西陣だより

あけましておめでとうございます

(この記事は2018年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院、院長補佐 松浦 史良

院長補佐 松浦 史良

何かと厳しい医療業界ではありますが、当院も他病院と変わりなく厳しい状況に晒されております。そのなかで、スタッフ一同は今後も地域の開業医の先生方とともに西陣地区を中心とした患者さんに、安全でより良質な医療を提供できることを考えながら診療をしております。

通院患者さんや入院患者さんには、住環境でお困りのこと、また経済的な問題で困っておられることなど様々な不安を抱えておられる方が大勢おられるかと思います。現在もあるいは今後も安心して医療を受けていただけるように、6名いる医療ソーシャルワーカーとベテラン看護師が中心となって入院や退院の支援も行っておりますので、お困りのことがあれば気軽に相談していただければと思います。

西陣病院を利用していただいてかゆい所に手が届くようなサービスを少しでも感じていただければわれわれ職員にとってこれ以上の喜びはないと考えています。本年もよろしくお願いいたします。

2018年01月01日

あけましておめでとうございます

(この記事は2018年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院、消化器内視鏡センター長 葛西 恭一

消化器内視鏡センター長
葛西 恭一

私は平成元年に医師となりましたので平成30年の今年は医師になって30年目ということになります。この30年の間に私が専門としております消化器内科の分野だけでも大きな変化がいくつもありました。なかでもピロリ菌の発見、C型肝炎ウイルスの発見は非常に大きなインパクトがありました。ピロリ菌を発見したウォレン博士とマーシャル博士が2005年にノーベル賞を受賞したことは御存知の方も多いと思います。今やピロリ菌やC型肝炎ウイルスは排除可能となり、これまで日本人を苦しめてきた胃十二指腸潰瘍、胃癌、C型肝炎、肝癌は今後減少していきます。しかし生活習慣の欧米化により消化器疾患も欧米化してきております。GERD(胃食道逆流症)やNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)は確実に増加してきており発癌の母地となり得ますし、近年増加の一途である大腸癌も欧米化した食習慣が原因と言われます。またストレスの多い社会を反映しFD(機能性ディスペプシア)やIBS(過敏性腸症候群)も増加傾向です。私の消化器内科医としてのこれまでの30年間は「感染症による消化器疾患」との戦いでしたが今後の3 0年間(?)は「生活習慣による消化器疾患」との戦いとなっていくと思います。

2018年01月01日

医師としてあるべき姿

(この記事は2018年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院、外科部長  福本 兼久

外科部長
福本 兼久

皆様、明けましておめでとうございます。
昨年7月18日、我々の大先輩でもある、日野原重明先生が105歳の生涯を終えられました。生前、多数の名言を残されていますが、そのうちの一つに次のような言葉があります。

『なんと言っても、人が人に与える最高のものは心である。他者のための「思い」と「行動」に費やした時間、人とともにどれだけの時間を分けあったかによって、真の人間としての証がなされる』

この言葉に触れた時、医師として、患者さんのために自分の人生を捧げてこられた先生の信念を感じました。これこそが本来の「医師としてあるべき姿」ではないかと私は思います。
昨今、人間関係がますます希薄な社会になっていく中で、医師と患者さんの関係は希薄であってはならないと教えられているような気がします。
この言葉を心に刻み、私自身も医師を志した初心を忘れることなく、患者さんに信頼していただけるように、日々の診療に邁進していきたいと思います。
そして、我々医師を始め、様々な他職種間との連携を密にしてチーム医療を更に強化し、すべての患者さんに対してより良質な医療を提供できるよう、スタッフ一同精進して参ります。
新年を迎え、患者さんにとって笑顔の一年となりますよう、新たな気持ちで外科一同頑張りますので、本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
最後になりましたが、ご紹介頂きました患者さんに満足して頂けるような低侵襲外科治療をさらに推進していきますので、近隣の先生方には、本年も変わらぬご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。

2018年01月01日

緑内障について

(この記事は2018年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院、眼科部長  中司 美奈

眼科部長
中司 美奈

緑内障は、日本における失明原因の第1位であり、40歳以上の日本人における緑内障有病率は5.0%であるといわれているため、40歳以上の20人に1人が緑内障であるということになります。また、緑内障の有病率は、年齢とともに増加していくことが知られています。

最近の緑内障の診断と治療の進歩は目覚しく、早期発見・早期治療によって失明という危険性を少しでも減らすことができる病気の一つです。

では、緑内障とはどんな病気でしょうか?ガイドラインによると「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」と定義されています。つまり、緑内障は、視神経と視野(見える範囲)が障害される疾患であり、眼圧(眼の硬さ)を下げることで治療を行います。眼圧を下げるために、まず点眼治療を行います。点眼治療の他に、レーザー治療や手術もあり、患者さんの病態や病期に応じて様々な治療を組み合わせ、症状の進行を抑え、患者さんが生涯不自由なく生活できることを目標に治療を行います。

緑内障による視野狭窄のイメージ

西陣病院、緑内障

緑内障は、視野欠損が進行する病気ですが、両眼で見ているために初期の視野欠損を自分で発見することが難しく、自覚症状が出てくる時には、病気がかなり進行しています。初期に緑内障を発見するためには、眼科で検査を行うしか方法がありません。40歳を過ぎたら、定期的に眼科で検診を受けるようにしましょう。

2018年01月01日

薬剤耐性(AMR)対策 ~抗菌薬(抗生物質)が効かない 細菌が増えています~

(この記事は2018年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 医薬品情報室

抗菌薬(抗生物質、抗生剤)は多くの人々の命を救ってきました。しかし、抗菌薬が効きにくい「薬剤耐性」(AntimicrobialResistance:AMR)をもった細菌が世界的に増えており、大きな問題になっています。薬剤耐性によって世界で70万人が死亡しており、このままでは薬剤耐性による死亡者が、2050年には、現在がんで死亡している年間820万人を超える1,000万人が死亡するといわれています。

Onnee Heeaalltthh(ワンヘルス=1つの健康)・アプローチ

人、動物、環境の中に存在する感染症などのリスクに対して、それらの衛生に関わる人々が連携し、横断的に課題の解決を図っていくものです。中でも自然界での脅威が、人間を脅かす元凶となっています。抗菌薬は医療現場のみならず、獣医療、畜水産農業などの現場でも使用されています。薬剤耐性(AMR)を持つ遺伝子が、食品や環境などを介して人へ伝播する可能性があるため、ワンヘルス・アプローチの精神に則り、AMRCRCをはじめ、関係府・省庁や各分野の民間関係団体など他分野の専門家とともに一体的な取組みを進めていく必要があります。

西陣病院、ワンヘルス=1つの健康
西陣病院、薬剤耐性(AMR)西陣病院、厚生労働省

~私たちができること~

  • 風邪に抗菌薬は効きません
  • 処方された抗菌薬は医師の指示通り服用しましょう
  • 基本的な感染対策をしましょう

予防がやっぱり大切「手洗い・ワクチン」

2018年01月01日

日本列島 ”食” めぐり「長崎県」

(この記事は2018年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 小笹 清香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

西陣病院、長崎県

~ヒカド~

江戸時代、長崎に渡来した南蛮料理。ポルトガル語で「細かく刻む・調理する」という言葉が由来で、すりおろしたさつま芋でとろみをつけた具だくさんの汁物です。冬の寒い日に食べるとポカポカと体が温まります。

●ヒカド 1人分: エネルギー140kcal たんぱく質8.5g 塩分1.0g
材料 (3人分) 作り方
マグロ 50g
(下味用:塩少々、酒少々)
豚もも肉 50g
大根 100g
人参 40g
さつまいも(角切り) 100g
さつまいも(すりおろし) 50g
干し椎茸 3枚
青ネギ 15g
だし汁 450cc
(昆布・かつお・干し椎茸戻し汁)
サラダ油 少々
塩 小さじ1/5
みりん 小さじ1
薄口醤油 小さじ2
酒 小さじ4
  1. マグロを角切りにして、塩と酒で下味をつける。
  2. 大根・さつまいも・干ししいたけは1.5cmの角切り、豚もも肉は食べやすい大きさに、人参は厚めのいちょう切り、ネギは小口切りにする。
  3. 鍋に油を入れて(1)を炒め、表面に焼き色がついたら一旦鍋からおろす。同じ鍋で、豚肉・人参・干ししいたけ・大根・さつまいもを順番に入れて炒め、だし汁を入れる。
  4. 沸騰してきたらアクを取り除いて、(3)のマグロを加える。
  5. すりおろしたさつまいもを鍋に入れる。(すぐにトロミが出てくる)
  6. 酒・薄口醤油・塩・みりんで味をつけながら煮込み、器に盛りつけてネギを散らしたら出来上がり!
≪アレンジ例≫  マグロの代わりに、甘鯛・イトヨリなど旬の魚を最後に溶き卵を流し込むのも良い
2018年01月01日

入退院支援室について

(この記事は2017年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

入退院支援室 科長
松山 みどり

 今年6月に活動を開始した入退院支援室です。メンバーは看護師4名で平均年齢は?・・・秘密です。
 患者さんと入院前から関わり、入院治療を終えて退院後に「どこでどのような生活を送りたいか」という希望を患者さんやご家族から大切に伺い、その実現にむけてお手伝いさせて頂く部署です。他部署・外部との連携がとても重要になりますので、笑顔と誠意を忘れずに日々奮闘しております。これからの超高齢社会に必要とされる部署だと考え、医師をはじめ看護部、医療社会福祉課、リハビリテーション科等の院内の多職種や開業医の先生方、高齢サポート、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション等々の皆様方からご協力頂きながら充実した業務ができるように日々、努力しております。どうぞ宜しくお願い致します。

入退院支援室、TQMメンバー
2017年11月01日

透析センターの災害対策

(この記事は2017年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

透析センター
災害対策委員会

患者さん対象避難訓練開催報告

 10月15日(日曜日)に、本館2階透析センターにおきまして患者さん対象の避難訓練を実施しました。今回で8回目となる訓練には大勢の患者さんに参加していただきました。
 「透析治療中に火災が発生し、治療を中止して避難・誘導を体験していただく」という設定で、当院で透析を受けておられる患者さんに訓練をうけていただきました。透析センターでは日頃から、透析治療中にトイレ休憩をとられる際、患者さんと透析機器の離脱手技を行っております。その手技を災害時に行う手技と同じようにしております。スタッフは普段のトイレ休憩の手技を難なく実施し、患者さんを1階に避難誘導しました。それから開催日の15日はNTTが提供している171災害伝言ダイヤル訓練日です。そこで、患者さんに実際に携帯電話やスマートフォンを用いて、事前に録音されたメッセージを聞く体験もしていただきました。参加された患者さんからは、「災害はなければいいのですが、いざという時は落ち着いて避難します」、「171が使えてよかった」などの感想、ご意見をいただきました。患者さんの中には、独りで歩ける方ばかりではなく、杖歩行や車イスを使用している方もおられます。そのような方の避 難誘導は、スタッフが寄り添い、転倒しないように注意しながら安全に行うことが重要です。今回の訓練でも医師・看護師・臨床工学技士が目配り、心配りをしながら、参加された全員がケガもなく無事に避難訓練することが出来ました。今後も定期的に実施して災害に備えたいと思います。

西陣病院、透析センター
2017年11月01日