西陣だより

トローチについて

(この記事は2024年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  部長  石本 昌裕

今回は「トローチ」にスポットを当ててみましょう。おそらく、皆さんも一度は舐めたことがあると思います。

 のど飴とトローチの違いですが、のど飴には厳密な定義がありません。トローチは口の中でなめて、徐々に溶かすことによって、口や喉の細菌を殺したり増殖を防いだりする目的で使用します。トローチは口の中でゆっくり溶けるようにするため、普通の錠剤より硬く作られています。

トローチの効果とは?

 トローチの主な作用は、口腔内と咽頭の殺菌です。有効成分は消毒剤であり、代表的なトローチである「SPトローチ」の有効成分は、「デカリニウム」です。ほかにも殺菌剤の「塩化セチルピリジニウム」や消炎成分の「アズレンスルホン酸ナトリウム」が代表的です。

トローチは噛まないで

 口腔内や咽頭の殺菌を目的としているので、口の中で長時間とどめておいて、唾液によって溶かす必要があります。比較的錠剤が大きいため、噛み砕きたくなりますが、噛み砕いたり、飲み込んでしまっては効果がありません。必ず、ゆっくりと溶かすことを忘れないでください。トローチの成分は触れた部分にのみ作用しますので、成分が患部に触れる時間が長いほど効果的なのです。正しく使えば、舐め終わるのに7~8分程度かかると思います。なお、使用後30分間は飲食を控えることが推奨されています。

トローチはなぜ穴が開いている?

 唾液に触れる表面積が大きいほど、薬が溶け出しやすいという特徴もあるかと思いますが、本来の目的は、間違って飲み込んでしまい、喉に詰まったというような緊急時でも呼吸ができるように工夫して設計されたものです。

トローチは舐めすぎても大丈夫?

常用しても症状を予防する効果はありません。15歳以上の場合、どの商品も1日6個が上限となっています。1度に2個以上のトローチを使っても効果は上がりません。また、口腔内や腸内の細菌バランスを崩す可能性もあります。
トローチも薬です。注意事項を確認して、正しく使いましょう!

2024年07月01日