(この記事は2023年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤部 薬剤師 寺崎 真帆
一般成人の30~40%が何らかの不眠症状を有していて、不眠症は国民病と言われています。今回は身近な睡眠に関するお薬のお話です。
ドラッグストアで購入できる薬と、病院で処方される薬の違いは?
ドラッグストアで購入できる薬は睡眠改善薬と呼ばれ、睡眠薬とは異なります。アレルギー薬などの眠たくなる副作用を利用し、一時的な不眠症状を緩和します。
病院の処方薬は中枢神経系の機能に作用することで日常的な不眠症状に効果があり、医師の診断による処方が必要です。
睡眠薬の種類について
現在よく処方されている睡眠薬は、大きく3つに分類されます。
- GABA受容体作動薬
脳の興奮を抑える神経伝達物質であるGABAの働きを促すことで、脳の活動を休ませます。作用時間の違いにより不眠の症状に合わせて使い分けることができ、服用後の効果を実感しやすいです。依存性、耐性(薬の効きが徐々に悪くなること)等の副作用に注意が必要です。
- メラトニン受容体作動薬
体内時計のリズムを整える神経伝達物質であるメラトニンを刺激することで自然な睡眠を促します。依存性や耐性の副作用が少ない一方で、効果を感じるまで2週間ほど必要です。
- オレキシン受容体拮抗薬
覚醒を維持する神経伝達物質であるオレキシンを抑えることで自然な睡眠を促します。副作用で悪夢を見ることがあります。
ご自身の服用されている睡眠薬についてご質問があれば、医師・薬剤師までご相談ください。不眠の改善には、まず生活習慣の見直しをすること、そして睡眠薬を正しく服用することが大切です。医師の指示通りに服用すること、自己中断しないこと、お酒と一緒に服用しないことを守りましょう。