(この記事は2023年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤部 薬剤師 神﨑 円花
腰痛や関節痛、捻挫などに効果的な湿布ですが、病院で処方されるもの以外に、ドラッグストアなどで手軽に購入できるものもあります。温湿布と冷湿布は何が違うのでしょう。
様々な湿布が売られていますが、「温かく感じる温湿布」と「冷たく感じる冷湿布」のどちらを使用するのか、迷った方も多いのではないでしょうか。それぞれ『冷やすもの』と『温めるもの』と勘違いされている方も多いのではないでしょうか。
温湿布と冷湿布
温湿布はカプサイシン(唐辛子成分)やノニル酸ワニリルアミドの効果で血流を増やして温かく感じさせる、冷湿布にはメントール、サリチル酸メチル、ハッカ油等の効果で清涼感を持たせるという違いがあります。
どちらも貼ると、ヒヤッとしますよね。いずれも水分が入っており、貼ると気化熱の作用で熱を奪い、体表面の温度を下げます。これらの成分は、実際に患部を冷却したり温めたりする作用が
あるわけではないので、ご自身の好みで選ぶといいでしょう。
湿布薬に『冷感』や『温感』とあっても、実際に痛みそのものを改善する成分は、どちらの湿布も「インドメタシン「」ケトプロフェン」「フェルビナク」等の抗炎症・鎮痛作用のある成分です。薬としての効果は全て同じ。冷湿布と温湿布でまったく同じものが配合されている商品もあります。湿布等の鎮痛消炎薬は、これらの成分を皮膚から吸収させ、炎症や痛みを抑えています。
この痛みは、冷やす?温める?
基本的には、「痛みが出始めたばかりの急性期には強い炎症を抑えるために氷や保冷剤などで冷やす」「慢性的に痛みが出る場合には、ホットタオルやカイロなどで温めて血行を改善する」ことで、それぞれの痛みは緩和されやすいと考えられています。