西陣病院だより

季節の”食”めぐり

(この記事は2025年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

 3月3日は五節句の一つ「上巳(じょうし・じょうみ)の節句」別名「桃の節句」「ひな祭り」です。今回は、ひな祭りにまつわる食べ物について紹介します。 ※それぞれ諸説あります

菱 餅 

 下から「緑・白・桃」の三色の餅を重ねたものが定番です。ひし形は、魔よけの力があるといわれるヒシの実をモチーフにしたもの。緑色は大地、白色は雪、ピンク色は桃を表し、雪の下に新芽が芽吹いて、桃の花が咲くという意味があります。緑色▷健康や長寿、白▷清浄、ピンク▷魔除けの願いがこめられているともいわれています。

ひなあられ

 関西地方では丸形のしょっぱい&甘いあられ、関東地方では米粒型の甘いポン菓子、と味や形が異なります。

ちらし寿司

 ちらし寿司そのものにはいわれはありませんが、縁起の良い具材がお祝にふさわしいとされているようです。

●え び・・・・・腰が曲がるまで体が丈夫という意味で長生き
●れんこん・・・ 複数の穴が開いていることから、将来が見通せる
●豆・・・・・・ マメにはたらく

はまぐりのお吸い物

 はまぐりは二枚貝で、対になっている貝殻同士しかピッタリ重ならないので、何事にも相性のよい相手と結ばれて、仲睦まじくすごせるようにとの意味があります。

 

2025年03月01日

心不全のお薬について紹介します

(この記事は2025年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 大竹 優樹

 心不全は全身に血液を送る心臓の機能が低下し、息切れや体のむくみを生じる病気で、高齢者のうち5人に1人がかかる一般的な病気です。一度発症すると再発を繰り返しながら心臓の機能が徐々に低下していく予後の悪い病気です。病状を進行させないよう、食事や体調管理とともに、薬を適切に服用する必要があります。

Fantastic4とは?!!

心不全の内服薬は主にFantastic4と呼ばれる、4種類の薬を併用し、心臓を守ります。

      1. ARN(Iエンレスト)
        血圧を下げ、体内に貯まる水分量を減らし、心臓への負担を軽くして心不全の悪化を抑制します。
      2. SGLT2阻害薬 (フォシーガ、ジャディアンス等)
        腎臓でグルコースの積極的な排泄を促し、水分量の調節などによって心不全を改善します。
      3. β遮断薬(カルベジロール・ビソプロロール等)
        心臓の過剰な収縮や心拍数を下げ、心筋の酸素需要を減らし、心臓の疲弊を抑えます。
      4. MRA(スピロノラクトン・ミネブロ等)
        血圧を下げ利尿を促し心血管系の保護効果をもたらします。

     この4剤を併用する治療法は、従来の治療法より生命予後が延伸するとされています。心不全の治療は薬が多くなる印象があるかもしれませんが、これら4剤を併用することが、病状を進行させないためには必要です。他にも利尿薬や血圧の薬が処方されることがあります。

    薬の管理について

     管理が難しいと感じた時は、服用回数を減らせないか、家族や介護者が服用に関わる場合は、その方たちが介入しやすい時間帯の用法に変更できないかなど、診察時に相談してみましょう。保険薬局では一包化や飲み忘れてしまった場合の残薬の整理、複数の医療機関で処方された薬の管理方法など相談してみましょう。心不全の治療は薬や食事など気を付けるべきことがたくさんあり、負担に感じられることもあるかと思います。病院で心不全手帳を受け取られた方は、心不全手帳・お薬手帳を保険薬局や訪問看護、デイサービスの方等とも共有して、体重や経過を確認してもらいましょう。たくさんの人と一緒に治療して心臓を守っていきましょう。

2025年03月01日

【開催報告】第5回 上七軒ICLSコース

(この記事は2025年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

 2024 年11月24日(日)に、西陣病院で第 5 回上七軒 ICLSコースが 開催されました。ICLSとは突然の心停止に出会った時にどのように対処すべきかということで、京都府立医科大学 救急医療学の武部弘太郎先生をコースディレクターとしてお招きし、ICLSコースを修了した当院のスタッフが、インストラクターとして受講者に指導を行いました。
 今回の講習会は受講者12名で、医師、看護師、放射線技師、臨床工学技士、また他施設から看護師の受講がありました。蘇生についての知識や技術の講義を受け、実際にトレーニング用人形を用いて蘇生術を学んでいきました。受講生は真剣な眼差しで講義を受け、患者さんの急変の場面で慌てずに実施できるよう繰り返し蘇生のトレーニングを行いました。

     

2025年03月01日

世界糖尿病デーのイベントを行いました

(この記事は2025年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

世界糖尿病デーのイベントを行いました

 11月14日はインスリンを発見したカナダのバンティング博士の誕生日で、糖尿病の予防、治療、療養の喚起を推進することが世界的に行われています。当院でも昨年の11月16日(土曜日)にイベントを行い、通院中の患者さんやその御家族、また他院通院中の方も含めて、多数の方に御参加いただき盛況に終わることが出来ました。糖尿病に関する講演・クイズ大会・体操教室を前半に行い、後半は各ブースにわかれて動脈硬化の検査・医療相談(腎症について)・血糖・血圧測定や足のチェック・咀嚼に関する栄養相談・薬剤相談などを行いました。皆様の笑顔で糖尿病チームのスタッフまでもが楽しい時間を過ごせました。今年もまた秋に開催したいと思いますのでぜひまた御参加いただければと思います。

2025年03月01日

腹腔鏡下胃切除手術

胃をできるだけ残す、体に優しい胃がん手術

(この記事は2025年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

外科医長
大橋 拓馬

 

 

胃がんの治療では、がんを取り除くだけでなく、手術後の生活の質(QOL)も大切です。当院では「根治性を保ちながら、小さい傷で、できるだけ胃を残す」方針で患者さんに適した治療を行います。また進行した胃がん、転移を伴う胃がんにも積極的な治療を行っています。

胃を温存する手術とは?

 胃を切除すると、食事量の減少や体重減少が避けられません。特に胃全摘術では生活の質に影響を与えます。そこで当院では「小さい傷でできるだけ胃を残す」方針で治療を行います。通常なら胃全摘とされるケースでも、「胃亜全摘術」や「噴門側胃切除術」を腹腔鏡手術( 小さい傷の手術 )で行い、胃をできるだけ残す方法を採用しています。
胃亜全摘術▶胃の上部にある胃がんに対する手術で、逆流防止機能や食欲を調整するホルモンを分泌する部分を残せるため、胃全摘より術後の栄養状態や生活の質が向上すると報告されています。
噴門側胃切除術▶胃の上部や食道胃接合部のがんに対する手術で、胃の約半分を温存できます。食道と残った胃をつなぐ際に逆流を防ぐ工夫を行うことで、術後の食事摂取、生活の質を保つよう努めています。

進行胃がんにも積極的な治療を

 進行した胃がんや転移がある場合でも、積極的な治療を行っています。
術前化学療法▶大きなリンパ節転移がある場合、手術前に抗がん剤治療を行い、がんを小さくしてから手術を行う方法を採用しています。
コンバージョン手術▶転移があるため手術が難しいと診断された患者さんでも、化学療法によって転移が消えた場合には手術が可能になることがあります。

患者さんひとりひとりの疑問にお答えします

 がんの治療には何より早期発見が大切です。そのためにもまずは胃カメラの検査を受けてみてください。胃がんと診断された場合はいろいろな不安や疑問が出てくることでしょう。「胃は全部取るの?」「どのような手術が適しているの?」といった疑問にも、「手術の傷の痛みは?」「術後の生活はどうなるの?」という不安にも、ゆっくり丁寧にお答えします。患者さんとじっくり話し合いながら、最適な治療を一緒に考え、サポートしていきますので、どうぞ安心してご相談ください。

2025年03月01日