西陣病院だより

日本列島 ”食” めぐり「兵庫県」

(この記事は2022年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 竹島  綾香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

ハモすき

 ハモの名産地として有名な淡路島ならではの食べ方にハモすきがあります。初夏から夏にかけて旬を迎える淡路島のハモは、「はも延縄」と呼ばれる漁法で一匹一匹を丁寧に釣り上げられ、傷が少なく金色の美しい魚体をしていることから「べっぴん鱧」や「黄金鱧」などと呼ばれています。また、ハモすきに欠かせない淡路島産の玉ねぎは、一般的な玉ねぎに比べ、糖度が高く甘いのが特徴です。ハモすきでは脂がのり甘みがあるハモの身を、ハモの旨味と玉ねぎの甘みが合わさった上品なだしで味わうことができます。

(1人分)エネルギー 212kcal/たんぱく質24g/塩分2.1g ※ つゆは1/2量で計算

材料 (4人分) 作り方

●ハモ・・1匹
●玉ねぎ・・ 中2個
●だし汁・・ 800ml
●薄口しょうゆ・・ 70ml
●みりん・・ 70ml
●昆布・・ 10g

< ハモだしのとり方(あらがない場合は昆布のみでも可)>

①ハモのあらを軽く湯通し(霜降り)する。
②水1000mlに①と昆布を入れ、沸騰する前に昆布を取り出す。
③アクを取りながらひと煮立ちさせる。

< ハモすきの作り方 >

①ハモは骨切したものを2~3cm幅に切る。玉ねぎは半月切りにする。
②鍋にだし汁、薄口しょうゆ、みりん、玉ねぎを入れて火にかける。
③玉ねぎに火が通ったら、ハモを入れる。身が白くなり、ふんわり開けば食べ頃です。

※ お好みの野菜やきのこを入れても美味しく食べることができます

 

2022年07月01日

スキンケアと薬

(この記事は2022年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  薬剤師  大竹 優樹

今回は、皮膚から薬を投与するための貼付薬( 経皮吸収型製剤)による副作用の予防と、皮膚のスキンケアについてご紹介します。

主な経皮吸収型製剤

狭心症や喘息、認知症の治療薬、がん性疼痛や整形外科領域などの慢性疼痛に用いる薬、禁煙外来で使われる禁煙補助剤などさまざまな種類の貼付薬があります。

貼付薬

一般的に、薬を飲みこむのが難しい患者さんにも使用しやすい・血中濃度が長時間に渡って一定に保たれるなどの利点がありますが、一方で皮膚トラブルの副作用が起こることがあり注意が必要です。

薬を開始する前に皮膚の状態を確認する

皮膚が弱い患者さんでは、1週間ほど前から保湿剤を使用し、それから貼付剤を開始すると、皮膚症状による副作用が減少したという報告があります。貼付剤を開始する前に、保湿剤の使用を検討してみましょう。

薬を貼る部分は清潔にする

汗などで濡れているときや汚れがあるときは、清潔なタオルでやさしく拭いてから貼りましょう。

薬を貼る場合は、毎回貼る部位を変える

同じ部位に貼り続けると、角質などが剥がれてかぶれなどが起こりやすくなります。

薬は皮膚に密着させる

●皮膚に貼ったら、手のひらでおさえ薬をしっかり密着させましょう。
●接着面にはなるべく触れないように注意しましょう。

薬を交換するとき

剥がすときは、端をめくり、皮膚が伸びないようにやさしく、ゆっくりと剥がしてください。

皮膚のスキンケア

皮膚を清潔に保つ保清、潤いを保つ保湿、また日差しをさける紫外線防御の3つの要素からなります。保湿剤を塗布するタイミングは入浴後がおすすめです。また1日1回より2回の方が保湿効果は高まります。保湿剤には軟膏・クリーム・ローション・スプレータイプのものなど複数の種類があります。保湿は継続することで強い皮膚を作ることができます。生活スタイルに合わせて続けやすい保湿剤を選択しましょう。暑い夏がやってきましたね。「保清」「保湿」「紫外線防御」に努めて強い皮膚をつくりましょう。

2022年07月01日

転倒して痛い時は迷わず整形外科へ

(この記事は2022年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

整形外科 医員
中村 恵



 日本は超高齢化社会となり、転倒し整形外科を受診される方が増えています。骨折は場合によっては生活レベルを大きく落とす可能性があり、適切な治療が必要です。今回は生活レベル、骨折の診断および治療の流れについて簡単に説明させていただきます。

 

 2020年の日本人の平均寿命は男性が 81.64歳、女性が87.74歳と年々更新しており、超高齢化社会となっている現状です。平均寿命が伸び続けている中で重要であるのが日常生活動作( Activities of Daily Living 以下ADL)です。ADLには基本的日常生活動作( basic ADL: BADL)と手段的日常生活動作( instrumental ADL : IADL )があり、特にBADLは日常生活における基本的な着替え、食事、トイレ、移動、風呂・整容といった動作のことを指し、生活レベルに大きく関わってきます。整形外科的にADLの低下の主な原因として骨折があります。超高齢化社会による骨粗しょう症の増加、また筋力低下による転倒などの外傷の増加により骨折は高齢者でよくみられる疾患となっています。人の体には約200本の骨があり、骨折をすると身体的な機能の低下につながり、ADLの低下につながります。骨折は骨折部位、骨折の形状、年齢、性別、生活背景により治療方針が異なり、その患者様に適した治療が必要です。骨折の診断の流れとしては、まずは問診、痛い部位の診察、それに応じた単純レントゲン検査をメインとした画像検査を施行致します。明らかな骨折があった場合は、それに応じて必要であればCT・MRI検査などのさらに詳しい検査を施行致します。単純レントゲンではわからない骨折もあるため、痛みや腫れが強く疑わしい場合は同様にさらなる精査を行います。検査が終わると、治療方針を決定します。骨折の治療には手術による治療、手術をしない保存療法に大きく分けることができ、手術が望ましい場合はそれに向けた準備を、保存療法が望ましい場合は三角巾、ギプス・コルセットなどを装着し定期的に外来でフォロー致します。 手術を選択する理由としては、転位(ずれ)が大きく骨が癒合せず疼痛が持続する可能性が高い寝たきりにならないよう早期離床および歩行訓練が望ましいもの(大腿骨の骨折など、③痛みを軽減するため、などが挙げられます。

 ただ、私たちが簡単に手術といっても、患者様の立場からすると手術は非常に怖いものであることが多く、しっかりと患者様の立場にたってご理解いただけるような説明をすることを心掛けております。骨折は診断が遅れると治療が困難になることもあり、ADLの低下を避けるためにも早期診断、早期治療が望ましいです。ですので、怪我をして痛い、腫れていることがあれば迷わず整形外科を受診してください。そして日常生活レベルを落とさないよう一緒に治療していきましょう。

 

 

 

 

2022年07月01日

高齢者の糖尿病短期入院について

(この記事は2022年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

糖尿病内科 部長
矢野 美保


  糖尿病の方は、経過や糖尿病の状態により、合併症や併発症を認めることが多いとされています。普段から自分の状態を知ることも大切ですね。当院では、65歳以上の方を対象に高齢者特有の合併症も含めて評価する短期入院を行っていますのでぜひ御利用ください。糖尿病の治療の目標は糖尿病のない人と変わらない寿命と生活の質の実現を目指すことと言われています。糖尿病があると、ない方に比べて、網膜症・腎症・神経症・動脈硬化などの合併症以外にも併発症としての骨粗鬆症・認知症なども多いと報告されています。一方で、治療の進歩に伴って、以前より糖尿病の合併症の発症が抑制されているとの報告もあります。日常から自分の合併症の状態を確認できればよいですね。西陣病院では、2週間の糖尿病教育入院以外に65歳以上の方を対象とした短期(2泊3日)の合併症評価の入院を行っています。

 

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは骨の量(骨量)の減少や骨の性質(骨質)の悪化により、骨が弱くなり骨折しやすくなる病気です。糖尿病では骨密度だけでなく、骨質が悪化していると言われています。当院ではDXA(デキサ)法というX線を用いる方法で、骨密度だけではなく骨質も評価出来ます。

サルコペニア

サルコペニアとは加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指します。糖尿病ではサルコペニアになりやすく、サルコペニアでは糖尿病も悪化しやすいと言われています。体組成の検査で筋肉量を測定し、握力や歩行速度の計測で評価出来ます。

認知症

糖尿病ではアルツハイマー型認知症や脳血管型認知症になりやすいと報告されています。アルツハイマー型認知症は大脳の表面と海馬(記憶をつかさどる部位 )の萎縮を認めます。脳病変の有無はMRI、脳の血管の状態はMRA、海馬の萎縮はVSRAD(ブイエスラド)という検査方法で評価出来ます。

高齢者の短期入院で行う項目

● 一般検査(血液・尿検査・胸部X線・心電図)
● 骨密度
● 頭部MRI・MRA・VSRAD
● 頸動脈エコー・心エコー・ABI(動脈硬化・心臓の機能の評価)
● 腹部CT(膵臓や肝臓などの評価)
● InBody(インピーダンス法による筋肉量や体脂肪等の体組成の測定)
● 看護師による認知機能の簡易評価・嚥下機能 の確認
● 薬剤師による服薬確認・指導
● 管理栄養士による食事内容確認・簡易型自記式・食事歴法質問票(BDHQ)による食習慣の分析や、その改善に向けた具体的なアドバイス
● 理学療法士による筋力などの評価

※短期入院のため、血糖調節は行いません。

入院の結果をふまえて、なにか治療が必要な場合は退院後、主治医による処方の追加や必要時他科に相談して治療法を考えます。ぜひ、短期入院を活用してみて下さい。御希望の方は糖尿病内科にお問い合わせ下さい。

2022年07月01日