西陣だより

新春のごあいさつ

(この記事は2025年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

外科部長

高木 剛

 

 

 皆様には、健やかに新春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。 

 

   私が最初に当院に着任した1997年から早28年経ちましたが、西陣病院は建物自体だけでなく、中で使用している医療機器もすっかり変わり日々アップグレードされています。
 創薬をはじめとして医療は日進月歩で間違いなく発展をしております。しかし、まだまだ薬では治療できない疾病や病状はあります。例えば、高齢者のがん、良性疾患でも胆石症や鼠径ヘルニア、腸閉塞など外科治療が必要とされます。勿論、外科治療にも様々な進歩はあり、ロボットによる支援手術、AIを駆使した診断や外科医を安全な手術へ導く支援も出て参りました。ただし、主導権をもって手術をするのは担当となる人間であり外科医です。そのため、われわれは外科治療が必要な患者さんへ、ベストな治療を届けられるよう知識と技術を日々研鑽しております。
 西陣病院外科では、地域住民の皆様が外科治療を必要となった場合でも安心して治療を受けて頂けるよう、そしてこの地域の健康長寿の延伸にも努力して参りますので、本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

2025年01月01日

新年のごあいさつ

(この記事は2025年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 院長 葛西 恭一


新年あけましておめでとうございます。

皆様には、さわやかな新春をお迎えのことと心よりお喜び申し上げます。皆様のご協力・ご支援により無事に新しい年を迎えることができました。職員一同より皆様への感謝を申しあげますとともに、新しい年が皆様にとって素晴らしい年となりますよう祈念いたします。

 2019年末より発生しパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症は、5類感染症となり感染者数は減少し重症化することも少なくなりました。その一方でコロナ禍により感染者数が減っていた手足口病やマイコプラズマが2024年には増加しました。2025年も引き続き様々な感染症が流行する可能性があり注意が必要です。
 団塊の世代が75歳以上となる2025年は、高齢化が更に進み人口の約30%が65歳以上となる見込みです。今後高齢者に対する医療・介護のニーズはさらに高まると予想され、医療・介護施設における人材不足が更に深刻化することが容易に予想されます。この問題に対応すべく、当院は2024年8月より外国人の看護アシスタントを8名雇用しました。母国では医療者の資格を有している者もおりますし、全員日本語を習得しており、大変優秀な人材が我々の仲間に加わってくれました。言葉や文化の違いに戸惑いもあるようですが、患者さんにとても優しく接してくれています。今後ますます活躍してくれることと期待しています。
 今後訪れる超高齢化社会においても、「地域に密着した良質な医療を提供する」という当院の基本方針は変わりません。一般診療と透析医療を中心に大病院に引けをとらない高いレベルの医療を提供するとともに、急性期病棟、回復期病棟、慢性期病棟を有する当院の特徴を生かし、患者さん個々の療養状況に応じた切れ目の無いきめ細かく優しい医療を提供してまいります。当院は地域に根差した病院として中心的な役割を果たし、患者さんや開業医の先生方との繋がりを大切にすることで地域に愛される病院となるよう引き続き努力してまいりますのでよろしくお願いいたします。

 

2025年01月01日

季節の”食”めぐり

(この記事は2024年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

冬が旬の野菜

 冬野菜は、寒さで凍ることがないよう細胞に糖を蓄積するため、糖度の高い野菜が多いことが特徴です。食べたときに甘くておいしいと感じるのはこのためです。また、ビタミンやカロテンといった栄養素を豊富に含むものも多く、免疫力を高め、風邪予防に効果的といわれています。

れんこん

 穴が空いている=先が見通せることから縁起の良い食材として知られる「れんこん」。れんこんは種類によって旬の時期が異なりますが、「晩秋れんこん」は11月~2月に旬を迎えます。ねっとりとした食感で、甘みを感じられるのが特徴です。ざっくりカットして炒め物や煮物にしたり、薄く切って金平や酢漬けにしたりと様々なメニューに活用できる野菜です。食べられる部分の約80%が水分、約17%が炭水化物で、残りの部分にはビタミンCや食物繊維などが含まれています。れんこんに含まれる食物繊維のうち90%は不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は便のカサを増したり、腸のぜん動運動を活発にしたりして排便を促します。

 健康づくりに食事は欠かせません。せっかくなら美味しい料理を食べたいものです。旬の食材は、味や香りが良く栄養価も高いです。旬の食材が持つ魅力について知り、日々の食事や健康づくりに役立ててください。また、季節の行事にまつわる料理もご紹介していきます。

(1人分)エネルギー 422kcal/たんぱく質20.3g/塩分1.9g ※ごはん除く

材料 (2人分) 作り方

●合挽肉・・・・・・・・・・200g
●れんこん・・・・・・・・・100g
●玉ねぎ・・・・・・・・・・1/2個
●にんじん・・・・・・・・・小1/2本
●ニンニク、生姜・・・・・・各1片
●油・・・・・・・・・・・・適量
●ご飯・・・・・・・・・・・適量

(A)--------------------
●カレー粉・・・・・・・・・大さじ1
●トマトケチャップ、
   中濃ソース・・・・・・・・各大さじ2
--------------------------

< 作り方 >

❶生姜とニンニクはみじん切りに、れんこん、玉ねぎ、にんじんはあらみじん切りにする。
❷フライパンにサラダ油を熱し、❶を入れて火が通るまで炒め、合挽肉を加えて肉の色が変わるまで炒める。
❸全体に火が通ったらAを加えて混ぜ炒める。
❹皿にご飯を盛り、❸をかける。

 

2024年11月01日

災害に備えましょう

(この記事は2024年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 福本 郁子

 最近、大雨・台風や地震など自然災害のニュースが増え、不安に感じておられる方も多いのではないでしょうか。今回は、『災害と薬』についてのお話です。

 災害発生直後は、避難所への移動や、交通網が麻痺してかかりつけの病院に行けないなどの理由で、いつも服用している薬が手元にない状況が想定されます。そのため、いつ起こるか分からない災害に日ごろから備えておく必要があります。

1.お薬の予備を持つ

     常用している薬は、3日から7日分程度をすぐに持ち出せるようにしておきましょう。解熱鎮痛剤や胃腸薬などの市販薬も、使用しているものがあれば少し持ち合わせておくと安心です。ただし、薬にも有効期限があり、また病院で処方される薬は体調に合わせ内容が変更されることもありますので、防災セットなどに入れっぱなしにせず、入れ替えて常に新しい状態にしておく必要があります。

    2.お薬手帳を携帯する

     お薬手帳には、現在服用している薬の種類や量、服用期間、アレルギー歴や副作用歴など大切な情報が記録されています。災害時には、お薬手帳を持っていることで服用している薬の情報が速やかに把握できるため、スムーズに適切な医療を受けることができます。

    3.お薬がなくなったら

     安全が確認できるまでは自宅に薬を取りに行かないでください。大規模災害などで受診が困難な場合、お薬手帳などでいつも服用している薬を確認できれば、特例として処方箋がなくても薬局で薬をお渡しできることがあります。また、避難所などでは災害処方箋が発行されます。

    緊急の場合に備えて、お薬手帳や薬の管理をしておきましょう。

    2024年11月01日

    新入職看護アシスタントの紹介

    (この記事は2024年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
    看護部より

     2024年8月にインドとネパール出身の看護アシスタント8名が仲間に加わりました。病院の概要・感染対策・医療安全・看護アシスタント業務等、シャドーイングも含め7日間のオリエンテーション・実技演習を行いました。皆、一生懸命でとても熱心に取り組んでいました。母国を離れ遠い異国の地で私たちと共に日本の介護ケアを支えてくれる人達です。
     入職して2か月が経ち、ひとりでできるケアも増えてきました。患者さんが名前を覚えてくださったことがとても嬉しかったと話してくれたスタッフもいます。日本語はまだたどたどしいところはありますが、温かい目で見守りつつ一緒に頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

      

    2024年11月01日

    ふれあい看護体験

    (この記事は2024年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

    教育科長 兵頭 美香子

     

     8月8日(木)に、ふれあい看護体験を開催し、高校生4名が参加してくださいました。看護師と一緒に車椅子移送や全身清拭を行いました。その他、バイタルサイン測定の場面も見ていただきました。参加者のみなさまから「患者さんの体を拭いたときに、患者さんから『ありがとう』と言ってもらえて嬉しかったです」「患者さんとしっかりコミュニケーションをとることによって、患者さんが安心して過ごせるのだと感じました」などの感想をいただきました。

     

    2024年11月01日

    長引く咳 放置しないで!覚えておきたい「咳喘息」という疾患

    (この記事は2024年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

    内科 医長
    瀬戸 友利恵


     

      感冒後、抗菌薬や咳止めを処方されてもよくならない咳を経験したことはありませんか?それは「咳喘息」かもしれません。
    咳喘息は、アレルギー性の気道炎症です。適切に炎症を抑えないと再発し、「気管支喘息」に移行することもあるため初期治療が肝心です。

     

    内科外来は咳が多い

      咳でお困りの患者さんは実はとても数が多く、近年増加傾向です。
    咳は持続する期間で3つに分類され、咳が出始めてから3週間未満の急性咳嗽、3~8週間の遷延性咳嗽、8週間以上の慢性咳嗽です。急性咳嗽は感冒・上気道炎などの感染性咳嗽が主体ですが、遷延性咳嗽と慢性咳嗽は感染症以外の咳が主体であり、胸部レントゲンで異常のないものをいいます。長引く咳の原因は、胃食道逆流(GERD)、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群、腫瘍性疾患、間質性肺炎など多岐にわたりますが、そのなかでも本邦で最も多いのは「咳喘息」であり、ある統計では全体の34%を占めるといわれています。

    「咳喘息」は「気管支喘息」に移行することがある

     咳喘息は、気管支喘息と同様にアレルギーによって起こる病気ですが、気管支喘息のような「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」といった呼吸困難を伴わず、咳だけが唯一の症状です。喘息と似たような症状としては、「夜間や早朝の悪化」、「季節性の変動」といったものがあり、残念ながら、咳喘息の30%は典型的気管支喘息に移行してしまうといわれています。そのため、初期治療が非常に重要です。吸入ステロイド、なかでも気管支拡張薬配合の合成吸入薬が有効であり、早期からの導入が望まれます。吸入薬を開始すればすぐに良くなることが多いですが、良くなったからといって治療を数日でやめてしまうと症状が再燃してしまうことがあります。気管支喘息と同様に、症状が治まってからも気道の炎症がくすぶっていることが多いため、少なくとも1か月以上の吸入薬継続が望ましく、状況に合わせて薬剤を調節します。吸入薬を処方された場合には、症状がすぐによくなっても自己判断で治療を中断しないようにしましょう。日本呼吸器学会「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」によりますと、診断は ❶喘鳴の無い咳嗽が8週間以上持続していること、❷気管支拡張薬(β2刺激薬など)が有効であること、このいずれも満たす場合に限ります。ただし実際には咳嗽症状が3週間以上続く場合でも辛いですので、積極的に鑑別診断を行い、治療介入をすることもあります。

    さいごに

     当院では、肺機能検査に加え、咳喘息や気管支喘息の診断の手助けとなる呼気一酸化窒素(NO)検査を2023年より取り入れており、
    気道炎症の評価が可能です。咳でお困りの際は是非、西陣病院の呼吸器内科外来を受診ください。

    2024年11月01日

    日本列島 ”食” めぐり「福井県」

    (この記事は2024年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

    栄養科 管理栄養士 須惠 裕子

    全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

    越前おろしそば

     福井県におけるそばの栽培は、戦国大名が、一条谷に築城、短期間で収穫できるそばを合戦の合間に栽培し、籠城用食糧にしたことが始まりとされています。当時のそばは、麺状ではなく、そば粉をお湯でこねた「そばがき」や「そば団子」といった形で食べられていたそうです。麺状のそばは府中の城主が帯同させた京都伏見のそば職人により、細麺のそばにだいこんおろしを乗せる「おろしそば」が生まれたと言われています。現在では、福井県を代表する郷土料理の一つとして多くのお店が県内にあります。

    (1人分)エネルギー 320kcal/たんぱく質14.3g/塩分3.1g

    材料 (1人分) 作り方

    ●蕎麦(ゆで)・・ 160g
    ●大根 ・・・・・・100g
    ●長ネギ・・・・・・10g
    ●カツオ節・・・・・5g

    ~出汁~
    ●カツオだし・・・ 150ml
    ●濃口醤油・・・・ 20ml
    ●みりん・・・・・ 20ml
    ●さとう・・・・・ 2g

    < 作り方 >

    ①蕎麦出汁の材料を鍋に入れ一煮立ちさせたあと冷ましておく。
    ②大根の皮を剥き、おろして水分をザルで切っておく。長ネギは小口切りにしておく。
       ※大根の辛味が苦手な方はおろした後、軽く水で洗うと辛味が抜けます。
    ③蕎麦を茹で、冷水で洗い冷まします。
    ④冷ました蕎麦を器に盛り、蕎麦出汁を全体に絡むようにかける。
    ➄大根おろし、カツオ節と刻んだネギを上に乗せて完成です。

     

    2024年09月01日

    骨粗鬆症を甘く見ていませんか? 骨折の予防のために。

    (この記事は2024年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

    リハビリテーション科 理学療法士・骨粗鬆症マネージャー 堀 博寿

    昨年度より当院で取り組んでいる骨折リエゾンサービスについてご紹介させていただきます。

     皆さんは骨粗鬆症についてご存じですか。骨粗鬆症とは「骨の強度が下がり骨折のリスクが高まった状態」をいいます。骨粗鬆症は女性に多く、骨の強度を示す骨密度は閉経後の50代から急激に低下します。骨の強度が低下すると転倒など軽微な外力によって骨折に至ります。
     腰椎の骨折や足の付け根の骨折は歩くなどの基本的な動作や日常生活動作の低下に繋がります。1度骨折を起こした方は2度目の骨折のリスクが極めて高く、骨折を機に寝たきりになる方も少なくありません。そのため骨折を防ぐために骨粗鬆症の治療が必要となりますが、治療をされてない方や自覚症状がないため治療を途中で止めてしまう方が数多くおられます。この骨粗鬆症の治療開始と継続を支援し、転倒予防を図り、2度目の骨折を防ぐための取り組みを「骨折
    リエゾンサービス(Fracture Liaison Service : FLS)」といいます。
     当院では 昨年度より足の付け根の骨折をした方を対象に骨折リエゾンサービスを開始しました。医師、看護師、薬剤師、栄養士、リハビリなど多職種で協力し、患者さんの生活スタイルにあった治療薬のご提案、骨を強くするためのバランスが取れた食事や骨を作る細胞を活性化させるための運動について説明をしています。また転倒を予防するために手すりの設置や段差解消など患者さんの個別性に配慮した自宅環境の見直しも行っています。
     当院には骨粗鬆症に対する基本的な知識と技能を有する「骨粗鬆症マネージャー」が 2名在籍しており、FLS活動に注力しています。10月20日は世界骨粗鬆症
    デーです。骨粗鬆症と骨代謝障害の啓発を目的に制定され、「世界中から骨粗鬆症の骨折をなくす」ことを目標に掲げています。皆さんも「骨の健康」について見直してみませんか。

     

    2024年09月01日

    バイオ医薬品

    (この記事は2024年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

    薬剤部  科長  牛嶋 麻紀

    皆さんは、バイオ医薬品についてご存じでしょうか?最近「バイオ医薬品」というお薬が多く開発され、これまで治療が困難だった病気の治療に貢献し、注目を集めています。

     バイオ医薬品は、遺伝子組み換え技術や細胞培養技術を用いて製造したタンパク質を有効成分とする最先端の医薬品で、製造には最新の設備での品質管理が必要とされています。そのため、開発や製造などに費用がかかり、患者さんの医療費負担が高くなってしまうという問題があります。
     そこで、特許切れのバイオ医薬品を他のメーカーが開発・販売し、医療費の負担を抑える「バイオ後続品(バイオシミラー)」というお薬が誕生しました。これは、ジェネリック医薬品(後発医薬品)と少し似ています。

    バイオシミラーとジェネリック医薬品はどこが違う?

     どちらも「新薬特許が切れた後に発売された医薬品」ですが、バイオ医薬品の場合は「バイオシミラー」、それ以外の場合は「後発医薬品」と呼びます。
     バイオシミラーは先行バイオ医薬品(先に発売されたバイオ医薬品)と同様に、製造には高度なバイオ技術を用いるため、工程が多く複雑です。さらに、後発医薬品と異なり多くの試験やチェックを行うことが必要とされています。このように開発され、承認されたバイオシミラーは、先行バイオ医薬品と品質がほとんど同じで、同じ効果と安全性が確認された薬剤です。
     バイオシミラーの薬価は、原則、先行バイオ医薬品薬価の70%で算定されるというルールがあります。このため、患者さんの経済的負担の軽減や医療費の削減に貢献することが期待されています。西陣病院でもインスリンをはじめ、様々なバイオシミラーを採用しており、治療の質の向上、医療費の削減に貢献しています。

     

    2024年09月01日