西陣病院だより

日本列島 ”食” めぐり「埼玉県」

(この記事は2019年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 岩本 春奈

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

ゼリーフライ

~ゼリーフライ~

ゼリーと言っても、ゼラチンで固めたお菓子のゼリーではありません。じゃがいもとおからを合わせて小判型に整え、素揚げにしたコロッケのような料理でウスターソースによく合います。明治時代後期に、中国東北地方の野菜まんじゅうをアレンジして誕生したとされ、埼玉県行田市を中心に食べられています。現地ではお肉屋さん、お総菜屋さんなどにごく普通に並んでいるそうです。その名の由来は、形が小判に近いことから「銭富来(ぜにふらい)」と言っていたものが訛り、「ゼリーフライ」になったと伝えられています。おから料理といえば卯の花が定番ですが、ぜひ「ゼリーフライ」もレパートリーに加えてみてください。

 

●ゼリーフライ 1人分: エネルギー245kcal たんぱく質5.5g 塩分1.8g
材料 (4人分)(8個分) 作り方

じゃがいも 150g
人参 40g
たまねぎ 30g
白ネギ 30g
サラダ油 小さじ1

(A)----------
おから 150g
卵 1個
小麦粉 大さじ3
塩 ひとつまみ
こしょう 少々
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ウスターソース 大さじ4
揚げ油 適量

  1. じゃがいもは皮をむいて一口大に切り、水から茹でる。
    火が通ったら湯を切って、熱いうちにつぶす。
  2. 人参、たまねぎ、白ネギはみじん切りにする。
  3. フライパンに油を熱し、(2)をしんなりするまで炒めて
    取り出して粗熱をとっておく。
  4. ボウルにつぶしたじゃがいも、炒めた野菜、(A)を加え、よく混ぜる。
  5. ボウルの中身を8等分にし、小判型に成形する。
  6. 170℃の油で色よく揚げる。
  7. ウスターソースの中にゼリーフライをくぐらせて仕上げる。

 

 

2019年03月01日

日本列島 ”食” めぐり「福島県」

(この記事は2019年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 須惠 裕子

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

西陣病院、福島県

~こづゆ~

「こづゆ」は福島県会津地方の郷土料理です。会津藩のごちそう料理として生まれ、現在もお正月や冠婚葬祭など特別な日にかかせないおもてなし料理となっています。干し貝柱で出汁をとり、野菜などを加えた薄味のお吸物で、会津塗りのお椀でいただきます。具沢山の材料の数は、縁起の良い奇数が習わしのようです。名前の由来は「小吸物」から変化したもので、「かいつゆ」とも呼ばれていたそうです。

●こづゆ 1人分: エネルギー80kcal たんぱく質8.0g 塩分1.6g
材料 (4人分) 作り方

干し貝柱 40g
干し椎茸 4枚
(貝柱・干し椎茸の戻し汁) 3カップ
きくらげ 4g
里芋 160g
人参 80g
しらたき 1袋
豆麩 12ケ
淡口醤油 大さじ1
塩 小さじ1/4
酒 大さじ1

※何杯おかわりしても失礼にならない、
という習慣を考慮し多めの量に設定しています

  1. 干し貝柱、干し椎茸は水で一晩戻す。戻した貝柱は細かくほぐし、椎茸は軸を除いてさいの目切りする。
     (戻し汁はだしとして使用する)
  2. きくらげは水で戻し、石づきを除いて小さめにちぎる。
  3. 人参・里芋は1㎝厚さのいちょう切りにし、下茹でする。
  4. しらたきは3㎝長さに切り、熱湯でサッと茹でておく。
  5. 豆麩は水で戻し、水気を切る。
  6. 鍋に入れた戻し汁に、豆麩以外の材料を入れ火にかける。
  7. 調味料を加え、味をととのえ、最後に豆麩を加える。
※アレンジ例
 干し貝柱が手に入りにくい場合は、ホタテの水煮缶を代用してもよいでしょう(その場合は煮汁ごと使用しましょう)

 

 

2019年01月01日

日本列島 ”食” めぐり「熊本県」

(この記事は2018年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 竹島 綾香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

~いきなりだご~

いきなりだごとは、輪切りにしたさつまいもと小豆あんを小麦粉の生地で包んで蒸しあげる郷土菓子です。「だご」とは熊本の言葉で「団子」を意味し、「いきなり」は「簡単」、「手軽」などを意味します。「いきなりだご」は「いきなり」作れること、急な来客があっても「いきなり」出せることなどからそう呼ばれています。さつまいもは収穫直後よりも、2~3か月貯蔵したほうが甘みが増します。
冬の甘味が増したさつまいもを使って作ってみてはいかがでしょうか。

 

●いきなりだご 1人分: エネルギー141kcal たんぱく質2.7g 塩分0.5g
材料 (4個分) 作り方

さつまいも(直径5cm程度) 4cm
薄力粉 70g
ぬるま湯 大さじ2+1/2
塩 小さじ1/3
つぶあん(こしあん) 60g

  1. さつまいもの皮をむき、厚さ1cmに切り面取りしたあと、水にさらす。
  2. ぬるま湯に塩を溶かし、小麦粉を入れ、よくこねる。なめらかになったらぬれ布巾をかけ、30分程ねかす。
  3. (2)を4等分にして薄くのばし、中央にあんをのせ、さつまいも1個をかぶせる。
  4. 生地をのばしてさつまいもを包む。
  5. 蒸し器にぬれぶきんを敷き、団子を並べ、20~25分ほど強火で蒸しあげる。

 

2018年11月01日

日本列島 ”食” めぐり「高知県」

(この記事は2018年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 和歌﨑 清香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

西陣病院、高知県

~かつお飯~

高知といえばかつおが有名
かつおのタタキは高知では「土佐造り」と言われ特に有名ですが、かつお飯は土佐の漁師町に昔から伝わる家庭の漁師料理。土佐造りで食べた後、残ったかつおを炊き込みご飯にするようです。

●かつお飯 1人分: エネルギー270kcal たんぱく質10.8g 塩分1.0g
材料 (4人分) 作り方

米 2合
かつお(タタキでも良い) 100g
酒 大さじ1
薄口しょうゆ 大さじ1.5
みりん 小さじ1弱
生姜汁 少々

  1. かつおを1cm角に切る。
  2. 酒・薄口醤油・みりん・生姜汁を合わせた中に(1)を30分~1時間漬けておく。
  3. 米を研ぎ、(2)の調味料を入れて水の分量を合わせ、かつおも入れて炊く。


※かつおは暖流の回遊魚で、適度な水温を求め群れをなして移動します。
 春~初夏に獲れるものは「初がつお」、秋口のものは「もどりかつお」と呼ばれ、もどりかつおの方が脂がのっています。
2018年08月23日

日本列島 ”食” めぐり「京都府」

(この記事は2018年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 安井 裕香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

西陣病院、京都府

~いとこ汁~

いとこ汁は、京都市上賀茂地域の伝統行事「幸在祭」や、長岡京市浄土谷の8月13日にお精霊さんを迎える際の行事食で、邪気払いや子孫繁栄の願いが込められた精進料理です。
かぼちゃと小豆の他に、上賀茂地域では里芋を、長岡京市では茄子を入れしょうゆとみそで味付けした汁物です。「いとこ」の由来には諸説ありますが、それぞれの具材を別々(めいめい)に煮ることや、火の通りにくい材料を順々(おいおい)に煮るといった「姪と姪」や「甥と甥」から「いとこ」となったと言われています。

●いとこ汁 1人分: エネルギー120kcal たんぱく質6.3g 塩分1.1g
材料 (4人分) 作り方

茄子 1個
かぼちゃ 小1/4個
小豆の水煮缶 1缶(200g)
みそ 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
だし汁 2カップ

  1. 茄子、かぼちゃは1㎝くらいの食べやすい大きさに切る。
  2. 鍋にかぼちゃとだし汁を入れ煮る。
  3. かぼちゃに竹串が通るくらいになったら、茄子と小豆の水煮缶を加え煮る。
  4. あくを取りながら煮て、あくがなくなれば、みそ、しょうゆで味をつけひと煮立ちする。
    ※火を入れすぎると、茄子や小豆が煮 崩れします。
2018年07月01日

日本列島 ”食” めぐり「静岡県」

(この記事は2018年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 今井 文恵

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

西陣病院、静岡県

~桜えびと新ごぼうのかき揚げ~

静岡県駿河湾は桜えびの国内水揚げ量が100%です。桜えびの量を減らさないように、漁は3月下旬から6月上旬と10月下旬から12月の期間で、のべ30日から40日程度に限られています。漁港の近くでは、とれたての生のものを食べることもできますが、多くのものは干したり、塩茹でにして売られています。

●桜えびと新ごぼうのかき揚げ 1人分: エネルギー254kcal たんぱく質0.0g 塩分0.0g
材料 (4人分) 作り方

桜えび(乾物) 20g
新ごぼう 100g
玉ねぎ 50g
三つ葉 1/2把
小麦粉 20g

<衣>
卵 1個
水 3/4カップ
小麦粉 80g

揚げ油 適量

  1. 桜えび(乾物)は水小さじ2をふりかけて湿らせる。
  2. ごぼうはささがきにする。玉ねぎは薄切りにする。
    三つ葉は2㎝程度の長さに切る。
  3. ボウルに(1)と(2)を入れて小麦粉と絡ませる
  4. 衣の材料を混ぜ合わせる。その中に(3)を入れ、さらに軽く混ぜ合わせる。
  5. 揚げ油を170℃くらいに熱し、(4)をスプーンですくい入れ、
    少し固まったら箸で広げるようにして油を通し、両面を4~5分かけてカリッと揚げる。
  6. (5)を食べやすい大きさに分け、丸めて平らにする。
※桜えびは乾燥のまま揚げると焦げやすく苦くなるので、水で湿らせてから使います。
※一般的なごぼうの旬は冬ですが「新ごぼう」とは秋に植えたものを初夏に収穫したごぼうのことで、柔らかく香り高いという特徴があります。
2018年05月01日

日本列島 ”食” めぐり「岩手県」

(この記事は2018年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 竹島 綾香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

西陣病院、岩手県

~みそばっけもち~

春の訪れを告げる山菜として有名なふきのとうのことを、この地方では「ばっけ」と呼びます。みそばっけもちとは細かくしたばっけとくるみを味噌で和え、焼いたもので、おやつや酒の肴として親しまれています。香り高く、ほろ苦いみそばっけもちを食べながら春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。

●みそばっけもち 1人分: エネルギー126kcal たんぱく質4.6g 塩分1.7g
材料 (3人分) 作り方
鶏もも肉 300g
ばっけ(ふきのとう) 50g
くるみ 15g
味噌 40g
小麦粉 60g
水 大さじ2
サラダ油 5g
砂糖 小さじ1/2
お好みで唐辛子
  1. ばっけは外側の皮と根元、周りの黒ずんだ部分を取り除き、大きめの鍋で3~5分ほど茹で、ざるにあげて冷水にさらす。
  2. (1)の水気を切って細かく刻む。
  3. くるみを細かく刻む。
  4. ボールに(2)、(3)と味噌、小麦粉、砂糖を入れ、水を少しずつ加えてもち程度の固さになるまでこねる。
  5. 唐辛子で好みの辛さに味を調整する。
  6. (5)を食べやすい大きさに分け、丸めて平らにする。
  7. フライパンにサラダ油をひき、(6)の両面を焼く。
♪ (1)で冷水にさらす時間が長いほど苦みが少なくなります。
2018年02月27日

日本列島 ”食” めぐり「長崎県」

(この記事は2018年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 小笹 清香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

西陣病院、長崎県

~ヒカド~

江戸時代、長崎に渡来した南蛮料理。ポルトガル語で「細かく刻む・調理する」という言葉が由来で、すりおろしたさつま芋でとろみをつけた具だくさんの汁物です。冬の寒い日に食べるとポカポカと体が温まります。

●ヒカド 1人分: エネルギー140kcal たんぱく質8.5g 塩分1.0g
材料 (3人分) 作り方
マグロ 50g
(下味用:塩少々、酒少々)
豚もも肉 50g
大根 100g
人参 40g
さつまいも(角切り) 100g
さつまいも(すりおろし) 50g
干し椎茸 3枚
青ネギ 15g
だし汁 450cc
(昆布・かつお・干し椎茸戻し汁)
サラダ油 少々
塩 小さじ1/5
みりん 小さじ1
薄口醤油 小さじ2
酒 小さじ4
  1. マグロを角切りにして、塩と酒で下味をつける。
  2. 大根・さつまいも・干ししいたけは1.5cmの角切り、豚もも肉は食べやすい大きさに、人参は厚めのいちょう切り、ネギは小口切りにする。
  3. 鍋に油を入れて(1)を炒め、表面に焼き色がついたら一旦鍋からおろす。同じ鍋で、豚肉・人参・干ししいたけ・大根・さつまいもを順番に入れて炒め、だし汁を入れる。
  4. 沸騰してきたらアクを取り除いて、(3)のマグロを加える。
  5. すりおろしたさつまいもを鍋に入れる。(すぐにトロミが出てくる)
  6. 酒・薄口醤油・塩・みりんで味をつけながら煮込み、器に盛りつけてネギを散らしたら出来上がり!
≪アレンジ例≫  マグロの代わりに、甘鯛・イトヨリなど旬の魚を最後に溶き卵を流し込むのも良い
2018年01月01日