(この記事は2023年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤部 薬剤師 岩佐 優里香
冬の前触れを感じる季節になりました。朝夕の冷え込みが厳しくなり、体調を崩しやすく、風邪を引きやすい時期です。今回は市販薬の風邪薬について、お話したいと思います。
風邪とは?
医学的には「風邪症候群」といい、上気道(鼻やのど)の急な炎症の総称です。風邪の原因は約90%がウイルスであり、粘膜から感染して炎症を起こします。それによりくしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、発熱といった症状が起こります。風邪薬は風邪を直接治すのでなく、症状を緩和させる目的で作られています。従って、症状に合わせたお薬の選択が必要になります。
症状とそれにあった成分について
現在よく処方されている睡眠薬は、大きく3つに分類されます。
- 熱を下げたり、頭痛を抑える成分
解熱鎮痛剤というお薬です。アセトアミノフェンやイブプロフェンなど。NSAIDs(例ロキソプロフェンなど)と呼ばれるものは腎機能が低下している方には注意が必要です。
- 鼻水や鼻づまりを改善する成分
抗ヒスタミン剤というお薬です。クロルフェニラミンマレイン酸塩やクレマスチンフマル酸塩など。副作用で眠気を引き起こすことがあります。
- 咳を止める成分
鎮咳剤というお薬です。ジヒドロコデインやメチルエフェドリンなど。
- 痰を出しやすくする成分
去痰剤というお薬です。ブロムヘキシンやカルボシステインなどがあてはまります。
- のどの痛みなど炎症を抑える成分
抗炎症剤というお薬です。トラネキサム酸など。
腎機能が低下している方やその他疾患によってはよくない成分が含まれていることがあります。また、病院で処方されるお薬と同じ成分や効果のものが含まれていることがあるため、市販薬を購入される場合はおくすり手帳を持参するなど薬剤師に相談するようにして下さい。数日間市販薬を服用しても症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。