(この記事は2018年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
皮膚科 部長 坂元 花景
足の水虫は、カビの一種(白癬菌)が皮膚に感染して起こる病気です。水虫は自然治癒は期待できませんので、抗真菌剤の外用や内服でしっかり治しましょう。
水虫は春から夏にかけて増え、冬には減ります。長時間の革靴や長靴の着用や、プールや銭湯の利用がリスクを高めます。足の指の間や裏がふやけたり、皮がむけたり、爪が分厚く濁ったりするのが主な症状で、痒いと思われていますが、痒みを伴うのは約1割に過ぎません。ただし、こうした症状がすべて水虫なわけではありません。皮膚科では、病変部の皮膚を採取し、顕微鏡で白癬菌を確認して診断します。同じような症状の病気は他にもあるため、診断を受けることは大事です。
足の水虫を治すには、足の指の間から裏全体に、1日1回、最低1ヶ月は薬を塗ります。症状が消えても2ヶ月は外用を続けましょう。塗る前に足を洗うことも大事です。お風呂だけではきれいにならないので、歯を磨くのと同様「あえて洗う」という意識を持ちましょう。白癬菌はスリッパやバスマットによくいるので、うつし合わないように注意も必要です。一方、爪の水虫は外用薬では治療が難しく、爪が生え変わるまで1年半程度、毎日塗る必要があります。抗真菌剤を内服することで約半年で治療が可能ですが、まれに肝臓をいためることがあり、定期的な血液検査が必要な場合もあります。外用、内服のどちらを選ぶかは、年齢や他の病気にもよりますので、ご相談下さい。水虫の病変から細菌が侵入し、感染症や潰瘍を引き起こすこともあるので、たかが水虫と放置せず、早めの治療をお勧めします。特に糖尿病や透析の患者さんは壊疽に結びつく可能性が高いため、積極的に治療を受けた方がよいでしょう。