西陣だより

日本最古の糖尿病患者とは?

(この記事は2024年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

内科 医長
福井 麻優子


 

  日本最古の糖尿病患者は誰でしょうか。その答えは現在放送されている大河ドラマでおなじみの 藤原道長 です。源氏物語の主人公である光源氏のモデルといわれ、栄華を誇った道長も裏では糖尿病の合併症に苦しんでいました。今回は糖尿病の歴史と当院での糖尿病に対する取り組みを少しご紹介させていただきます。

 

 藤原道長といえば「この世をば 我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」という歌で有名です。この歌の意味は欠けることのない満月のようにこの世はすべて自分のもの、といったところでしょうか。道長がこの歌を詠んだころには権力は絶頂期でしたが、かなり健康状態は悪くなっていたようです。「日がな一日水を飲み、けれど口の渇きが収まらない。元気はないが、食欲はある」と記載されており、糖尿病の症状と酷似しています。望月の句を詠んだ際もほとんど目が見えなくなっていたといわれており、50代で糖尿病の症状がかなり進んでいたと考えられます。

 平安時代の貴族は3日とあけず宴会が催されており、甘酒や果物などを食べてハイカロリーな食生活であったようです。貴族の生活が運動不足であったことも原因と考えられます。また、藤原摂関家(道長の血筋)は「飲水という病で亡くなった」という人の記録が多々あり、「糖尿病になりやすい体質が遺伝していたのでは?」ともいわれています。

 権力の絶頂にあった道長ですら苦しんだ糖尿病ですが、現在は早期発見・早期治療によって糖尿病でない方と同じ寿命、ADLを保つことが可能になっています。当院での糖尿病に対する取り組みをご紹介させていただきます。

外来での活動

糖 尿 病 外 来 糖尿病の評価、治療、各種検査(外来での注射開始、血糖測定、必要時リブレ・リブレプロなどの連続グルコース測定も行っています。)
看 護 外 来 インスリンや血糖測定(リブレも含む)の指導、糖尿病に関する説明、各種相談。
フットケア外来 看護師による足のチェック・ケア(毎週火曜日)
薬剤師による指導 インスリン導入指導
透析予防指導 腎機能悪化の予防のため、医師・看護師・栄養士による指導

糖尿病教室

 毎週金曜日の14~15時に様々なテーマで行っております。

糖尿病デーのイベント

毎年11月14日の世界糖尿病デーに伴い、当院でもイベントを行います。是非御参加下さい。
日 時 11月16日(土)、13時半~15時
場 所 西陣病院本館地下2階
内 容 ミニレクチャー・クイズ大会・体操教室動脈硬化チェック・各種相談コーナー

 


2024年07月01日