血中から人体に有害な物質(尿素・アンモニア・免疫複合体・過剰リポ蛋白、エンドトキシンなど病気の原因となる物質)を体外へ除去し、病態の改善を図る治療法です。除去したい物質によっていろんな種類があり、最も一般的に行われているのは腎不全の患者さんに行う透析療法です。
などがあげられます。
透析療法は基本的に腎不全の患者さんに行います。
腎不全になると尿となり体外に排泄される水分や老廃物が体内に貯留し、最終的には尿毒症に陥ってしまいます。そのため、腎臓の変わりに水分や老廃物を除去したり、身体に必要な物質を補充するのが透析療法です。
1~3は拡散にて行われる
4は限外濾過にて行われる
腎臓の働きには他にもホルモンの産生・代謝や、血圧の調整を行っています。これらの働きは透析療法で代行することが出来ないため、薬により調整する必要があります。
透析の原理は拡散と限外濾過で行われています。
水溶液中の物質は、濃い方から薄い方へ移動し、均一な濃度になる性質があります。この現象を拡散といい、透析はこの性質を利用しています。血液と透析液が透析膜を隔てて接触すると、透析膜には非常に小さな孔があいていて、分子量の小さな物質は濃度の濃い方から薄い方へ透析膜を通って移動し、濃度が均一になります。
透析膜の片側の溶液に圧力がかかると、溶液は膜の反対側に押し出されます。これを限外濾過と呼びます。血液透析の場合、血液側から透析液側へ圧力がかかっており、血液中の水分が押し出され、体内にたまってしまった水分を除去します。
ダイアライザーの中空糸の中には血液が、中空糸の外には透析液が流れます。
ダイアライザーの膜は半透膜になっており、膜を介して拡散を行い物質の除去や補充を行います。また透析液はA剤とB剤に分かれており、その二つをRO水(原水から特別な方法で不純物を取り除いたとてもきれいな水です)で溶解し合わすことで完成します。
組成 | Na | K | Ca | Mg | Cl |
---|---|---|---|---|---|
濃度 | 140.0mEq/l | 2.0mEq/l | 2.5mEq/l | 1.0mEq/l | 114.5mEq/l |
組成 | CH3COOH | HCO3 | C6H12O6 | ||
濃度 | 8.0mEq/l | 25.0mEq/l | 150.0mg/dl |
組成 | Na | K | Ca | Mg | Cl |
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濃度 | 140.0mEq/l | 2.3mEq/l | 2.6mEq/l | 1.2mEq/l | 113.96mEq/l |
組成 | CH3COOH | HCO3 | C6H12O6 | ||
濃度 | 4.2mEq/l | 30.0mEq/l | 150.0mg/dl |
体内から除去したい物質(BUNなどの老廃物)は透析液に含まないことで物質が透析液に移動し除去することが出来ます。
一定の濃度に保ちたい物質(電解質など)は透析液に一定濃度含むことで、物質は血液から透析液へ、または透析液から血液へ移動しその濃度に近づきます。
体内に補充したい物質(HCO3など)は透析液に血液より高濃度含むことで、物質は血液に移動し補充します。