西陣だより

全腎的治療を心掛けて

(この記事は2019年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

腎臓・泌尿器科 部長
透析センター長
小山 正樹

明けましておめでとうございます。皆様には穏やかに新年を迎えられたことを謹んでお喜び申し上げます。腎臓・泌尿器科は、排尿障害、尿路結石症、尿路感染症や腎尿路系の癌の治療を行う泌尿器疾患と腎臓病疾患や血液透析・腹膜透析の腎代替療法を治療の柱としております。慢性腎臓病にも力を入れておりまして、腎不全の進行抑制、透析の導入を回避するために、慢性腎臓病外来を設けており、慢性腎臓病教育入院なども行っております。

腎不全の治療としては、血液透析および腹膜透析療法を透析センターで行っております。透析ベット数は133床であり、最大532人まで治療可能な全国でも有数の設備を有する施設であります。
治療内容も血液透析(HD)のみならず、血液濾過透析(HDF)、オンラインHDF、持続HDF、血漿交換、血液吸着療法、血漿吸着療法などのあらゆる血液浄化療法も積極的に治療を行っております。

腎臓・泌尿器科は、他の病院ではない一診療科で腎臓・尿路に関するすべての治療を行っております。尿を作る腎臓、尿を排泄する尿路、尿が作れなくなったら腎代替療法といったすべての腎臓・尿路系疾患を内科領域・外科領域を共に診ていくTotal Kidney Therapy をモットーに治療しておりますので、今後も皆様のお力になればと考えております。今年も何卒よろしくお願いします。

 

2019年01月01日

生き方探求・チャレンジ体験

(この記事は2019年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

看護部 科長
兵頭 美香子

平成30年11月5日(月)から8日(木)の4日間、京都市立西京高等学校附属中学校より2名の生徒さんが、「生き方探求・チャレンジ体験」に来られました。医師・薬剤師・臨床工学技士・看護師の仕事を見学・体験していただきました。「初めて病院での仕事を見学したり体験して、とても勉強になりました」との感想が聞かれ、貴重な体験ができたのではないでしょうか。生徒のみなさん、4日間お疲れさまでした。

 

 

 

 

 

2019年01月01日

市販の胃薬について

(この記事は2019年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 主任 福本 郁子

外食の機会が多い年末年始を過ごされて、胃の調子がなんとなく悪く、市販の胃薬を買い求められる方もおられると思います。
今回は、市販の胃薬についてお話します。

胃薬の種類には、

H2ブロッカー、制酸薬、健胃薬、消化薬、鎮痛鎮痙薬などがあり、これらが組み合わさっていたり、粘膜修復成分が含まれた複合胃腸薬があります。

H2ブロッカー

医療用でも使用されているファモチジンなどを主成分としており、胃酸の分泌を抑える作用が強い薬です。胃酸が多く出すぎた時の症状(胃痛、胸やけなど)に対して使用されています。
第1類医薬品ですので、購入時に薬剤師からの説明を受ける必要があります。相互作用をおこす薬もありますので、服用している薬があれば伝えてください。

制酸剤

炭酸水素ナトリウムや酸化マグネシウム、合成ヒドロタルサイトなど胃酸を中和させる成分が入っています。ナトリウムやマグネシウム、アルミニウムを使用しているものが多く、高血圧や腎臓の働きが弱くなっている方は避けるのが望ましいとされます。

複合胃腸薬

消化を助ける消化酵素や胃粘膜保護成分、胃の働きを促す健胃成分が含まれているので、胃の働きが慢性的に弱い場合に使用されることが多いようです。

 

市販の胃薬には、たくさんの種類があります。すでに医療機関から薬を処方されている方は、その中に胃薬が含まれていることもあります。服用している薬や緑内障・前立腺肥大・高血圧などの疾患があれば、薬剤師に相談してください。
また、3~5日くらい服用しても症状が変わらなかったり、慢性的に市販の胃薬を使用している方は、一度医療機関を受診してください。

 

 

2019年01月01日

日本列島 ”食” めぐり「福島県」

(この記事は2019年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 須惠 裕子

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

西陣病院、福島県

~こづゆ~

「こづゆ」は福島県会津地方の郷土料理です。会津藩のごちそう料理として生まれ、現在もお正月や冠婚葬祭など特別な日にかかせないおもてなし料理となっています。干し貝柱で出汁をとり、野菜などを加えた薄味のお吸物で、会津塗りのお椀でいただきます。具沢山の材料の数は、縁起の良い奇数が習わしのようです。名前の由来は「小吸物」から変化したもので、「かいつゆ」とも呼ばれていたそうです。

●こづゆ 1人分: エネルギー80kcal たんぱく質8.0g 塩分1.6g
材料 (4人分) 作り方

干し貝柱 40g
干し椎茸 4枚
(貝柱・干し椎茸の戻し汁) 3カップ
きくらげ 4g
里芋 160g
人参 80g
しらたき 1袋
豆麩 12ケ
淡口醤油 大さじ1
塩 小さじ1/4
酒 大さじ1

※何杯おかわりしても失礼にならない、
という習慣を考慮し多めの量に設定しています

  1. 干し貝柱、干し椎茸は水で一晩戻す。戻した貝柱は細かくほぐし、椎茸は軸を除いてさいの目切りする。
     (戻し汁はだしとして使用する)
  2. きくらげは水で戻し、石づきを除いて小さめにちぎる。
  3. 人参・里芋は1㎝厚さのいちょう切りにし、下茹でする。
  4. しらたきは3㎝長さに切り、熱湯でサッと茹でておく。
  5. 豆麩は水で戻し、水気を切る。
  6. 鍋に入れた戻し汁に、豆麩以外の材料を入れ火にかける。
  7. 調味料を加え、味をととのえ、最後に豆麩を加える。
※アレンジ例
 干し貝柱が手に入りにくい場合は、ホタテの水煮缶を代用してもよいでしょう(その場合は煮汁ごと使用しましょう)

 

 

2019年01月01日

NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)をご存知ですか?

(この記事は2018年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 内科 副部長 中村 英樹

内科副部長
中村 英樹



みなさん、NASH(ナッシュ)という病気をご存知ですか?
脂肪肝なら聞いたことがあるという方は多いと思いますし、中には健診などで脂肪肝と言われたことがある方もおられるかもしれません。

脂肪肝は飲酒など様々な原因でおこりますが、近年ほとんどお酒を飲まないにもかかわらず、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧など、いわゆる生活習慣病が原因で脂肪肝を発症するケースが増えています。これを非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)といいます。その多くの方は単純な脂肪肝(NAFL)で、これは比較的予後良好な疾患ですが、NAFLD の患者さんのうち約20%の方は肝臓に炎症や線維化があり、肝硬変や肝がんに移行する予後不良のものです。これが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)です。日本でも広く認識されるようになったのはここ20年ほどのことですが、生活習慣病の蔓延とともに注目を集めています。

肝がんの原因疾患としてはC型肝炎が有名ですが、最近新しい内服の抗ウイルス薬が登場し、ほとんどのC型肝炎患者さんは治ってしまいますので、C型肝炎ウイルスが原因の肝がんは今後減少していくと考えられます。その一方で生活習慣病患者さんの増加に伴い、このNASH からの肝がんが今後増えてくるだろうと予想されています。

日本人では成人男性の30%以上、女性の20%近くがNAFLD で、NAFLD は1,000~1,500万人いると考えられ、そのうちの20%(200~300万人)がNASH と言われています。わが国ではここ10年間でNASH 患者さんが倍増しています。つまり、早急な治療を必要とする患者さんが、自覚症状のないままに生活を送っているケースが非常に多いのです。

健診などで脂肪肝を指摘されたとき、単純な脂肪肝なのか、NASH なのかを判別するには、入院して肝生検(肝臓の組織を採取して顕微鏡で調べる検査)を行い、炎症や線維化があるかないかを確認する必要がありますが、最近は血液検査や特殊な超音波検査といった、より身体に負担が少ない判別方法が研究、開発されてきており、今後当院でも積極的に取り入れていこうと考えています。

また、肝臓の線維化を抑えて、肝硬変や肝がんへの進行を抑えようという新しいお薬の開発も進んでおり、有望な治療薬として期待されています。

まずは脂肪肝にならないように、食生活に気を付けたり、運動習慣を身に付けるなど、生活習慣を見直して予防していくことが最も大切ですが、脂肪肝を指摘された方は、是非一度主治医の先生にご相談ください。

 

2018年11月01日

足の水虫について

(この記事は2018年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


皮膚科 部長 坂元 花景

足の水虫は、カビの一種(白癬菌)が皮膚に感染して起こる病気です。水虫は自然治癒は期待できませんので、抗真菌剤の外用や内服でしっかり治しましょう。

 

 

水虫は春から夏にかけて増え、冬には減ります。長時間の革靴や長靴の着用や、プールや銭湯の利用がリスクを高めます。足の指の間や裏がふやけたり、皮がむけたり、爪が分厚く濁ったりするのが主な症状で、痒いと思われていますが、痒みを伴うのは約1割に過ぎません。ただし、こうした症状がすべて水虫なわけではありません。皮膚科では、病変部の皮膚を採取し、顕微鏡で白癬菌を確認して診断します。同じような症状の病気は他にもあるため、診断を受けることは大事です。

足の水虫

足の水虫を治すには、足の指の間から裏全体に、1日1回、最低1ヶ月は薬を塗ります。症状が消えても2ヶ月は外用を続けましょう。塗る前に足を洗うことも大事です。お風呂だけではきれいにならないので、歯を磨くのと同様「あえて洗う」という意識を持ちましょう。白癬菌はスリッパやバスマットによくいるので、うつし合わないように注意も必要です。一方、爪の水虫は外用薬では治療が難しく、爪が生え変わるまで1年半程度、毎日塗る必要があります。抗真菌剤を内服することで約半年で治療が可能ですが、まれに肝臓をいためることがあり、定期的な血液検査が必要な場合もあります。外用、内服のどちらを選ぶかは、年齢や他の病気にもよりますので、ご相談下さい。水虫の病変から細菌が侵入し、感染症や潰瘍を引き起こすこともあるので、たかが水虫と放置せず、早めの治療をお勧めします。特に糖尿病や透析の患者さんは壊疽に結びつく可能性が高いため、積極的に治療を受けた方がよいでしょう。

 

 

2018年11月01日

透析センター避難訓練

(この記事は2018年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

透析センター
災害対策委員会

10月14日(日曜日)に、本館2階透析センターにおきまして透析患者さん対象の避難訓練を実施しました。今回で9回目となる訓練には、患者さんとそのご家族計29名の参加に加えて、2施設より看護師・臨床工学技士をお迎えし見学していただきました。
「透析治療中に火災が発生し、治療を中止して避難・誘導を体験していただく」という設定で実施しました。透析センターでは日頃から、透析治療中にトイレ休憩をとられる際、患者さんと透析機器を離す手技を行っております。その手技は緊急時の手技と同じにしておりますので、普段から緊急時の訓練を行っているということになります。スタッフは離脱手技を普段通り実施し、患者さんを安全に1階に避難誘導しました。また今回の訓練では、試験的に離脱手技を変更した方法でも実施しました。参加された患者さんからは、「毎年参加しても忘れていることが多く、参加して理解が深まりよかった」「訓練でも一度体験しておくと気持ち的に安心できました」「火災を想定した訓練なので煙対策が必要」などの感想、ご意見をいただきました。患者さんの中には、独りで歩ける方ばかりではなく、杖歩行や車イスを使用している方もおられます。そのような方の避難誘導はスタッフが付き添う、またエアーストレッチャー(写真)を使用し安全に配慮して行うことが重要です。医師・看護師・臨床工学技士が目配り、気配り、声かけを行いながら、参加された全員がケガなく無事に避難訓練することが出来ました。災害時は気が動転してしまい、どうしたらいいのか分からなくなることがあるかもしれません。そのような不安を取り除くことができるよう避難訓練を継続していきたいと考えます。

透析センター避難訓練

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年11月01日

お薬をただしくのんでいますか?

(この記事は2018年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 牛嶋 麻紀

おくすりは水でのむ方がいいの?

一般的にのみ薬は、コップ1杯程度(約200cc)の水、またはぬるま湯でのむように作られています。ただし、消化酵素剤や消炎酵素剤などのタンパク質でできている薬の場合、あまり熱いお湯で飲むと分解してしまうおそれがあるので注意しましょう。

水なしでのむとどうなるの?

薬を水なしで飲むと溶けにくいため、吸収が遅れ効果が現れにくくなったり、場合によっては、溶けずに便として出てしまうこともあります。薬が効果を十分に発揮するには、薬が溶けて吸収されなければなりません。
 錠剤やカプセル剤を水なしでのむと、食道にひっかかったり、くっついたりすることがあります。そうすると、その場で溶けてしまうことで、食道潰瘍を起こしてしまう場合もあります。また、粉薬などでは、気管から肺に入ってしまい、肺炎を起こした例もあります。

水以外でのむとどうなるの?

コーラやジュース、牛乳などで薬を飲むと、薬の成分にもよりますが、一般的には吸収が遅くなったり、悪くなったりして、効果も薄まる傾向がみられます。緊急の場合を除いては、水以外のものではのまない方がよいでしょう。

例えば・・・
グレープフルーツジュースの場合
グレープフルーツジュースで血圧降下薬(一部のカルシウム拮抗薬)などを飲むと、薬の分解が抑えられて作用が強く出てしまうことがあります。ジュースだけでなく、グレープフルーツの実を食べても、同様の作用が出てしまいます。この作用は3日ほど続く場合があります。
これは、グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン」という物質が薬を分解する小腸の酵素(CYP3A4)の働きを阻害し、薬の分解が遅くなって極端に効き目が強くなってしまうためです。
アルコールの場合
アルコールと同じような作用(眠くなるなど)を持つ精神安定剤や睡眠剤などは、アルコールと一緒だと作用が強まる傾向があります。糖尿病の薬には、低血糖を起こしやすいものもあります。薬は、絶対にアルコールと一緒に飲まないでください。
一般的にアルコールというと、ビール、ウイスキー、ワイン、日本酒などのことを思い浮かべますが、これら以外にも食べ物や飲み物によっては、アルコールを含む物があり、無意識のうちにアルコールを摂取しうる場合があるので注意が必要です。特に、医薬品として市販されているドリンク剤はアルコールを含んでいることもありますので、注意が必要です。

最後に

おくすりはお茶でのんでもかまいません。薬によってはお茶でのんではいけない薬もありますが、その場合は薬剤師が必ず説明します。一番よいのはお水かお白湯ですが、飲み忘れが一番よくありません!

 

 

2018年11月01日

日本列島 ”食” めぐり「熊本県」

(この記事は2018年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 竹島 綾香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

~いきなりだご~

いきなりだごとは、輪切りにしたさつまいもと小豆あんを小麦粉の生地で包んで蒸しあげる郷土菓子です。「だご」とは熊本の言葉で「団子」を意味し、「いきなり」は「簡単」、「手軽」などを意味します。「いきなりだご」は「いきなり」作れること、急な来客があっても「いきなり」出せることなどからそう呼ばれています。さつまいもは収穫直後よりも、2~3か月貯蔵したほうが甘みが増します。
冬の甘味が増したさつまいもを使って作ってみてはいかがでしょうか。

 

●いきなりだご 1人分: エネルギー141kcal たんぱく質2.7g 塩分0.5g
材料 (4個分) 作り方

さつまいも(直径5cm程度) 4cm
薄力粉 70g
ぬるま湯 大さじ2+1/2
塩 小さじ1/3
つぶあん(こしあん) 60g

  1. さつまいもの皮をむき、厚さ1cmに切り面取りしたあと、水にさらす。
  2. ぬるま湯に塩を溶かし、小麦粉を入れ、よくこねる。なめらかになったらぬれ布巾をかけ、30分程ねかす。
  3. (2)を4等分にして薄くのばし、中央にあんをのせ、さつまいも1個をかぶせる。
  4. 生地をのばしてさつまいもを包む。
  5. 蒸し器にぬれぶきんを敷き、団子を並べ、20~25分ほど強火で蒸しあげる。

 

2018年11月01日

気管支内視鏡検査について

(この記事は2018年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


内科 医員 平井 聡一

皆さん、気管支内視鏡検査(気管支ファイバースコープ)という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
気管支鏡内視鏡検査は胃カメラや大腸カメラのように検診で実施することがないためにご存知ない方が大半ではないでしょうか。ここでは気管支鏡検査で一体どんなことができるのかをご紹介させて頂きます。

 

従来我が国の三大死因は悪性新生物、心疾患、脳血管疾患とされてきました。近年は高齢化に伴い死因別統計では悪性新生物、心疾患、肺炎が右肩上がりとなっています。その中でも悪性新生物の内訳としては肺がん、胃がん、肝がんが順に挙がります。気管支鏡検査はこの中の肺がんを診断するために必要不可欠な検査の1つなのです。またそれ以外にも原因不明の感染症やその他呼吸器疾患、膠原病疾患の診断にも有用な検査です。では、一体どういった場合に実際に気管支鏡検査を実施していくのかを下記に示します。

  1. 痰に血が混じった場合
  2. 原因不明の咳が長く続く場合
  3. 胸部レントゲンやCT 写真で肺に異常陰影がみられ、肺がんや感染症、炎症などが疑われる場合
  4. 喀痰検査でがん細胞を疑う所見が見られる場合
  5. その他、肺、気管支に異常が疑われる場合

 

肺がん治療には外科治療(手術)、放射線治療、化学療法という3本柱があります。もし気管支鏡検査によって肺がんの確定診断がつけば、他の画像検査結果と合わせて総合的に判断して、患者さん一人一人にどの治療が最適な治療となるかを判断していきます。特にここ数年の間には遺伝子解析技術の進歩に伴って化学療法の治療選択肢は急速に増加しています。患者さんのご希望に沿って実際にどのようなタイプの遺伝子変異があるかどうかも気管支鏡検査で採取した組織検体を用いることで調べることができます。

気管支鏡検査で診断できる疾患

  • 悪性新生物(肺がん、転移性肺がん、悪性リンパ腫 など)
  • 感染症(細菌、真菌、一部のウイルス など)
  • アレルギー疾患(アレルギー性肺アスペルギルス症、過敏性肺炎 など)
  • 間質性肺炎(器質化肺炎、好酸球性肺炎 など)
  • サルコイドーシス
  • 肺胞蛋白症 など

患者さんへ

気管支鏡検査は1泊2日入院で実施させて頂いております。入院当日は午前中に入院して頂き、入院後は採血やレントゲン、心電図、肺機能検査など検査前に必要な検査を実施します。午後には気管支鏡検査を実施します。検査時間のおおよその目安は30 ~ 60分です。検査中は出来る限り患者さんの負担・苦痛が軽減する目的に鎮静剤を使用します。検査終了後は副作用の有無を確認して問題がなければ翌日に退院して頂けます。

近隣の先生方へ

気管支鏡検査の必要性があるかどうかについては当院呼吸器内科が窓口となっています。症状や画像所見でお悩みの際には是非一度当科へご紹介下さい。ご紹介後当施設で診断が困難な方に関しては実施可能施設に当院よりご紹介させて頂くことがありますのでご了承下さい。

 

2018年08月27日