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ジェネリック医薬品とは?

(この記事は2012年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 薬剤部 主任 牛嶋 麻紀


ジェネリック医薬品とは?

◆ジェネリック医薬品とは?

 “ジェネリック=generic name=一般名”の意味です。後発品と呼ばれることもあります。(一般名とは、商品名ではなく、薬の成分の名前です。)

 医療用医薬品は特許問題があり、新薬の発売後10年程度、つまり特許が切れるまでは同じ薬を販売することができません。つまり、全ての薬にジェネリック医薬品がある訳ではありません。新薬は最初に開発・発売されたことから“先発品”と呼ばれてます。一方ジェネリックとは、この特許が切れた後に申請、販売された薬です。つまり、効果は同じものなのです。

 ジェネリック医薬品は先発品と異なり、開発にかかるコストが大幅に削減されているため、先発品に比べると安値になっています。(おおまかに言ってしまうと、既に安全性等も分かっている化合物を真似て作り、検査などの手間が少なくなるので安くなります)またジェネリックの薬価(厚生労働省が定めた薬の値段)は新薬の約2~8割と定められています。ジェネリック=安値、という図式はこういった経緯が関与してくるのです。

 WHO(世界保健機構)も、ジェネリック医薬品の使用促進を推進していますし、ジェネリックの使用割合が低いと言われている日本も厚生労働省がジェネリック医薬品の使用促進を奨めています。慢性疾患の場合、薬代もかさんできますし、こういった薬で少しでも医療にかかる経済負担が軽減されることが望まれています。


◆効果は同じ?

 先に発売された新薬と同じく厚生労働省の元試験がされ、許可がおりたもののみが製造を認められます。健康な成人に先発品とジェネリックを投与し、有効成分が体にどうやって入って
いき、出ていくかといった試験が行われますし、また作られた製剤品が品質に問題ないかなどの試験も行われています。つまり、効果が同じ薬しか世に出回れないようになっています。

 ただし、同じなのは成分だけです。剤形(薬の形状)などが異なることも多く、含まれる添加物などが先発品とジェネリックでは異なります。ここの部分で効き方も違い、場合によっては副作用を感じるケースも往々にしてあります。

 全ての薬にジェネリックがあると勘違いされている方もいらっしゃいますが、新しい薬は先に記載したとおり特許の問題もありジェネリックがありません。また、ジェネリック同士でも添加物などが異なるため効き方が違ってくる場合もあります。ジェネリックに興味のある方は、保険薬局でも相談にのってもらえますので、お気軽にご相談ください。


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新年なので初心に帰って薬の飲み方についてのお話です

(この記事は2012年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


中野葉子 薬剤部 薬剤師 中野葉子

  病院でもらう薬のほとんどは「食後」に飲むように薬袋(やくたい:薬が入っている袋)に書かれています。普段何気なく飲まれていますが、実は薬を「食後」に飲むのには昔から次の2つの理由があると言われています。

 ひとつめは『飲み忘れ防止』です。条件反射として食事の後には薬!と食習慣と服薬を関連付けておくと、便利でかつ間違いのない方法だと考えられてきました。

 ふたつめは『胃粘膜の保護』です。錠剤やカプセルの中にある薬の成分は、胃の中で溶け出して腸で吸収されます。薬が溶け出す時に胃の粘膜を刺激すると考えられているため、食後に飲む方が刺激を抑えられます。

 「食後」とは「食事を終えて30分」という意味ですが、「食事の30分後に服用しないと!」と30分間時計を眺めなくても大丈夫、30分以内に服用すれば問題ありません。また、食事をしない時も、食事をするような時間帯に飲んでください。特に血圧の薬などは食事に関係なく、一定の間隔で毎日規則正しく飲み続けることが大切です。

用法

 ただし、糖尿病治療のための血糖値を下げる薬に関しては、食事を摂らなかった場合は薬を飲まないのかどうか主治医に相談してください。特に、「食直前」や「食直後」などのように食事に関連した飲み方が記載されている場合は、それを守らないと低血糖などの重大な副作用をきたす場合があります。

 また、「食間」に飲む薬は「食後」に飲んでも吸収が悪く効果が出なかったり、「食直後」に飲む薬は食べ物がないと吸収されにくいため空腹時に飲んでも効果が出なかったりします。このように、「食後」以外に細かく指示された飲み方にはそれぞれの理由があるので、飲めない時や飲み忘れた時の対応については薬剤師に相談しましょう。

 薬袋に書かれた飲み方で、どうしてもその時間に飲むと不都合があったり、忘れてしまう、などということがあれば、医師または薬剤師に相談して下さい。

 薬と良い関係を築いて、今年も良い一年をお過ごしください。


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円錐角膜とハードコンタクトレンズについて

(この記事は2012年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



山岸 景子 眼科 医長 山岸 景子

 円錐角膜とは、角膜の中央部分の厚みが薄くなり、通常は球面である角膜が前方へ円錐状に突出する病気です。症状としては、角膜の強い乱視のため視力が低下します。思春期ごろに発症し、徐々に進行して30歳を過ぎると大抵進行は止まるとされています。原因は今のところ不明ですが、目をこする癖やアトピーのある人に多い傾向にあります。角膜形状検査などで、角膜中央部、もしくは中央よりやや下方の角膜のカーブが急であれば円錐角膜と診断されます。基本治療としてはハードコンタクトレンズ(以下HCL)の装用、円錐角膜が高度に進行してHCLの装用が困難になれば角膜移植です。最近は角膜移植に至るまでの治療として(保険適応外ですが)進行を抑制するためのクロスリンキングという治療や角膜の突出を改善するために角膜内にリングを埋めるという治療が出てきました。

 円錐角膜でHCLを装用する理由は大きく2つです。1つめはHCLによる型押しの要領で角膜突出の進行を(ある程度ですが)抑えてくれるためです。また、2つめはHCLを装用すると眼鏡やSCLに比べて格段に良好な矯正視力が得られるためです。HCLは素材が固いため装用に慣れるまでは異物感が強く、一般の患者様には敬遠されがちです。しかしながらその素材の硬さゆえにHCLと角膜の間に涙が入り、その涙液レンズが角膜の光学面を改善して不正な乱視を矯正して良好な視力が得られるのです。これは円錐角膜に限らず、すべての角膜乱視にあてはまります。

円錐角膜 HCLはその患者様の眼瞼の形、角膜表面の形、瞬目の強さなどによって最適なデザインが異なりますので、当院ではサンコンタクトのカスタムレンズを導入し、レンズのサイズ、ベースカーブ、周辺のデザインを何十種類という中から患者様一人一人に合うように選んでいます。さらに診察時にコンタクトのフィッティングを見ながらHCLに修正を施し、角膜の形状の変化に合わせてHCLを交換して、できるだけ痛くなく、眼への負担も少ないHCLの処方を心がけています。



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認知症とMRI

(この記事は2011年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


山川先生 放射線科 部長 山川 稔隆

 高齢化に伴い、認知症を持つ患者数が増加し、大きな社会問題となっています。認知症はいくつかの病気が原因となって発症する病気ですが、その最も多い原因がアルツハイマー病です。

 アルツハイマー病は大脳の皮質に異常なタンパク質が溜まり、神経細胞が死滅し、脳が徐々に萎縮して発症します。現在、アルツハイマー病を完治させる薬はありませんが、症状の進行を遅らせる薬(アリセプト)があり、効果が期待されています。アルツハイマー病の診断は専門医による問診と、MRIなどにより脳の萎縮を見て判断します。アルツハイマー病の脳萎縮は、側頭葉の海馬(正確には海馬傍回)と呼ばれる場所から萎縮が始まり、徐々に側頭葉→前頭葉と萎縮が広がっていきます。治療効果を高めるには、早期の段階で診断し、内服治療を早く始めることが大切です。アルツハイマー病の早期では、海馬傍回の萎縮も軽いため、MRIの画像から肉眼で海馬傍回の萎縮の程度を判断するのは困難です。この海馬傍回萎縮の判定をコンピュータで行うのがVSRAD(ブイエスラド)です(図1)。

 VSRADは患者様の脳の画像を、正常者の脳の画像の平均と比較し、統計学的な解析を行い、きわめて正確に海馬傍回の萎縮の度合いを数値化してくれます。この数値が2.0以上の場合、アルツハイマー病の可能性が高いといえます。VSRADは造影剤を使用しませんので、造影剤アレルギーや副作用の心配もありません。通常のMRIと同じように検査を受けていただけます。ただ、先ほども述べましたように、アルツハイマー病の診断は画像だけで判定はせず、専門医による問診や診察で総合的に判定されますので、VSRADの数値のみで即断されることの無いようにお願いいたします。


認知症とMRI_図1認知症とMRI_図2
図1図2

 認知症の2大原因はアルツハイマー病と脳血管性認知症(多発脳梗塞による認知症)で、これらは完治が難しい認知症なのですが、治療可能な認知症もあり、その代表が慢性硬膜下血腫と正常圧水頭症です。

 慢性硬膜下血腫(図2)は高齢者が頭をどこかにぶつけて(軽い外傷のことが多く、本人も気づかないほどです)、脳の表面の血管がわずかに傷ついて、脳と頭蓋骨との間にゆっくりと血腫が溜まっていき、脳を圧迫する病気です。認知症や半身麻痺などの症状が徐々に進行していきます。頭蓋骨に小さな穴をあけて血腫を吸い出すと、症状が劇的に改善します。

 正常圧水頭症は、高齢のためや、くも膜下出血や頭部外傷などの後遺症のため、髄液の吸収が悪くなり、脳の中の脳室に髄液が溜まって脳室が拡張し、認知症・歩行障害・尿失禁などの症状をきたしますが、シャント手術を行い、溜まった髄液をうまく逃がしてやることで、症状は改善します。慢性硬膜下血腫にしても正常圧水頭症にしてもMRIで簡単にわかります。

 西陣病院画像診断センターではVSRADを含めた頭部MRI検査を行っております。西陣病院にかかっておられる患者様だけでなく、近隣の診療所に通院されていらっしゃる患者様も、主治医のご依頼があれば当院の画像診断センターでMRI検査を受けていただけます。お心当たりのある症状をお持ちの患者様は主治医の先生とご相談ください。


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外来看護部門の紹介

(この記事は2011年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


伊藤科長 看護部 外来科長 伊藤 良子
外来スタッフ
 私たち外来スタッフは、看護師27名、看護アシスタント2名、視能訓練士1名で、患者様の看護を行なっています。また、内科外来では、医療アシスタントが、医師とともに患者様のお話を聞かせていただき、診療の補助を行なっています。画像診断センターでは、臨床工学技士や放射線技師と連携を取りながら仕事をしております。

内視鏡室
 外来看護師の役割には、様々な診療科の補助に加え、内視鏡を使用した検査や治療、心臓カテーテル法による検査や治療、外来化学療法などの看護があります。また、皮膚排泄ケア認定看護師によるストーマ外来も毎月1回(第1火曜日)実施しております。



 外来看護で、気をつけなければいけないことは、できるだけ患者様をお待たせすることなく、診療や検査を受けていただくことだと考えています。そして、限られた時間の中で、患者様が、心配に思っていることや、困っていることにお答えしたいと考えています。それでも、お待たせすることがあると思います。「遅いな」と感じた際にはスタッフにお声をおかけください。また、家での療養で心配なこと、お困りのことがあれば、スタッフにお声をおかけください。


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