●接着面にはなるべく触れないように注意しましょう。

薬を交換するとき

剥がすときは、端をめくり、皮膚が伸びないようにやさしく、ゆっくりと剥がしてください。

皮膚のスキンケア

皮膚を清潔に保つ保清、潤いを保つ保湿、また日差しをさける紫外線防御の3つの要素からなります。保湿剤を塗布するタイミングは入浴後がおすすめです。また1日1回より2回の方が保湿効果は高まります。保湿剤には軟膏・クリーム・ローション・スプレータイプのものなど複数の種類があります。保湿は継続することで強い皮膚を作ることができます。生活スタイルに合わせて続けやすい保湿剤を選択しましょう。暑い夏がやってきましたね。「保清」「保湿」「紫外線防御」に努めて強い皮膚をつくりましょう。

2022年07月01日