西陣病院だより

日本列島 ”食” めぐり「宮崎県」

(この記事は2022年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 今井  文恵

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

ぬたいも

 宮崎県は里芋の生産量が多く、収穫量は埼玉県、千葉県と並んで常に全国上位に位置しています。「ぬた芋」の名前の由来は定かではありませんが、和えるときに、ぬたぬたするので「ぬた芋」、また、酢味噌和えとしてよく知られる「ぬた和え」は「ぬるぬるしたところが“沼田”に似ている」ということに由来するといわれており、「ぬた芋」も同様の理由が考えられます。秋に収穫できる小さいサイズの『おちこ』と呼ばれる里芋が使われることが多かったようで、小さな里芋を有効に利用する先人の知恵が活かされた郷土食です。

(1人分)エネルギー 116kcal/たんぱく質3.3g/塩分1.1g

材料 (2人分) 作り方

●里芋・・200g
●味噌・・ 大さじ1
●白ごま(煎り)・・大さじ1 
●みりん・・ 大さじ1/2
●砂糖・・ 大さじ1

< 作り方 >

①里芋は皮つきのままきれいに水洗いし、鍋に入れる。里芋がかぶるくらいの水を加えて火にかけ、竹串がスッと通るまでゆでる。
②里芋がゆであがったら、熱いうちに乾いたふきんにとって皮をむく。
③白ごまをよくすり、砂糖・味噌を加えてよく混ぜ合わせる。
④③に里芋の1/3を熱いうちに入れ、つぶしてよくすり混ぜる。
➄④にみりんを入れる。
⑥残りの里芋は約1.5cmの厚さに切って➄に加えて和える。
⑦器に盛って、仕上げに白ごま(分量外)をふって完成。

 

2022年11月01日

日本列島 ”食” めぐり「香川県」

(この記事は2022年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 須惠  裕子

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

なすそうめん

 旬のなすと小豆島特産のそうめんを用いて、唐辛子で味を引き立てた郷土料理で、広く一般家庭に浸透しています。香川県以外にも、北陸地方や、奈良県などそうめんの生産地で郷土料理として食べられています。冷たくても温かくても美味しいお料理です。

(1人分)エネルギー 360kcal/たんぱく質16.5g/塩分2.4g(煮汁を全て摂った場合) ※ そうめんは茹でた後の塩分で計算しています。

材料 (2人分) 作り方

●なす・・2本
●素麺・・2束(100g)
●油揚げ・・ 1/2枚(60g)
●しょうが汁・・ 1かけ分
●赤唐辛子・・ 1本
●サラダ油・・ 小さじ2
●薄口醤油・・大さじ1と1/3  ※⑧ 
●砂糖・・小さじ2 ※⑧
●ごま油・・ 小さじ1/2
●だし汁(いりこ)・・ 350ml

① なすは縦4~6等分に切り、斜めに切り目を入れて水に浸けてあく抜きする。生姜はすりおろす。唐辛子は種を除き、1/3は輪切りにし、残りはそのままで使用する。
② 油揚げは油抜きし、三角形に切る。
③ 素麺は固めにゆでる。
④ 厚手の鍋にサラダ油を入れてよく熱し、なすを炒める。
➄ ④に②を加え、そのままの唐辛子、だし汁、⑧(材料2人分の※⑧)の調味料を加える。
⑥ 茄子が柔らかくなってきたら、素麵を入れて、ごま油としょうが汁を加える。
⑦ お皿に盛り付け、唐辛子の輪切りを上に飾る。

※ いりこだし 煮干し(10g)の内臓と頭をとり、水2カップ(400ml)と鍋に入れ、30分以上浸す。中火にかけ、煮立ったら弱火にし、アクがでてきたらすくいとり、7~8分煮てざるでこす。(煮出さず、一晩水に浸しておいても作れます。)

 

2022年09月01日

日本列島 ”食” めぐり「兵庫県」

(この記事は2022年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 竹島  綾香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

ハモすき

 ハモの名産地として有名な淡路島ならではの食べ方にハモすきがあります。初夏から夏にかけて旬を迎える淡路島のハモは、「はも延縄」と呼ばれる漁法で一匹一匹を丁寧に釣り上げられ、傷が少なく金色の美しい魚体をしていることから「べっぴん鱧」や「黄金鱧」などと呼ばれています。また、ハモすきに欠かせない淡路島産の玉ねぎは、一般的な玉ねぎに比べ、糖度が高く甘いのが特徴です。ハモすきでは脂がのり甘みがあるハモの身を、ハモの旨味と玉ねぎの甘みが合わさった上品なだしで味わうことができます。

(1人分)エネルギー 212kcal/たんぱく質24g/塩分2.1g ※ つゆは1/2量で計算

材料 (4人分) 作り方

●ハモ・・1匹
●玉ねぎ・・ 中2個
●だし汁・・ 800ml
●薄口しょうゆ・・ 70ml
●みりん・・ 70ml
●昆布・・ 10g

< ハモだしのとり方(あらがない場合は昆布のみでも可)>

①ハモのあらを軽く湯通し(霜降り)する。
②水1000mlに①と昆布を入れ、沸騰する前に昆布を取り出す。
③アクを取りながらひと煮立ちさせる。

< ハモすきの作り方 >

①ハモは骨切したものを2~3cm幅に切る。玉ねぎは半月切りにする。
②鍋にだし汁、薄口しょうゆ、みりん、玉ねぎを入れて火にかける。
③玉ねぎに火が通ったら、ハモを入れる。身が白くなり、ふんわり開けば食べ頃です。

※ お好みの野菜やきのこを入れても美味しく食べることができます

 

2022年07月01日

日本列島 ”食” めぐり「群馬県」

(この記事は2022年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 井尻  柊人

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

おっきりこみ

 群馬県を代表とする郷土料理となっており、幅広の生麺を、旬の野菜やきのこなどと一緒に 煮込んだ料理です。群馬県は、年間を通して晴れの日が多い気候と水はけのよい土壌に恵まれているため、小麦栽培が盛んで、小麦から作られる「粉もの食」が発展してきました。米が貴重だった時代には、小麦を使って毎日夕食は麺類だったという家も多かったようです。

(1人分)エネルギー 280kcal/たんぱく質21g/塩分1.8g

材料 (2人分) 作り方

<平打ちうどん>
●中力粉・・200g
●水(寒い時期はぬるま湯で) 90cc

<調味料>
●サラダ油(具材炒め用) 大さじ1
●だし汁・・ 800cc
●濃口しょうゆ・・ 小さじ1
●みそ・・ 40g

<具材>
●豚肉・・ 50g
●舞茸・・ 30g
●ごぼう・・ 1/4本
●大根・・ 50g
●人参・・ 15g
●白菜・・ 70g
●油揚げ・・1/4枚

①小麦粉に水を加えながら混ぜこねる。(そぼろ状になってまとまるまで)
②ビニール袋に入れて足で踏む。
③打ち粉をしながら麺棒で伸ばして包丁で切り、ほぐしておく。①~③は市販のうどんでも大丈夫です。
④食べやすい大きさに野菜類と油揚げを切る。なべに油をひき、舞茸を炒め良い香りがしてきたら、だし汁、野菜類、油揚げを入れ煮る。
➄15分程煮たら豚肉を入れる。
⑥調味料を入れて味を調え、うどんを入れる。
⑦5分程煮たら出来上がり。

 

2022年05月01日

日本列島 ”食” めぐり「岐阜県」

(この記事は2022年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 今井 文恵

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

鶏ちゃん

 鶏ちゃん(けいちゃん)とは、岐阜県の郷土料理の一つで、鶏肉に醤油や味噌をベースにニンニクや生姜などで下味を付け、キャベツやもやしなどの野菜と共に鉄板で炒めた料理のことです。戦中から戦後、下呂や郡上の田舎で、卵を産まなくなった採卵用のニワトリを食べたことが始まりと言われています。食肉が手に入りにくかった当時、「鶏ちゃん」は貴重な料理であり、盆や正月、親族の集まりや来客があるときなど、特別な時に振る舞われたそうです。

(1人分)エネルギー 329kcal/たんぱく質21g/塩分2.1g

材料 (2人分) 作り方

●鶏もも肉・・200g
●キャベツ・・ 150g
●もやし・・ 100g
●しいたけ・・ 4個
●サラダ油・・ 大さじ1
●小ねぎ(小口切り)・・ 適量

<みそだれ>
●料理酒・・ 大さじ2
●みそ・・ 大さじ1
●しょうゆ・・ 小さじ1
●砂糖・・ 小さじ1
●すりおろしニンニク・・ 小さじ1

① しいたけは軸を切り落とし、薄切りにする。
② キャベツはざく切り、もやしはさっと水で洗ってから水気を切っておく。
③ 鶏もも肉は一口大に切る。
④ ボウルにみそだれの材料を入れ、混ぜ合わせる。
➄ ④に③を加えて揉み込み、冷蔵庫で1時間ほど味がなじむまで浸ける。
⑥ 中火で熱したフライパンにサラダ油をひき、➄、②を入れて5分程焼く。
⑦ 鶏もも肉に火が通ったら①を加え、中火で炒め合わせ、キャベツがしんなりしたら火から下ろす。
⑧ 器に盛り付けて小ねぎを散らして完成。

 

2022年03月01日

日本列島 ”食” めぐり「青森県」

(この記事は2022年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 井尻 柊人

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

けの汁(粥の汁)

青森県の津軽地方の代表的な郷土料理です。米が貴重だった時代に刻んだ具材を米に見立てて食べたとされています。もともとは小正月の料理で、正月に家族の世話や来客対応に追われた嫁が小正月に里帰りする際、男衆のためにつくりおきしたもので、栄養豊富な保存食として、凍りついた汁を崩し温めなおして何日も食べたとされています。

(1人分)エネルギー 280kcal/たんぱく質21g/塩分1.8g

材料 (2人分) 作り方

●大根 100g(中1本)
●人参 60g
●ごぼう 35g
●わらび、ふき水煮 50g(山菜ミックスでも可)
●油揚げ 15g
●高野豆腐 20g
●大豆 60g(水煮または蒸し)
●昆布 15g
●水 500cc
●赤味噌 20g

①昆布を1~2時間ほど水に浸しだしを取ります。わらび、ふきの水を切り、高野豆腐を水で戻しておく。
②大豆はすり鉢で、細かくすりつぶす。
③ごぼうはささがきにして、わらびは2cm程度の長さに切り、だしを取った昆布、大根、人参、高野豆腐、ふき、油揚げは1cm角に切る。
④だし汁を入れた鍋に大根、人参、ごぼうを入れて、火にかけ、じっくりと煮る。火が通ったら、昆布、高野豆腐を入れ、混ぜる。
➄煮立ったら②のすりつぶした大豆を入れてひと混ぜし煮こむ。味噌を溶き入れ、わらび、ふきと油揚げを入れてさらに煮込んだら完成。

 

2022年01月01日

日本列島 ”食” めぐり「佐賀県」

(この記事は2021年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 安井 裕香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

呉豆腐(ごとうふ)

呉豆腐とは佐賀県有田町の郷土料理で、プルプルでもっちりとした食感が特徴の豆腐です。豆腐を作る際、水に浸した大豆を石うすですり潰し、圧力鍋で煮た状態を「呉(ご)」といい、それを絞り豆乳とおからに分けられます。一般的な豆腐は、豆乳ににがり等を加え固めますが、呉豆腐は葛粉やでんぷんを加え固められます。精進料理としてお盆などの行事で食されていたものが、普段の食卓にのぼるようになったようです。

(1人分)エネルギー 160kcal/たんぱく質5.5g/塩分1.1g

材料 (4人分) 作り方

<呉豆腐>
●無調整豆乳 200g
●片栗粉 大さじ2+1/2
●塩 ひとつまみ

<味噌だれ>
●麦味噌 大さじ1
●砂糖 大さじ1/2
●みりん 大さじ1
●白ごま 大さじ1

①鍋に豆乳、片栗粉、塩を入れ、片栗粉がだまにならないようによく混ぜ合わせる。
②片栗粉がとけたら、混ぜながら弱火~中火で加熱する。
③湯気が立ってきたら、弱火にし、木べらですくい上げて、ぽてっと落ちる程度に練り上げる。
④ラップで2等分に丸く包み、冷蔵庫で冷やす。
➄味噌だれの材料を鍋に入れ、煮立てる。
⑥冷やし固めた呉豆腐を器に盛り、味噌だれをかける。

 

2021年11月01日

日本列島 ”食” めぐり「岡山県」

(この記事は2021年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 竹島 綾香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

アミ大根

アミ大根とは、サクラエビの仲間である「アキアミ」と大根を炊き合わせた岡山の郷土料理です。「アキアミ」は「秋にまとまって獲れるアミに似たエビ」という意味からこの名前がついたといわれており、岡山県では「アミ」と呼ばれています。傷みやすいため、生のまま出回ることは少ないようですが、スーパーでは干しえびとしてよく見かけます。冬に向けてみずみずしく甘味が増す大根を、アミからでる上品なだしの味で楽しんでみてはいかがでしょうか。

(1人分)エネルギー 48kcal/たんぱく質2.3g/塩分1.1g ※煮汁は1/2量で計算

材料 (4人分) 作り方

●大根 400g
●アミ(干しえび) 10g
●醤油 大さじ3
●酒 大さじ2
●みりん 大さじ2
●砂糖 大さじ1
●水 300ml

①大根は皮をむいて、1.5cm厚に切る。
②鍋に水、調味料と大根を入れ、火にかける。
③沸騰したら、アミを入れ、落し蓋をして弱火で大根が軟らかくなるまで煮る。

 

2021年09月01日

日本列島 ”食” めぐり「三重県」

(この記事は2021年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 森田 美耶

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

盆汁

「盆汁」とは7種類の夏の旬野菜を入れたみそ汁です。江戸時代から三重県の禅宗の家庭で、お盆に殺生してはいけないとされていることから、カツオ節や煮干しの出汁を使わず食べていたのが始まりです。別名「七色汁(なないろじる)」と言います。食べ方は家庭によってお盆の八月の「朝の3日間」「14日か15日の昼」「16日の朝」などまちまちのようですが、精霊さんに「盆汁」を供えて、家族みんなでいただくのが習わしです。

(1人分)エネルギー 300kcal/たんぱく質3.2g/塩分1.4g

材料 (1人分) 作り方

●茄子 100g(中1本)
●南瓜 80g
●人参 30g(1/4本)
●さやいんげん(ささげ)30g(3本)
●里芋 50g(中1個)
●油揚げ 小1枚
●みょうが 15g(中1個)
●水 600cc
●赤みそ 大さじ2

① 茄子,南瓜,さやいんげん,人参,里芋,油抜きをした油揚げは食べやすい大きさに切る。
  茄子は切った後、水に浸けておく。みょうがは輪切りにして水に浸けておく。
② 鍋に水を入れて、沸騰したら南瓜,里芋を先に入れ、柔らかくなったら人参,茄子,さやいんげん,油揚げを入れる。
③ 具材に火が通ったら味噌を溶かし入れる。
④ 器に盛り、最後にみょうがをのせる。

 

2021年07月01日

日本列島 ”食” めぐり「神奈川県」

(この記事は2021年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 今井 文恵

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

けんちん汁

「けんちん汁」は、神奈川県鎌倉市にある建長寺(けんちょうじ)の修行僧が作っていた、たっぷりの野菜に豆腐をくずし入れて作る汁物料理が始まりです。この料理が評判で「建長寺汁」と呼ばれるようになり、後に「けんちん汁」に転じたと言われています。(他にも諸説あります)元来は精進料理なので肉や魚は加えず、だし汁も鰹節や煮干ではなく、昆布や椎茸から取ったものを使います。

(1人分)エネルギー 140kcal/たんぱく質5.7g/塩分1.1g

材料 (2人分) 作り方

●大根 50g
●人参 50g
●里芋 50g
●ごぼう 50g
●油揚げ 1/3枚
●青ネギ (小口切り) 適量
●ゴマ油 大さじ1/2
●だし汁 400cc (できれば昆布だし)
●酒 大さじ1
●薄口醤油 大さじ1/2
●塩 少々

① 油揚げは1センチ幅に切り、大根・人参は皮を剥き乱切り、ごぼうはたわしなどで泥を落としてから乱切りにしておく。
② 里芋は皮を剥いて塩をこすり付けてぬめりを出し水で洗って乱切りにしておく。
③ 鍋にごま油を熱し、まず大根、人参、ごぼう、里芋を入れ1分炒める。
④ ③にだし汁 400cc(できれば昆布だし)+酒 大さじ1杯と油揚げを入れ野菜が柔らかくなるまで中火で煮る。アクがでたら取り除く。
➄ 野菜が柔らかくなったら、薄口醤油 大さじ1/2+塩 少々で味を調える。青ネギをちらして完成。

 

2021年05月01日