(この記事は2023年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤部 薬剤師 楠 斐未
高血圧の薬が処方されたときに、薬剤師から「グレープフルーツジュースを飲まないでくださいね」と言われたことはありませんか?
薬とグレープフルーツ
グレープフルーツに含まれる“フラノクマリン類”という成分は、医薬品を代謝(分解)する酵素の働きを阻害して、薬の効果を強めたり、副作用を出やすくしたりすることが知られています。フラノクマリン類は、果皮>果肉>種の順に多く含まれています。そのため、ジュースや果肉だけでなく、果皮を使用したジャムなどにも注意が必要です。グレープフルーツジュースによる影響は、個人差はありますが、十数時間~数日持続するため、影響がある薬を飲んでいる場合は、グレープフルーツジュースを飲まないようにしなければなりません。
影響を受ける代表的な医薬品
● カルシウム拮抗薬(血圧を下げる薬)
アムロジピンやアゼルニジピンなど
● 免疫を抑える薬
シクロスポリンやタクロリムスなど
● コレステロールを下げる薬
アトルバスタチンやシンバスタチンなど
グレープフルーツ以外の柑橘類は大丈夫か
● 影響が大きい柑橘類 グレープフルーツ、ハッサク、ブンタン、スウィーティー、ダイダイ、レモンの果皮など
● 影響が小さい柑橘類 ポンカン、スダチ、伊予柑、柚子、カボス、ネーブルオレンジ、レモンの果汁など
● 影響がない柑橘類 温州みかん、デコポンなど
同じ種類で同様の効き目をもつ薬の中でも、柑橘類によって影響される薬と影響されない薬があります。どうしてもグレープフルーツの摂取を諦められないという方は、代替可能な薬がないか、医師や薬剤師に相談してみましょう。