■腎臓・泌尿器科部長 透析センター長 小山 正樹
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)とは、腎障害を示す所見や腎機能低下が慢性的に続く状態で、そのまま放置しておくと末期腎不全となって血液透析や腎移植を受けなければ生きられなくなってしまいます。現在、日本には約1,330万人のCKD患者さんがいるといわれています。これは、成人の約8人に1人に相当する数です。また、血液透析を受けている患者さんも、約30万人を超えており、毎年1万人ずつ増え続けています。さらにCKDでは、心臓病や脳卒中などの心血管疾患にもなりやすいことが明らかになっており、いかにCKDを治療し、心血管疾患を予防するかが大きな問題となっています。
私たちの健康において重大な役割を担っており、まさに“肝腎かなめ” の臓器です!
腎 臓 の 働 き |
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①老廃物の除去 |
②体液量の調節 |
③浸透圧・血圧の調節 |
④電解質のバランスを整える |
⑤ホルモン分泌 |
近年、CKD の進行を抑える方法がわかってきたことから、「慢性腎臓病を早期に発見し治療をする」 ための取り組みが日本中で始まっており、当院でも平成22 年9 月より、慢性腎臓病外来を開設して おります。当外来では、慢性腎臓病の進行を抑えることを目的として、腎機能維持、腎機能改善の 治療に取り組んでいます。
心血管疾患を予防するためにも、早期に腎障害を発見し治療を行うことが重要であります。CKD と診断された患者さんは心機能の検査、心血管疾患と診断された患者さんは腎機能の精査をお薦めいたします。当院でのCKD の3泊4 日の教育入院では、腎機能のみならず心機能検査も合わせて行っております。
当院におけるCKD教育入院のタイムスケジュール
1日目 | 検尿 心電図 レントゲン 24時間血圧測定 DVD学習 内服確認 |
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2日目 | 動脈血採血 腹部CT検査 水分体重管理 腹膜透析・血液透析の説明・見学 |
3日目 | 心臓超音波検査 脈波伝播速度検査 DVD学習 |
4日目 | 検尿 退院後の療養計画 栄養指導 薬剤指導(腎臓に影響を及ぼす薬) など |
当院では、かかりつけの医師と連携し、情報の共有を円滑に行うことを目的とした「医療連携パス」の活用を推進しています。(右図)当院の慢性腎臓病外来を初回受診された際に、「医療連携パス」を配布させていただきますので、かかりつけ医および当院受診の際には、「医療連携パス」をお持ちいただきますようよろしくお願いします。