(この記事は2024年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤部 科長 牛嶋 麻紀
皆さんは、バイオ医薬品についてご存じでしょうか?最近「バイオ医薬品」というお薬が多く開発され、これまで治療が困難だった病気の治療に貢献し、注目を集めています。
バイオ医薬品は、遺伝子組み換え技術や細胞培養技術を用いて製造したタンパク質を有効成分とする最先端の医薬品で、製造には最新の設備での品質管理が必要とされています。そのため、開発や製造などに費用がかかり、患者さんの医療費負担が高くなってしまうという問題があります。
そこで、特許切れのバイオ医薬品を他のメーカーが開発・販売し、医療費の負担を抑える「バイオ後続品(バイオシミラー)」というお薬が誕生しました。これは、ジェネリック医薬品(後発医薬品)と少し似ています。
バイオシミラーとジェネリック医薬品はどこが違う?
どちらも「新薬特許が切れた後に発売された医薬品」ですが、バイオ医薬品の場合は「バイオシミラー」、それ以外の場合は「後発医薬品」と呼びます。
バイオシミラーは先行バイオ医薬品(先に発売されたバイオ医薬品)と同様に、製造には高度なバイオ技術を用いるため、工程が多く複雑です。さらに、後発医薬品と異なり多くの試験やチェックを行うことが必要とされています。このように開発され、承認されたバイオシミラーは、先行バイオ医薬品と品質がほとんど同じで、同じ効果と安全性が確認された薬剤です。
バイオシミラーの薬価は、原則、先行バイオ医薬品薬価の70%で算定されるというルールがあります。このため、患者さんの経済的負担の軽減や医療費の削減に貢献することが期待されています。西陣病院でもインスリンをはじめ、様々なバイオシミラーを採用しており、治療の質の向上、医療費の削減に貢献しています。