西陣病院だより

日本列島 ”食” めぐり「東京都」

(この記事は2023年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 須惠 裕子

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

深川めし

 「深川めし」とは東京都の郷土料理で、ネギと生のあさりを味噌でさっと煮て汁ごとご飯にかける「ぶっかけ」と、あさりとお米を一緒に炊き込む「炊き込み」があります。もともとは漁師たちが仕事の合間にさっと食べることができるぶっかけがルーツであるとされていますが、現在は炊き込みごはんタイプが主流となっているようです。

(1人分)エネルギー 275kcal/たんぱく質8g/塩分1.9g

材料 (4人分) 作り方

●お米・・2合
●あさり(殻付き)・・ 200g
●生姜・・10g 
●濃口醤油・・ 小さじ2
●酒・・大さじ1
●塩・・小さじ1/3
●だし汁・・350~400ml

< 作り方 >

①あさりは砂抜きする。米は炊く30分前に洗って、ざるにあける。生姜は千切りにする。
②鍋に、あさり・酒・醤油を入れ、蓋をしてあさりの口があくまで煮る。
③炊飯器に米、②の煮汁のみを入れる。だし汁を2合の目盛りになるまで注いで、塩を加えて炊く。
④殻からあさりの身を出しておく。
➄ご飯が炊きあがったら、あさりの身、生姜を加えて混ぜる、10分程度蒸らして出来上がり。

 

2023年07月01日

温湿布と冷湿布ってどっちがいいの?

(この記事は2023年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  薬剤師  神﨑 円花

 腰痛や関節痛、捻挫などに効果的な湿布ですが、病院で処方されるもの以外に、ドラッグストアなどで手軽に購入できるものもあります。温湿布と冷湿布は何が違うのでしょう。

 様々な湿布が売られていますが、「温かく感じる温湿布」「冷たく感じる冷湿布」のどちらを使用するのか、迷った方も多いのではないでしょうか。それぞれ『冷やすもの』と『温めるもの』と勘違いされている方も多いのではないでしょうか。

温湿布冷湿布

 温湿布はカプサイシン(唐辛子成分)やノニル酸ワニリルアミドの効果で血流を増やして温かく感じさせる、冷湿布にはメントール、サリチル酸メチル、ハッカ油等の効果で清涼感を持たせるという違いがあります。

 どちらも貼ると、ヒヤッとしますよね。いずれも水分が入っており、貼ると気化熱の作用で熱を奪い、体表面の温度を下げます。これらの成分は、実際に患部を冷却したり温めたりする作用が
あるわけではないので、ご自身の好みで選ぶといいでしょう。
 湿布薬に『冷感』や『温感』とあっても、実際に痛みそのものを改善する成分は、どちらの湿布も「インドメタシン「」ケトプロフェン」「フェルビナク」等の抗炎症・鎮痛作用のある成分です。薬としての効果は全て同じ。冷湿布温湿布でまったく同じものが配合されている商品もあります。湿布等の鎮痛消炎薬は、これらの成分を皮膚から吸収させ、炎症や痛みを抑えています。

 

 

この痛みは、冷やす?温める?

 基本的には、「痛みが出始めたばかりの急性期には強い炎症を抑えるために氷や保冷剤などで冷やす」「慢性的に痛みが出る場合には、ホットタオルやカイロなどで温めて血行を改善する」ことで、それぞれの痛みは緩和されやすいと考えられています。

2023年07月01日

快適な排便のために

(この記事は2023年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

皮膚・排泄ケア
特定認定看護師
多氣 真弓




  「毎日、便がでない…私は便秘なんだ。」と思っている方は多いと思います。慢性便秘症診療ガイドラインでは、便秘を「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。

 

 毎日便がでなければ便秘だと思っている方の中には、下剤を飲んで便を出すことに目が向いて、「快適に」ということにはあまり関心がない方もいらっしゃるのではないでしょうか。排便の量や回数には個人差があります。量や回数よりも排便後に「すっきりした」と思えることが大切ですでは、快適な排便をするためにはどうしたらよいのでしょう。

 

 

 毎日、適度な運動をして、食物繊維、発酵食品、乳酸菌を努めて摂取して腸内環境を整えるようにしている方も多いと思いますが、排便の姿勢を意識したことはありますか?排便に最もよい姿勢は和式のトイレにしゃがむ蹲踞位(そんきょい)ですこれは肛門と直腸の角度が広がるために便が出やすくなるというものです。最近では、和式のトイレも少なくなり、年齢を重ねると「和式のトイレはちょっと…」という方も増えてきます。洋式のトイレでは図のように前かがみに座ると直腸と肛門の角度が広がり、肛門括約筋が緩みます。また、かかとを少し上げて足先をつけることで腹圧がかけやすくなります。足が床につかない場合は足台を置くとよいでしょう。快適な排便のために生活習慣を見直すと同時に排便の姿勢も見直してはいかがでしょうか?

2023年07月01日

便秘について

(この記事は2023年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

消化器内科 医長
鈴木 俊生


 

  皆さんの中にも便秘でお困りの方も多いのではないでしょうか。日々の外来にも多くの患者さんがいらっしゃいますが、中には浣腸や摘便を要する状態の方もおられます。今回は便秘について、少し詳しくお伝えしたいと思います。

 

 平成28年の国民生活基礎調査では、便秘症の方は男性2.5%、女性 4.6 %でした。80歳以上に限ると男女ともに10%を超えています。
 日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」とされています。慢性便秘症ガイドライン(2017年)では便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。つまり、毎日排便がなくてもすっきり違和感なく排便ができていれば問題はありません。便秘はその原因によって図のように分類されます。

 

器質性便秘

 便が通過できない物理的な原因が大腸自体にあるものを器質性便秘といいます。大腸癌、腸閉塞、Crohn病に伴う狭窄などが原因となります。突然の排便障害と、腹部膨満感、腹痛、嘔気・嘔吐などの症状が生じます。緊急を要することもあり、大腸カメラやCTによる精査が必要となります。

症候性便秘

 内分泌疾患、膠原病、神経疾患などが原因の便秘のことです。基礎疾患の治療が必要になります。

薬剤性便秘

 抗うつ薬、向精神病薬、抗コリン薬(ぜん息、頻尿、パーキンソン病などの薬)、鎮咳薬、抗がん剤などの副作用による便秘や、下剤の乱用による便秘のことです。

機能性便秘

 検査で器質的異常がない便秘です。①弛緩性便秘、②痙攣性便秘、③直腸性便秘に分けられ、慢性便③の多くを占めます。生活習慣と関連が強く、食生活や生活様式の改善が肝要です。補助的に薬物療法を併用します。

弛緩性便秘
大腸を動かす筋肉が緩み、ぜん動運動が弱まり、便がスムーズに運ばれずに便秘になります。朝食をとらないことや、運動不足による便秘もこれに含まれます。

② 痙攣性便秘
ストレスなどの影響で、大腸の一部で痙攣性収縮が持続すると、ぜん動運動に連続性がなくなり便の輸送に時間がかかり過ぎて便秘になります。このタイプには刺激性下剤は症状を悪化させるため原則的には使用しません。

③ 直腸性便秘
習慣性便秘とも呼ばれます。便意をがまんする習慣により直腸のセンサーの感度が低下し、便意を催さなくなります。また、温水洗浄便座の水を肛門の奥まで入れることも原因となります。一時的に排便反射を誘発する座薬、浣腸が用いられます。

便秘の治療薬について

 この数年でいくつかのあらたな便秘のお薬が登場しています。小腸から水分を分泌させて便を柔らかくしたり、自身の胆汁酸と呼ばれる消化液を使うことで便を柔らかくし腸の動きをよくして便秘を改善させる薬などで、既存の治療で改善しない場合に用います。便秘には適切な薬の選択が必要です。まずは外来で気軽にご相談ください。


2023年07月01日