(この記事は2020年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
糖尿病の方は予備群も含めると2000万人いるといわれており、健康診断で血糖値が高いことを指摘されている方はたくさんいます。今回は血糖値が高いことで何が問題となるのか、どう対応すればよいのかをお話しさせていただきます。
特に症状がないから放っておいて大丈夫?
初期の糖尿病はほとんど症状がなく、「糖尿病だと言われたけれど何も困っていない」と医療機関を受診されない方は沢山いらっしゃいます。国民健康・栄養調査では「糖尿病が強く疑われる人」であっても約4人に1人は治療を受けていない、あるいは治療中断しています。特に30歳代では6割が受診や治療していないとの報告もあります。ある程度病状が進むと口喝・多飲・多尿といった症状がでてきます。症状がなくても3大合併症といわれる神経障害、網膜症、腎症は進んでいき、また動脈硬化が進むことで心筋梗塞、脳梗塞、認知症、癌などのリスクも上がってきます。
糖尿病は早期発見・早期治療が重要です
糖尿病は早期ほど治療効果が高い疾患です。「放っておいたら良くなった」などということはありませんし、治療を先延ばしにすればするほど、合併症のリスクが高まります。また、お金がかかるために受診されない方もいますが、合併症が進行するとさらに治療費はかかり、金銭的にも早期から治療した方が経済的です。
まずは病院に来て相談して下さい
健康診断で空腹時血糖や食後血糖が高い場合は、医療機関を受診しHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)という過去1-2か月の平均の血糖の指標となるマーカーを測定してください。空腹時血糖126mg/dl以上、食後血糖200mg/dl、HbA1c 6.5%以上では糖尿病が強く疑われます。糖尿病の種類や原因は人によって様々で、当然病気の進行具合も人によって様々です。癌や内分泌の異常によって血糖値が高値となることもあります。血糖値が高くなる初期の段階で発見し、適切な治療を続ければ、合併症の大部分は予防できるとされており、まずは医療機関を受診ください。