現代の日本で高齢者の栄養失調が問題となっていることをご存じでしょうか?
「粗食が健康にいい」「野菜中心」と食事に気を付けているご高齢の方々、
段々と体重が減ってきていませんか?
栄養失調になると体力が落ち病気になりやすく、また治りにくくなります。
現代の日本で栄養失調?
日本の高齢者の2割が低栄養であるといわれ、およそ半数に低栄養のリスクがあるといわれています。BMI(body massindex = 体重[kg]/ 身長[m]2)を指標にすると18.5未満の場合低栄養と考えられます。高齢者は食欲が低下し、飲み込む力が弱くなり、噛む力も落ちるので食べられる量が少なくなることが主な原因です。また生活習慣病を心配してカロリーや脂肪を控えめにすることは中高年世代には必要なことですが、高齢になってもそれを続けていると栄養失調になることがあります。
低栄養は何が問題?
肺炎や癌、手術後などたくさんの病気や傷が治りにくく入院期間が長引くと言われています。
また骨折や転倒、認知症の危険性も高まるとされています。
「図1」はもともと低栄養がある高齢患者さんが病気や事故で救急入院したとき経過が悪いことを示すデータです。
低栄養を防ぐためには?
バランスの良い食事
バランス良く食べ、特にたんぱく質(肉・魚・大豆など)は筋肉を増やして体力がつきますので積極的に摂りましょう。
高齢者ほど必要な栄養素と言えます。(肝不全や腎機能障害がある場合は担当医とご相談ください。)
食べやすい形にする
硬いものや噛みにくいものは柔らかく煮たり小さく切ったりして食べやすくしましょう。歯が悪い時は治療しましょう。
間食を利用する
すぐにおなかがいっぱいになる場合は間食をして食べる回数を増やしましょう。市販の高カロリー栄養剤を利用するのも効果的です。
食べる順番に気を付ける
最初に汁物で口を潤し、野菜やおかずから食べ始めましょう。ごはんを先に食べるとすぐにおなかがいっぱいになり量が食べられず栄養も偏ってしまいます。
体重を維持し低栄養にならないためには日々の食事への意識が大変重要です。
超高齢化社会である我が国では医療費増加の抑制にもつながりひいては国民全体の福祉にもつながります。高齢者と家族、地域が一体となって高齢者の低栄養を防ぐ枠組み作りが必要です。