(この記事は2018年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
外科 副部長
高木 剛
腹腔鏡手術のなかでも更にキズを小さくした鼠経ヘルニア修復術を行っています
当院の低侵襲腹腔鏡下鼠経ヘルニア修復術(TAPP法)
当院では2010年から積極的に腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術(TAPP法)に取り組んでいます。当院の特徴としては、必要最小限の切開創で行う低侵襲腹腔鏡手術を行っています。胆嚢摘出や虫垂切除のような臓器摘出が必要な場合は小さな一つの切開創で行う単孔式腹腔鏡手術を行っていますが、鼠径部ヘルニアの場合は修復に必要なメッシュが腹腔内(お腹の中)に挿入できれば良いため、腹部に留置するポートと呼ばれる器具の直径を小さくした手術を行っています。
一般的には、直径12㎜ポートと5㎜ポートを併用した方法で行われていますが、当院では最大でも5㎜ポートとし、3㎜ポートを併用したキズを小さくした方法で行っています。これにより、手術後のキズは目立たないだけでなく、何より痛みが非常に少ないため鎮痛剤の使用が殆どなく、その結果として早期退院・社会復帰が可能となります。ただ全身麻酔を必要とするため、術後管理の安全面から手術後は最低1泊入院をして頂いております。
手術に必要な切開を最小としたうえで、合併症を起こさせないよう、より安全な腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術を行っています。