西陣だより

日本列島 ”食” めぐり「香川県」

(この記事は2022年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 須惠  裕子

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

なすそうめん

 旬のなすと小豆島特産のそうめんを用いて、唐辛子で味を引き立てた郷土料理で、広く一般家庭に浸透しています。香川県以外にも、北陸地方や、奈良県などそうめんの生産地で郷土料理として食べられています。冷たくても温かくても美味しいお料理です。

(1人分)エネルギー 360kcal/たんぱく質16.5g/塩分2.4g(煮汁を全て摂った場合) ※ そうめんは茹でた後の塩分で計算しています。

材料 (2人分) 作り方

●なす・・2本
●素麺・・2束(100g)
●油揚げ・・ 1/2枚(60g)
●しょうが汁・・ 1かけ分
●赤唐辛子・・ 1本
●サラダ油・・ 小さじ2
●薄口醤油・・大さじ1と1/3  ※⑧ 
●砂糖・・小さじ2 ※⑧
●ごま油・・ 小さじ1/2
●だし汁(いりこ)・・ 350ml

① なすは縦4~6等分に切り、斜めに切り目を入れて水に浸けてあく抜きする。生姜はすりおろす。唐辛子は種を除き、1/3は輪切りにし、残りはそのままで使用する。
② 油揚げは油抜きし、三角形に切る。
③ 素麺は固めにゆでる。
④ 厚手の鍋にサラダ油を入れてよく熱し、なすを炒める。
➄ ④に②を加え、そのままの唐辛子、だし汁、⑧(材料2人分の※⑧)の調味料を加える。
⑥ 茄子が柔らかくなってきたら、素麵を入れて、ごま油としょうが汁を加える。
⑦ お皿に盛り付け、唐辛子の輪切りを上に飾る。

※ いりこだし 煮干し(10g)の内臓と頭をとり、水2カップ(400ml)と鍋に入れ、30分以上浸す。中火にかけ、煮立ったら弱火にし、アクがでてきたらすくいとり、7~8分煮てざるでこす。(煮出さず、一晩水に浸しておいても作れます。)

 

2022年09月01日

風邪に『抗菌薬』は効きません

(この記事は2022年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  薬剤師  辻 芙美

 あなたは、医師に「風邪っぽいので、抗菌薬をもらえませんか?」と、言ったことはありませんか?風邪の時に、服用した方が良いと思われている『抗菌薬』ですが、実は、風邪には効果はありません。効かないだけではなく、不適切な抗菌薬の使用は、薬が効かなくなる「耐性菌」を増やすおそれがあります。

抗菌薬とは?

細菌を壊したり、増殖を抑える薬です、抗生物質(抗生剤)とも言われますが、厳密には抗菌 薬の中で、微生物から作られた化合物を抗生物質と言います。臨床的にはどちらも同じ意味合いで使われます。

そもそも風邪とはなんでしょう?

風邪とは正式には「風症候群」と言い、原因の大半は、ウイルス感染によるもので、ウイルスが鼻やのど肉っついて炎症を起こし、くしやみ、鼻水、せき、たん、のどの痛み、発熱などがでることを言います。抗菌薬は細菌に対する薬なので、ウイルスに効果はありません。かつては、風邪に続発する細菌感染(二次感染)を予防するために、抗菌薬が処方されていました。しかし、抗菌薬は風邪による二次感染の予防に効果がないことが分かっており、一般的な風邪に抗菌薬は不要です。また、ニューキノロンと言われる薬は、結核菌にも効くため、一時的に結核の症状を抑え、その人が持っている結核菌を広める危険性があります。

薬剤耐性菌とは?

抗菌薬の不適切な使用により、従来の抗菌薬が効かなくなる「薬剤耐性菌」が出現し問題となっています。耐性菌による感染症は、抗菌薬が効かないために治療が難しく、重症化や死亡の危険が高まります。薬剤耐性菌の発生と感染の拡大を防ぐためには、抗菌薬を正しく使用することが大切です。

まとめ

むやみに抗菌薬を希望せず、医師の説明をきちんと聞きましょう。
② 処方された抗菌薬は指示通り正確に飲み切りましょう。
③ 抗菌薬をとっておいたり、別の機会に飲んだりしてはいけません。
④ 他人にあげたり、もらったりしないようにしましよう。

2022年09月01日

ふれあい看護体験

(この記事は2022年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

看護部 教育科長 兵頭 美香子

 89()に、ふれあい看護体験を開催し、高校生2名が参加してくださいました。本来ならば、看護師と一緒に患者さんのケアを行うのですが、新型コロナウイルス感染症拡大のため、簡単な病院内見学のみに変更しました。距離を保ちながら、やや遠目でしたが、看護師が仕事をしているところを、少し見ていただくことができました。参加者から、「病院の様子を見ることができてよかったです。」「看護師の働いている姿を見られてよかったです。」との感想を聞くことができました。実際に患者さんと接することができれば、もっといろんな「気づき」があったのではと思います。今年、看護系の学校を受験されるとのことで、参加者のみなさまの合格を祈っています!

2022年09月01日

透析センターの専用ページを開設いたしました

(この記事は2022年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院透析センターの特設ページを開設しました

西陣病院 透析センターの特設ページ(https://www.nishijinhp.com/tosekilp/)

この度、患者さんや地域の方々に、当院の透析センターをより知って頂こうと、専用ページを開設いたしました。
情報を整理し、ホームページよりも見やすく分かりやすいレイアウトに変更いたしましたので、是非ご覧ください。


QRコードを読み取る場合は、こちらをご使用ください。

2022年09月01日

医療費の支払いでお悩みの方へ ~無料低額診療事業のご案内~

(この記事は2022年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

医療社会福祉課 課長 新保 一葉

 「調子が悪いが医療費の負担が心配で…」「急な収入減少で、通院が続けられない」「先生に入院を勧められたが、お金が心配で断ってしまった」「長期の治療となり、医療費の支払いが重くてしんどい」このような心配を抱えている方はおられませんか?

 当院は社会福祉法人立であり、無料低額診療事業を行っております。無料低額診療事業とは、上記のような診療費等の負担について困難を抱えておられる患者さんに対して、その費用を減額もしくは免除する仕組みです。

ご利用方法

① 相談室までます'はお電話でご連絡下さい。受付や主治医、看護師へのお申し出でもかまいません。
② 専門の相談員(ソーシャルワーカー)がお話をお伺いします。
③ 院内で無料低額診療事業の適用について検討します。
④ 決定すれば利用についてご案内します。
➄ 一年に一度の更新が必要です

 また、医療費にお困りの方は、他の困りごとを抱えておられることもあります。この事業の利用がきっかけとなってソーシャルワーカーがかかわることで、地域の関係機関とつながることができたり、他の制度が利用できることで、心配や悩みが軽減できるかもしれません。西陣病院の患者さんに限らず、広く地域の方々のご相談もお受けしています。ぜひお気軽にご相談ください。(相談は無料です。秘密は厳守いたします)

医療福祉相談室

お問い合わせ先:075-465-7326(直通)
<平日> 8時45分 ~ 17時 <土曜> 8時45分 ~ 13時30分

2022年09月01日

手術をあきらめていませんか?安心安全確実で満足度の高い鼠経ヘルニア手術

手術をあきらめていませんか?安心安全確実で満足度の高い鼠経ヘルニア手術

(この記事は2022年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

外科医長
小林 博喜

 鼠径ヘルニアとは、お腹の壁に開いた孔から腸や内臓脂肪が押し出てくるために、下腹や足の付け根が膨らむ病気です。手術でしか治せない病気ですが、様々な事情により手術に不安を感じたり、ためらわれたり、手術が受けられないと思っておられる方がいらっしゃいます。

① 高齢だから、持病があるから手術が不安
② 全身麻酔が怖い
③ 血液をサラサラにするお薬を服用しているので手術は危険と言われた
④ 術後に傷痕が残るのが嫌
➄ 術後の傷の痛みが不安
⑥ 仕事が忙しくて入院できない

様々なご不安やご事情、ご要望に対応できるよう、当院では個々の患者さんごとに最適、最良な手術治療法をご提案し、できる限り満足度の高い鼠径ヘルニア治療を提供できるようにしております。

 

>>当院の特徴は大きく以下の3点です。

エキスパートによる低侵襲腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術

 当院では腹腔鏡手術の中でも傷の負担を減らした低侵襲腹腔鏡手術を行っております傷の負担を減らすには傷の数を少な < する方法と一つあたりの傷の大きさを小さくする方法があります。傷の痛みの程度は傷の数よりも傷の大きさに影響されるため、臓器を摘出する必要のないヘルニア手術においては傷を限りなく小さくすることで、術後の傷痕をわかりにくくしつつ、傷の痛みを限りなく0に近づけることが可能です。当院では5mmの傷2ヶ所(うち1カ所は臍の中)と3mmの傷1力所で手術を施行しております。

 また、腹腔鏡手術の技能、指導力を保証する唯一の資格として日本内視鏡外科学会技術認定制度がありますが、当院には京都府の病院で唯一人(2022年7月現在)の腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の技術認定取得者が所属しておりますので、安心して腹腔鏡手術を受けていただけます

局所麻酔下手術

 各種疾患により全身麻酔を含めた手術のリスクが高い患者さんでも局所麻酔での手術であれば危険性を可能な限り排除し安全に手術を行うことが可能となります。一方で局所麻酔での手術を腰椎麻酔(下半身麻酔)や全身麻酔と同じ質で施行するためには高度な知識、技術、熟練が必要となります。当院では手術リスクの高い患者さんが多い背景から局所麻酔での手術を積極的に施行しており、腰椎麻酔や全身麻酔での手術と遜色ない手術が可能となっております。なお、局所麻酔下手術であっても術中に眠たくなるお薬(鎮静剤)を使用しながら手術を行いますので、楽に手術を受けていただくことが可能です。局所麻酔下手術の場合、条件を満たせば日帰りでの手術も可能ですので、お仕事がお忙しい患者さんのご要望にもお応えできます。

抗血栓薬継続下で手術

 各種疾患により血液をサラサラにするお薬(抗血栓薬)を内服しておられる患者さんが増えています。抗血栓薬を服用したままの手術は出血しやすいため、通常は手術に際し休薬が必要となったり、休薬のリスクが高い場合は手術不可能と判断されたりします。当院では抗血栓薬の種類ごとに最適な術式を選択した上で、確かな技術で手術を行い、術後の出血予防策を講じるといった工夫をすることで、抗血栓薬を休薬することなく安全に手術を行うことができています。

 

手術に不安を感じたり、ためらわれたり、自分は手術が受けられないと思っておられる方はぜひ一度当院へご相談にいらしてください

2022年09月01日

日本列島 ”食” めぐり「兵庫県」

(この記事は2022年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 竹島  綾香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

ハモすき

 ハモの名産地として有名な淡路島ならではの食べ方にハモすきがあります。初夏から夏にかけて旬を迎える淡路島のハモは、「はも延縄」と呼ばれる漁法で一匹一匹を丁寧に釣り上げられ、傷が少なく金色の美しい魚体をしていることから「べっぴん鱧」や「黄金鱧」などと呼ばれています。また、ハモすきに欠かせない淡路島産の玉ねぎは、一般的な玉ねぎに比べ、糖度が高く甘いのが特徴です。ハモすきでは脂がのり甘みがあるハモの身を、ハモの旨味と玉ねぎの甘みが合わさった上品なだしで味わうことができます。

(1人分)エネルギー 212kcal/たんぱく質24g/塩分2.1g ※ つゆは1/2量で計算

材料 (4人分) 作り方

●ハモ・・1匹
●玉ねぎ・・ 中2個
●だし汁・・ 800ml
●薄口しょうゆ・・ 70ml
●みりん・・ 70ml
●昆布・・ 10g

< ハモだしのとり方(あらがない場合は昆布のみでも可)>

①ハモのあらを軽く湯通し(霜降り)する。
②水1000mlに①と昆布を入れ、沸騰する前に昆布を取り出す。
③アクを取りながらひと煮立ちさせる。

< ハモすきの作り方 >

①ハモは骨切したものを2~3cm幅に切る。玉ねぎは半月切りにする。
②鍋にだし汁、薄口しょうゆ、みりん、玉ねぎを入れて火にかける。
③玉ねぎに火が通ったら、ハモを入れる。身が白くなり、ふんわり開けば食べ頃です。

※ お好みの野菜やきのこを入れても美味しく食べることができます

 

2022年07月01日

スキンケアと薬

(この記事は2022年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  薬剤師  大竹 優樹

今回は、皮膚から薬を投与するための貼付薬( 経皮吸収型製剤)による副作用の予防と、皮膚のスキンケアについてご紹介します。

主な経皮吸収型製剤

狭心症や喘息、認知症の治療薬、がん性疼痛や整形外科領域などの慢性疼痛に用いる薬、禁煙外来で使われる禁煙補助剤などさまざまな種類の貼付薬があります。

貼付薬

一般的に、薬を飲みこむのが難しい患者さんにも使用しやすい・血中濃度が長時間に渡って一定に保たれるなどの利点がありますが、一方で皮膚トラブルの副作用が起こることがあり注意が必要です。

薬を開始する前に皮膚の状態を確認する

皮膚が弱い患者さんでは、1週間ほど前から保湿剤を使用し、それから貼付剤を開始すると、皮膚症状による副作用が減少したという報告があります。貼付剤を開始する前に、保湿剤の使用を検討してみましょう。

薬を貼る部分は清潔にする

汗などで濡れているときや汚れがあるときは、清潔なタオルでやさしく拭いてから貼りましょう。

薬を貼る場合は、毎回貼る部位を変える

同じ部位に貼り続けると、角質などが剥がれてかぶれなどが起こりやすくなります。

薬は皮膚に密着させる

●皮膚に貼ったら、手のひらでおさえ薬をしっかり密着させましょう。
●接着面にはなるべく触れないように注意しましょう。

薬を交換するとき

剥がすときは、端をめくり、皮膚が伸びないようにやさしく、ゆっくりと剥がしてください。

皮膚のスキンケア

皮膚を清潔に保つ保清、潤いを保つ保湿、また日差しをさける紫外線防御の3つの要素からなります。保湿剤を塗布するタイミングは入浴後がおすすめです。また1日1回より2回の方が保湿効果は高まります。保湿剤には軟膏・クリーム・ローション・スプレータイプのものなど複数の種類があります。保湿は継続することで強い皮膚を作ることができます。生活スタイルに合わせて続けやすい保湿剤を選択しましょう。暑い夏がやってきましたね。「保清」「保湿」「紫外線防御」に努めて強い皮膚をつくりましょう。

2022年07月01日

転倒して痛い時は迷わず整形外科へ

(この記事は2022年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

整形外科 医員
中村 恵



 日本は超高齢化社会となり、転倒し整形外科を受診される方が増えています。骨折は場合によっては生活レベルを大きく落とす可能性があり、適切な治療が必要です。今回は生活レベル、骨折の診断および治療の流れについて簡単に説明させていただきます。

 

 2020年の日本人の平均寿命は男性が 81.64歳、女性が87.74歳と年々更新しており、超高齢化社会となっている現状です。平均寿命が伸び続けている中で重要であるのが日常生活動作( Activities of Daily Living 以下ADL)です。ADLには基本的日常生活動作( basic ADL: BADL)と手段的日常生活動作( instrumental ADL : IADL )があり、特にBADLは日常生活における基本的な着替え、食事、トイレ、移動、風呂・整容といった動作のことを指し、生活レベルに大きく関わってきます。整形外科的にADLの低下の主な原因として骨折があります。超高齢化社会による骨粗しょう症の増加、また筋力低下による転倒などの外傷の増加により骨折は高齢者でよくみられる疾患となっています。人の体には約200本の骨があり、骨折をすると身体的な機能の低下につながり、ADLの低下につながります。骨折は骨折部位、骨折の形状、年齢、性別、生活背景により治療方針が異なり、その患者様に適した治療が必要です。骨折の診断の流れとしては、まずは問診、痛い部位の診察、それに応じた単純レントゲン検査をメインとした画像検査を施行致します。明らかな骨折があった場合は、それに応じて必要であればCT・MRI検査などのさらに詳しい検査を施行致します。単純レントゲンではわからない骨折もあるため、痛みや腫れが強く疑わしい場合は同様にさらなる精査を行います。検査が終わると、治療方針を決定します。骨折の治療には手術による治療、手術をしない保存療法に大きく分けることができ、手術が望ましい場合はそれに向けた準備を、保存療法が望ましい場合は三角巾、ギプス・コルセットなどを装着し定期的に外来でフォロー致します。 手術を選択する理由としては、転位(ずれ)が大きく骨が癒合せず疼痛が持続する可能性が高い寝たきりにならないよう早期離床および歩行訓練が望ましいもの(大腿骨の骨折など、③痛みを軽減するため、などが挙げられます。

 ただ、私たちが簡単に手術といっても、患者様の立場からすると手術は非常に怖いものであることが多く、しっかりと患者様の立場にたってご理解いただけるような説明をすることを心掛けております。骨折は診断が遅れると治療が困難になることもあり、ADLの低下を避けるためにも早期診断、早期治療が望ましいです。ですので、怪我をして痛い、腫れていることがあれば迷わず整形外科を受診してください。そして日常生活レベルを落とさないよう一緒に治療していきましょう。

 

 

 

 

2022年07月01日

高齢者の糖尿病短期入院について

(この記事は2022年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

糖尿病内科 部長
矢野 美保


  糖尿病の方は、経過や糖尿病の状態により、合併症や併発症を認めることが多いとされています。普段から自分の状態を知ることも大切ですね。当院では、65歳以上の方を対象に高齢者特有の合併症も含めて評価する短期入院を行っていますのでぜひ御利用ください。糖尿病の治療の目標は糖尿病のない人と変わらない寿命と生活の質の実現を目指すことと言われています。糖尿病があると、ない方に比べて、網膜症・腎症・神経症・動脈硬化などの合併症以外にも併発症としての骨粗鬆症・認知症なども多いと報告されています。一方で、治療の進歩に伴って、以前より糖尿病の合併症の発症が抑制されているとの報告もあります。日常から自分の合併症の状態を確認できればよいですね。西陣病院では、2週間の糖尿病教育入院以外に65歳以上の方を対象とした短期(2泊3日)の合併症評価の入院を行っています。

 

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは骨の量(骨量)の減少や骨の性質(骨質)の悪化により、骨が弱くなり骨折しやすくなる病気です。糖尿病では骨密度だけでなく、骨質が悪化していると言われています。当院ではDXA(デキサ)法というX線を用いる方法で、骨密度だけではなく骨質も評価出来ます。

サルコペニア

サルコペニアとは加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指します。糖尿病ではサルコペニアになりやすく、サルコペニアでは糖尿病も悪化しやすいと言われています。体組成の検査で筋肉量を測定し、握力や歩行速度の計測で評価出来ます。

認知症

糖尿病ではアルツハイマー型認知症や脳血管型認知症になりやすいと報告されています。アルツハイマー型認知症は大脳の表面と海馬(記憶をつかさどる部位 )の萎縮を認めます。脳病変の有無はMRI、脳の血管の状態はMRA、海馬の萎縮はVSRAD(ブイエスラド)という検査方法で評価出来ます。

高齢者の短期入院で行う項目

● 一般検査(血液・尿検査・胸部X線・心電図)
● 骨密度
● 頭部MRI・MRA・VSRAD
● 頸動脈エコー・心エコー・ABI(動脈硬化・心臓の機能の評価)
● 腹部CT(膵臓や肝臓などの評価)
● InBody(インピーダンス法による筋肉量や体脂肪等の体組成の測定)
● 看護師による認知機能の簡易評価・嚥下機能 の確認
● 薬剤師による服薬確認・指導
● 管理栄養士による食事内容確認・簡易型自記式・食事歴法質問票(BDHQ)による食習慣の分析や、その改善に向けた具体的なアドバイス
● 理学療法士による筋力などの評価

※短期入院のため、血糖調節は行いません。

入院の結果をふまえて、なにか治療が必要な場合は退院後、主治医による処方の追加や必要時他科に相談して治療法を考えます。ぜひ、短期入院を活用してみて下さい。御希望の方は糖尿病内科にお問い合わせ下さい。

2022年07月01日