西陣病院だより

日本列島 ”食” めぐり「秋田県」

(この記事は2023年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 白岡 咲

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

豆腐カステラ

 「豆腐カステラ」とは水分を切った豆腐を砂糖や卵などを混ぜてカステラ状に焼いた菓子。秋田の県南地域に伝わる豆腐料理で、冠婚葬祭の口取り、おやつやお茶請けとして食べられてきました。豆腐の風味を残したしっとりとした食感が特徴です。

(1人分)エネルギー 185kcal/たんぱく質8.7g/塩分0.5g

材料 (卵焼き器1回・6人分) 作り方

●木綿豆腐・・2丁(600g)
●砂糖(上白糖)・・ 100g
●全卵・・2個 100g 
●片栗粉・・ 40g
●食塩・・ 2g

< 作り方 >

①木綿豆腐をレンジで温める。もしくは鍋に入れ水から沸騰直前まで温める。
②木綿豆腐を布袋に入れ軽く水気をしぼり、裏ごしする。
③砂糖(上白糖)、卵、片栗粉、塩を加え、よく混ぜ合わせる。※フードプロセッサーで全材料を攪拌してもOK。
④卵焼き器に流し、片面を弱火で25分、裏返してもう片面を20分焼く。

 

2023年03月01日

薬の飲み忘れなどにより、ご自宅に残っている薬(残薬)はありませんか?

(この記事は2023年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  薬剤師  植村 有加

 病院や診療所などから処方された薬の飲み忘れや飲み間違い、服用時間が生活習慣にあっていない、薬の管理が出来ていないなどにより自宅に残薬があれば、かかりつけ薬剤師や医師に相談しましょう。

薬を飲み忘れた場合の対処法 

▶薬の飲み忘れに気づいた時は「すぐに」飲みましょう。 
 飲んだ場合は、次に飲む薬の時間の間隔をあけるようにしますが、その対処方法はかかりつけ薬剤師に相談しましょう。

特殊な飲み方の薬を飲み忘れた場合
 ① 週1回、月1回の骨粗鬆症の薬…翌日の起床時に飲んでください。次回は、決められた日どおりに服用しましょう。
 ② 食前・食直前の薬…食事中に気づいたら、すぐに飲んでください。食後に気づいた場合は、その回の服用は避けましょう。

お薬を飲み忘れないための対策

● 家族に声かけをしてもらう

● 食事とともに、お薬を準備する習慣をつける

● 心不全手帳や抗がん剤の治療日記、カレンダーなどに、チェックを書き込んでいく

● ピルケースやお薬カレンダーを利用する

● 一包化(お薬を飲むタイミングごとにひとつにまとめる)してもらう

● 食事の回数など、ご自分のライフスタイルに合っていない時は、医師や薬剤師に相談する

残薬がある場合は、かかりつけ薬局で相談しましょう

 かかりつけ薬局を活用して残薬を見直すことにより、処方日数及び服用回数の調整(再利用)や、飲み忘れ対策等が可能な場合もあります。主治医に「残薬がある」と伝えられなかった時は、かかりつけ薬局で相談してください。
 残薬確認や相談には、持参した残薬だけではなく、かかりつけ薬局で記録しているあなたの薬の記録(薬歴)も使用するため、かかりつけ薬局で相談することをお勧めします。

2023年03月01日

透析センター開設50周年を迎えて

(この記事は2023年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

腎臓・泌尿器科 部長 透析センター長
小山 正樹



 

 当院の透析医療は1972年(昭和47年)7月、3名の透析患者さんの維持透析からはじまりました。その後医療機器の開発、設備拡充、スタッフ育成などにより現在は約370名の患者さんの透析治療にあたっております。おかげをもちまして昨年は透析センター開設50年を迎えました。

 

 血液透析とは腎不全状態にある患者さんの血液を体外に出し、人工腎臓を用いて血液をきれいにする治療です。当院で透析が開始された頃はコイル型の人工腎臓を使用しており、洗濯槽ほどの大きさの装置で膜が破れ血液が漏れること(リーク)がしばしばあったそうです。その後現在も使用されている中空糸型ダイアライザーが登場し膜リークが激減しました。透析液は清浄化が改良されオンラインHDFと呼ばれる治療法では、通常で使用される透析液を補充液として用いられるまでになりました。

 それから合併症の一つに手根管症候群があり、治療法としては手根管開放術が主流だったのですが、その原因物質であるβ2-mg を吸着する治療法としてリクセルという医療材料が1996年に発売されたこと、先ほどのHDFの普及と透析液清浄化により手根管症候群を呈する患者さんが激減しました。腎性貧血については輸血が第一選択だったため輸血によるC 型肝炎を罹患する患者さんが増加したのですが、1990 年に登場した造血剤によりC 型肝炎患者が減少しました。またインターフェロンの登場、抗ウイルス薬の開発によりC 型肝炎はほぼ完治できるまでになりました。

 施設としては、患者数増加にあわせて旧本館 3 階に第 1透析室、同 2 階に第2透析室、同4階に第3透析室を設置していましたが、2007年本館増改築に伴い本館2階に115床のワンフロア化をオープン(現在125床)し、利便性、効率性、安全性が向上いたしました。本館 3 階には病棟からベッドのままで搬送可能な入院透析 8 床を設置し患者さんおよびスタッフの負担軽減を実現しました。ベッド間隔も広くなり快適性も向上しました。

 また2010年には以前から懸念していた避難訓練を新型コロナの感染が広まる前の年まで毎年開催してきました。透析治療としては保険収載されている治療全域を実施し、循環動態の不安定な患者さんへの持続的血液透析や潰瘍性大腸炎の治療法である顆粒球除去療法などの特殊症例にも対応しております。また透析通信システムを採用し、コンピュータを活用した透析管理を実施しております。内シャントについては当院にて作成し、狭窄や閉塞時などの血管拡張術にも対応しております。また当院では慢性腎臓病とよばれる慢性に悪化する腎臓病にも積極的に介入を行い、CKD外来の開設、CKD教育入院などを実施し、永く腎臓 が機能できるようサポートを行っております。腹膜透析については隔週木曜にC APD 外来を開設、腎臓移植については他施設と提携しております。

 当院は内科をはじめ外科・整形外科などを有する総合病院で、透析患者さんの透析以外の治療においても早期に対応可能となっております。透析医療は医師、看護師、臨床工学技士などの医療専門職 が協力し合うことが必要です。これからもより安全で安心して透析を受けていただけるように 努力邁進いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

2023年03月01日

「前立腺肥大症に対する」ツリウムレーザー 前立腺蒸散術(ThuVAP)

(この記事は2023年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

副院長 腎臓・泌尿器科
今田 直樹



 

 2020-2022年、日本でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が医療界に多大な影響を及ぼしました。特に良性疾患の手術に対しては抑制的な方向であったと思います。2019 年に認可を受けた前立腺肥大症の新しい治療レーザー機 Quanta Cyber TMを同年7月に日本第 3号機として導入いたしました。さあこれからという時にコロナ禍に巻き込まれました。

 

 ThuVAPは2017年のヨーロッパ泌尿器科ガイドラインでは既に推奨グレードAと認められている治療法で、2017年日本泌尿器科ガイドラインでもBに認められています。次回の改定では恐らくA評価になると思われます。日本においてもホルミウムレーザー(A評価)、グリーンライトレーザー(A評価)、半導体レーザー(C1評価)に次いで徐々に増加しています。Quanta Cyber TMは2022 年末までに日本で 34 施設に、一昨年には東京慈恵会医科大学病院、昨年には東京医科歯科大学病院に導入され、高度医療施設にも評価されつつあります。

 さて、前立腺は外腺と内腺で構成されており、前立腺肥大症とは内腺が肥大することです。ミカンを想像してください。外腺は皮の部分で、肥大した内腺が実の部分です。正常な前立腺はスダチぐらいの大きさでしょうか。尿道がその真ん中を縦に貫通していて、肥大症になれば尿道が圧迫され排尿困難などの症状が出現するのです。前立腺肥大症の手術の目的は肥大した内腺を取り除くことです。開腹手術では、皮を切って実を丸ごと取り出すイメージです。夏ミカンぐらいに成長した肥大症が適応です。多くは通常の経尿道的前立腺手術で対応できます。尿道から切除鏡を挿入し、電気メスで少しずつ切除していきます(上右図)。この手術もとても良い手術ですが、近年、前立腺手術に電気メスに代わってレーザーを使って蒸散治療する方法が普及しつつあります。

 前立腺のレーザー治療の特徴は、術中および術後の出血リスクが非常に低く、抗血栓療法中の方(血液サラサラ薬内服中の方)にも行なうことが可能で、術後の痛みが少なく、回復も早く、術後の尿道カテーテルの留置期間も短くて早期退院が可能となります。

 当院が導入したツリウムレーザー(下写真)の特徴は、水分子(全ての生体組織に存在する)に対する吸収率が高く、蒸散効率が手術当初から最期まで落ちることなく一定に保たれます。軟部組織を迅速に焼灼/切断しつつもレーザービームの組織への深達度は 0.1-0.2mmと限定的で、周辺組織に対する影響が少なくて安全です。また他のレーザーと比較して最高出力200Wのハイパワーであり、全サイズの前立腺肥大症に有効であることがヨーロッパ泌尿器科ガイドラインでも証明され治療適応範囲の幅が拡大し、次いで術後合併症の発生率が低いことも報告されています。
内服治療だけでは十分に症状が改善しない方、内服継続をしたくない方、手術を受けたいが入院期間の問題で手術をためらっている方には非常に適している治療法ではないでしょうか。いつでもお気軽にご相談下さい。

2023年03月01日