NEWEST / < NEXT   BACK >

認定看護師紹介 -認定看護師の役割-

(この記事は2011年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


 1996年、日本看護協会は、高度化、専門分化が進む医療現場の看護ケアの広がりと、質の向上を図るために、資格認定制度を発足させました。資格を取得するためには、600時間の専門教育を受けたあと、筆記試験に合格しなければなりません。認定看護師には全部で21の専門分野があります。今回は、西陣病院・訪問看護ステーション西陣の2名の認定看護師を紹介いたします。


訪問看護認定看護師 訪問看護ステーション西陣 副主任 市来 香


 訪問看護は病気や障害を持った人が、住み慣れた地域やご家庭で、その人らしく療養生活を送れるように、看護師等が生活の場へ訪問し、看護ケアを提供し、自立への援助を促し、療養生活を支援するサービスです。

 訪問看護師の役割には看護現場における①実践②相談③教育があります。入院期間が短縮化され、在宅医療が重視されるようになってきた現在、今後ますます在宅療養者は、増加すると言われています。しかし、訪問看護の活動や、活動による成果はまだまだ知られていない部分があります。私たちは、在宅療養生活を満足の高いものへと変えていくために、医師や社会福祉士、施設の看護師や、薬剤師、管理栄養士、事務員等と連携し利用者様の療養生活における問題を解決していきます。そして、訪問看護で利用者さまに起こった良い変化を、多くの人に知っていただき、多くに人に訪問看護をご利用いただきたいと考えています。それが、認定看護師の相談・教育の役割を果たすことになると思います。

 在宅療養者の身体の状況や、生活全般が安定するよう「治療」と「生活」の両方の視点をもちコーディネイトできることは看護師の強みです。今は資格を取得したばかりで、まだ、十分な力を発揮できていませんが、多くの方が訪問看護を利用して、我が家で、安心して楽しく暮らしていただけるようにお手伝いしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


皮膚・排泄ケア 認定看護師 看護部 主任 多氣 真弓


 皮膚・排泄ケア認定看護師は、傷のケア、人工肛門や人工膀胱(ストーマ)のケア、便尿失禁のケアを専門に行う看護師です。認定看護師となって、4年目に入り、現在は専従看護師として、院内を横断的に活動しています。

 「傷のケア」の中で、最も多いのが、褥瘡(床ずれ)です。院内には褥瘡対策委員会が、設置されており、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、社会福祉士と連携をとりながら予防的なケアから治療まで行っています。また、在宅で介護をされている方や施設に入所している方からの相談も受けておりますので、お気軽にご相談下さい。

 「ストーマケア」は、外科や泌尿器科の医師と連携をとりながら、人工肛門、人工膀胱を造設される方に術前からケアを行っています。また、退院後、安心して生活できるようにストーマの専門外来を月1回(第2火曜日、14:00~)、予約制で行っています。

 ストーマ外来では、ケア方法のチェック、ストーマケアに関わる製品の紹介、生活相談などを行っています。

 「失禁ケア」は、排泄物によるスキントラブルのケアや尿道バルーンカテーテルの管理を主に行っています。

 現在の医療の要は、「チーム医療」と「地域連携」と言われています。院内のみならず、地域の医療チームの一員として、専門的な知識や技術の提供ができるようにしていきたいと考えておりますので、皆様、どうぞよろしくお願いします。

| Copyright 2011,11,01, Tuesday 10:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

インフルエンザの時期になりました

(この記事は2011年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



薬剤部 部長 三宅 健文

 インフルエンザの薬物療法には、「ノイラミニダーゼ阻害薬」と呼ばれる抗インフルエンザウイルス薬を使う「原因療法」と、症状を和らげるためのくすりを使う「対症療法」があります。

 インフルエンザウイルスに対して、直接的に作用する抗ウイルス薬が使用されるようになりました。従来の対症療法とは本質が違い、ウイルスの増殖を抑え、症状の重症化や長期化を食い止めることができます。抗ウイルス薬には、ドライシロップや吸入薬、経口薬があります。

 インフルエンザウイルスは増殖のスピードが速いため(24時間で100万倍に増えます)、症状が出現して48時間以内にウイルスの増殖のピークがきます。このため、48時間以内に服用しないと“くすりの効果”が現れにくくなります。

 また対症療法では、高熱の場合には解熱鎮痛薬(熱を下げるお薬)を、黄色痰(たん)など細菌の二次感染が疑われる場合には、抗菌薬(細菌を殺すお薬)を使います。

 薬を服用することで、高熱や体の痛みを緩和することができますが、高熱や体の痛みを緩和できても、インフルエンザウイルスに対する直接的な効果はありません。インフルエンザの治療に抗菌薬による薬物治療が処方される場合がありますが、解熱鎮痛剤と同じで、インフルエンザウイルスに直接作用するものではありません。

手洗いうがい インフルエンザにかからないためには、まずきちんとした予防対策をとる必要があります。室内の換気を良くして、室内の湿度を保つために加湿器を設置するなど、室内の空気環境にも配慮が必要です。インフルエンザウイルスは、くしゃみや咳によって感染する可能性があります。鼻水や唾液、咳が手に付着すると、感染するので、うがいや手洗いは必須です。テーブルやドアのノブなど、とくに手に触れる機会が多い場所には、消毒液を用いてこまめに拭き取るなど、室内にある物にもインフルエンザの予防対策が必要です。とくに、インフルエンザが流行する時期には、このような配慮が必要不可欠となります。


| Copyright 2011,11,01, Tuesday 10:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

経口補水液(ORS)で手術前の体調を整えましょう!

(この記事は2011年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



麻酔科・手術室 部長 中川 博美


経口補水液 手術の成功のためには、手術を受けられる方ご自身でも体調を整えていく必要があります。手術前には、禁煙や断酒、十分な栄養摂取や睡眠、また、風邪をひかないなど体調管理に気をつけていただくことが大切です。そして、麻酔や手術の合併症を避ける目的で、手術の前日の夜からは食べたり飲んだりせずに点滴で水分や栄養を補給します。ところが、最近では、点滴の代わりに経口補水液(ORS: Oral Rehydration Solution)を用いた経口補水療法(ORT: Oral Rehydration Therapy)を行い、手術前の絶飲時間を短縮するようになってきました。

 経口補水液(ORS)とは、水分と電解質を素早く補給できるように塩分と糖分の濃度を調整した飲料です。スポーツ飲料に似ていますが、スポーツ飲料よりも糖分が控えられ脱水で失われる塩分が補充されています。ORSの歴史は、世界保健機関が1970年代にコレラ感染時の脱水症の治療にORSを推奨し、大きな成果を上げたことに始まります。その後、2003年にはアメリカ疾病管理予防センターがガイドライン「小児における急性胃腸炎の治療―経口補液、維持および栄養学的療法」において、軽度から中等度までの脱水症へのORSの使用を推奨するようになりました。我が国では、2002年頃から小児や高齢者の脱水症の治療だけでなく手術前後の点滴の代わりとしてORSが使用し始められ、最近では、手術からの早期回復にORSが有用であったと報告されるようになりました。

 西陣病院では、2010年の夏から麻酔科・外科・整形外科・泌尿器科・外科系病棟・手術室・栄養科・事務部の共同の取り組みとして、術前経口補水療法(ORT)を開始しました。術前ORTは術後の回復力を高め、安全性の向上・術後合併症の減少などを目指した術後回復力強化プロトコールの1要素でもあり、手術を受けられる方の順調なご回復を目的に行うものです。術前ORTが実施された方では点滴をした時のように痛い思いをせず、また、行動も制限されることがないので、手術の直前まで安全に快適に過ごしていただけるようになりました。ORSの水分・電解質の補給効果は点滴と同じ、あるいは、それ以上といわれていますので、より良い体調で手術を受けていただけるようになり、続く術中・術後の点滴療法もより適切に行えるようになりました。特に、もともと体内の水分保持量が少なく脱水状態に気づきにくいご高齢の方が手術を受けられる場合には、点滴よりも自然な形で水分を補給することができる術前ORTは大きな威力を発揮しています。

 この1年間で、すでに300名以上の方々に術前ORTが実施されました。多少、塩味が気になられた方もいらっしゃいましたが、約70%の方がORS全量を摂取され、約60%の方が「飲みやすかった」との感想をお持ちでした。そして、約80%の方が手術直前まで口渇や空腹を感じることなく、自由にくつろいで過ごされたご様子でした。「手術前に飲むものがあって助かった」、「次の手術でもORSを希望する」などのご意見も頂戴しました。なお、手術の内容やお体の状態によっては術前ORTが実施できない場合がありますので、適応判断は主治医や麻酔科医にお任せ下さいますようお願いいたします。


| Copyright 2011,09,01, Thursday 10:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

腎臓を守る薬のはなし

(この記事は2011年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



薬剤部 薬剤師 中野 葉子

腎臓を守る薬について
 慢性腎臓病(CKD)という言葉をご存じですか? CKDとは腎臓の働きが低下し、尿にタンパクが何カ月も出る症状を言います。治療せずに放置しておくと腎不全となり、人工透析(腎臓の代わりに機械的に体をきれいにする方法)を必要とします。加齢と共に腎臓の働きは低下してきますが、自覚症状がほとんどありません。『気付いたら腎臓が悪くなっていた!』ということがないように、まずは血液検査(血清クレアチニン値)や尿タンパク検査を3ヶ月に1回程度受けて腎臓の状態を把握しましょう。


 糖尿病や高血圧の人は、そうでない人よりも早く腎臓の働きが低下すると言われています。特に高血圧は腎臓に負担をかけるため血圧をきちんと下げることが大切です。腎臓が悪くなってくると、体内の塩分のバランスが崩れて血圧が高くなってきます。そして血圧が高い状態が続くとさらに腎臓への負担が大きくなり腎臓病が進みます。


 血圧をきちんと下げるには、減塩(6g/日以下)と血圧を下げる薬をしっかり服用することが重要です。血圧を下げる薬を何種類も服用されている方も多いのではないですか? 実は、『血圧を下げる薬』とひとことで言ってもいくつかの種類があり、それぞれで作用する部位が違います。中には、腎臓の血管に働きかけて負担を軽くし、尿にタンパクが出るのを減らす働きを持つものがあります。(西陣病院採用薬:タナトリル、レニベース、ミカルディス、ブロプレス、ディオバン、オルメテック、アバプロ、ラジレス)血圧が目標値(130/80㎜Hg)以下であっても腎臓を守る目的で医師から処方されることもあるので、もらった薬を調節したりせずに毎日定期的に服用を続けてください。「食事を摂らない時は薬を飲まなくていいの?」という質問をよく受けますが、血圧を下げる薬は食事に関係なく、1日の決められた回数を決められた時刻に服用することをお勧めします。


| Copyright 2011,07,01, Friday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

透析センターのご紹介

(この記事は2011年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



看護部 透析センター科長 佐伯副部長


 西陣病院透析センター看護部は45名の看護師と5名の看護アシスタントが在籍しています。

 看護部の中では一番所帯の大きな部署です。患者様は390名あまりおられ、腹膜透析をされている方も8名おられます。多くの患者様に対して、患者様個々への対応や継続した看護が充実したものになるように、今年度から固定チームナーシングを具体的に取り組み始めました。従来から分かれていた3ブロックを更に2チームずつ計6チームに分け、情報を集約及び伝達しやすくし、また、チームでカンファレンスをし、患者様に合った看護を考え、ベテランから新人まで統一したより良い継続看護を提供したいと考えています。担当看護師は極力自分の担当患者様のところに出向き、患者様の話に耳を傾け、名前で呼んでもらえるように信頼関係を築く事が目標です。

 また、多くの患者様を看るためには機能的に動かなければならないことも少なくありません。コメディカルが集まり、フットケア委員、リン・カルシウム委員、CAPD委員、バスキュラーアクセス(シャント)委員、糖尿病管理委員、CKD委員、感染対策委員、事故・災害対策委員、記録委員、教育委員、貧血委員など月一回の委員会を持ちスタッフ全員が役割を持って活動しています。また、採血データを一元管理して内服薬・注射薬の与薬量の調整をきめ細かくかつ効率的に医師のサポートが出来るようにしています。

 更に、透析に至らないために慢性腎臓病治療にも力を入れています。腎臓は自覚症状の少ない臓器です。気づいた時には末期腎不全の一歩手前という事も少なくありません。早期に治療を開始し生活習慣を改善すれば、透析をせずにすむか、もしくは遅らせることが出来ます。各科のスタッフが集まり腎臓病教室や教育入院なども行っていますので、血圧が130㎜Hg以上ある方や糖尿病の方、尿にたんぱくが出るという方はかかりつけの先生に相談され、是非一度腎臓病教室にお越し下さい。

透析センターのご案内


| Copyright 2011,07,01, Friday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

NEWEST / PAGE TOP / < NEXT   BACK >

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACK


LINK

PROFILE

OTHER

POWERED BY

BLOGNPLUS(ぶろぐん+)