西陣病院 消化器内視鏡センターの特設ページ(https://www.nishijinhp.com/Digestiveorganlp/)
消化器内科センター長 稲垣医師が2024年5-6月に行われた第107回日本消化器内視鏡学会総会にてBest Reviewers Award for 2023を受賞し表彰されました。この賞は日本消化器内視鏡学会の英文誌Digestive endoscopy誌において多大な貢献をしたものに与えられます。
消化器内視鏡センターは当院本館地下1階の画像診断センター内に2016年6月に開設しました。当センターは日本消化器病学会認定施設、日本消化器内視鏡学会指導施設に認定されており、12名の内視鏡医(指導医 6名、専門医 6名)と9名の看護師(内視鏡技師 5名)で日々内視鏡検査・治療を行っています。
内視鏡室は3室あり、内1室には内視鏡専用のX線透視装置が設置されています。
第1内視鏡室
スタッフルーム
洗浄室
(この記事は2022年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
消化器内科部長
消化器内視鏡センター長
稲垣 恭和
消化器内視鏡センターでは 2022年1月より内視鏡システムを全てオリンパス社製の最上位機種であるEVIS X1に更新し、最新のスコープも導入致しました。EVIS X1は世界初の5LED 光源を搭載しており、EDOF(Extended Depth of Field:被写界深度拡大)などの最新観察技術により、より明るく鮮明な画質での内視鏡観察が可能となっております。また、オリンパス社独自の NBI/RDI/TXI などの特殊光観察技術により、通常では発見できない微細病変の発見や、より安全で確実な内視鏡治療が可能となりました。当センターでは今後もチーム一丸となってより良質な医療を提供させて頂けるよう努力してまいります。
いわゆる「胃カメラ」と言われている最も一般的な内視鏡検査です。食道・胃・十二指腸を観察し、癌や潰瘍、ポリープ、ピロリ菌感染などの診断を行います。最近では逆流性食道炎という病気が増えてきていますが、食習慣・生活習慣の欧米化が要因の一つと考えられています。また、最近NBIと呼ばれる特定の波長の光を用いて消化管粘膜を拡大観察することにより通常の光(白色光)では見えにくかった早期癌がより見えやすくなることがわかり、以前にもまして癌をより早期に診断できるようになりました。
肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸まで観察します。大腸癌は近年増加傾向にありますが、早期発見できれば内視鏡切除や腹腔鏡下切除により治癒が期待できる疾患です。胃カメラと同様にNBIや拡大観察による精密な検査が可能です。
食物の消化に必要な「胆汁」と「膵液」は、それぞれ肝臓・膵臓で作られ、十二指腸へ分泌されます。胆膵内視鏡検査は、十二指腸に挿入した内視鏡から胆管(胆汁の通路)と膵管(膵液の通路)に造影剤を注入して病気(胆石症、膵炎、胆道癌、膵癌など)の診断や治療を行います。
内視鏡の先端に超音波発生装置が装着された内視鏡を用いた検査です。粘膜面からの内視鏡観察では判断できない、消化管粘膜の下の構造を観察します。癌の深さの診断、粘膜の下に存在する腫瘍の診断、膵臓、肝臓など消化管の近くに存在する臓器の腫瘍の観察に用います。超音波内視鏡で観察しながら針状の器具を用いて粘膜の下の腫瘍や膵臓・肝臓の腫瘍から細胞を採取することにより以前は困難であったこれらの腫瘍の診断が可能となりました。
小腸は十二指腸の更に奥から始まる長さ約6mの細長い腸管で、従来の内視鏡では観察は困難な臓器でした。数年前よりカプセル内視鏡やバルーン内視鏡が登場し、小腸疾患の診断・治療が可能となってきました。
近年、より低侵襲な外科治療を目指して内視鏡医と外科医が合同で行う手術方法が開発され、実際に当院でも行っています(西陣病院だより2012年7・8月号で紹介しています)。
内視鏡件数の推移
当センターでは種々の内視鏡治療を積極的に行なっておりますのでその一部を紹介します。
表面陥凹型早期胃癌
マーキング
周囲切開
全周切開終了
切除直後
切除標本
ESD件数の推移
治療前
硬化剤注入
X線で確認
胃の粘膜下腫瘍
超音波内視鏡画像
穿刺