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利用者の尊厳を守るために -西陣病院通所リハビリの虐待防止とご家族支援のとりくみ-

(この記事は2010年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


デイケア室主任 作業療法士 石原 祐子


西陣病院通所リハビリテーション(デイケア)では、どのようなときにも自分らしく安心して過ごしいただけるよう、虐待を防止し、利用者様の尊厳を守るとりくみをおこなっています。

◆高齢者虐待とは

・その方をお世話する人によっておこなわれるもの
・その方がサービスを受けておられる施設の職員によっておこなわれるもの

◆具体的には

・暴力などによって身体に痛みや傷を与える、身体を拘束するなどの、身体的虐待
・その方にとって必要なお世話をせず、その方の状態を悪化させる、介護やお世話の放棄、放任
・けいべつする、おどかす、無視する、いやがらせをする、悪口を言うなどの、心理的虐待
・その方の合意なしにおこなわれる、あらゆる性的な行為やその強要
・その方の合意なしに財産や金銭を使う、希望される金銭の使用を理由なく制限する、経済的虐待

◆ 利用皆様の尊厳を守るために、わたしたちは次のとりくみをしています。

1 .どのような場合にも、ご本人様の意思をご確認することにつとめ、安全に配慮しつつ、できる限りそのご意思にそった対応をいたします。
また、ご自分から意思表示をすることがむずかしい方に対しては、職員の側から声かけをおこなって、ご希望をききとるようつとめています。

2 .小さな変化も見逃さぬよう、常におひとりおひとりのごようすに目を向け、お変わりがあれば、全職員でその情報を共有しています。

3 .虐待が疑われるときは、みつけた職員がただちにデイケア室責任者に報告、担当支援事業所や主治医などと相談して、緊急性、事実確認の方法、安全確保の方法、援助の方法を、組織的に検討します。
緊急を要するときは、何よりもまず、ご本人様の安全の確保を最優先に対応いたします。

4 .苦情申し立て窓口について、デイケア内の担当者名ともに、京都府や京都市など外部の相談窓口、高齢者虐待110番の連絡先を、デイケア室入り口に掲示しています。また、いつでもご見学いただける体制をとって、透明性の高い運営につとめています。

5 .利用者様が在宅生活を送られる上で、ともに生活しておられる方が、健康に気持ちよく過ごされることは、非常にたいせつであると考えます。同居、お世話されているご家族の方の孤立を防ぎ、ご負担の軽減をはかることによって、ご本人様、ご家族様双方の尊厳を守るために、「ご家族のための相談窓口」担当をおき、営業時間中、いつでもご相談をお受けする体制をとっています。
担当者は、ご家族様の立場に配慮しながら、全職員、担当ケアマネージャー、他サービス、西陣病院介護保険相談室などと、問題の解決にむけて、協力しています。
また、連絡帳を使ってご家族との情報交換をしたり、家族会を開催して、ご家族様どうしで交流していただく機会を設けています。

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手術室の紹介

(この記事は2010年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


手術室 科長 堀 さとみ

 手術室は3室あり、手術室スタッフは看護師13名と看護アシスタント1名の計14名で、年間約1300件の手術に対応しています。

 患者様にとって一大事である手術を安心して、安全に受けていただけるよう外科系医師・麻酔科医師と連携し、あらかじめ計画された定期手術だけでなく、消化管穿孔や外傷など、急を要する手術にも迅速かつ的確に対応できるよう準備をしています。

 入院後に手術をお受けになられる患者様には、麻酔担当看護師が病室に訪問させていただき、手術室での処置の説明を行い、ご質問やご希望を伺っています。

 例えば、意識のない全身麻酔手術の場合、患者様は楽な体位を言えませんし、自分で寝返りもできません。私達は、術前訪問で患者様の体型や手術前の体の状況を把握し、長時間の手術でも安楽で安全な体位を考え、尚かつ医師が手術をしやすい状況をつくります。手術中は常に患者様の傍に寄り添っています。

 手術後には患者さまを訪問し、手術に関して何かお困りになった事などがなかったか、などをお聞きしています。

 私達は手術の時だけでなく、手術前から手術中、手術後を通して関わらせていただくことで、スタッフ全員がより良い手術室看護を皆さまに提供できるよう日々取り組んでおります。

 また、去年から安全対策の一つとして、タイムアウト(誤認手術防止の確認)を実施しています。手術室へ入られる際、患者様にもお名前と手術部位の確認をさせていただいておりますのでご理解とご協力をよろしくお願い致します。

 手術室は怖い所というイメージをお持ちかもしれませんが、マスクの下には笑顔いっぱいの明るく元気なスタッフが働いておりますので、手術をお受けになられる患者様は安心して手術室にお越しください。

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サプリメントについて

(この記事は2010年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤科 副主任 福本 郁子

 近年、健康づくりに対する関心の高まりから、「サプリメント」を利用する方が多くなっています。
 サプリメントとは、米国での食品の区分のひとつであるダイエタリー・サプリメントを略した言葉で、不足しがちなビタミンやミネラル・アミノ酸などの栄養補給を行う、あるいはハーブなどに代表されるように、含有成分による薬理作用様効果の発揮を目的とする食品を指します。
 今回は、数多くあるサプリメントのなかで、注意を要するものについて紹介します。

◆イチョウ葉エキス、ニンニク、朝鮮人参を含有するもの
 血液を固まりにくくする作用を有するため、抜歯や手術時に注意が必要とされる代表的なサプリメント。手術前に中止する期間に関しては、データが不足しており明らかにされていませんが、米国では手術前2~3週間は摂取を避けることが推奨されています。アスピリンやワルファリンのような抗凝固作用を有する薬剤を服用している場合には、出血のリスクが増加する可能性があるのでとくに注意が必要です。
 また、EPA(イコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)のような魚油を含有するものも出血のリスクを増加させる可能性が指摘されています。

◆セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)
 ワルファリン、強心剤(ジゴキシン)、免疫抑制剤、経口避妊薬、抗HIV薬など多くの薬剤の作用を低下させます。

◆クロレラ、青汁
 これらには多くのビタミンKが含まれており、ワルファリンの作用を減弱させます。ワルファリン服用中は摂取を避け、摂取する場合には医師・薬剤師に相談してください。また、サプリメントではありませんが、ワルファリン服用中に摂取してはいけない食品として、納豆があります。
 今回は、一部のサプリメントについて記載しました。サプリメントのなかには、薬と相互作用のあるものや、治療に影響を及ぼす可能性のあるものもあります。摂取する際には、1日の摂取目安量を守り、安全性に十分注意して使用してください。

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『京の里山 丹波紀行』 -写真展示に癒されて-

(この記事は2010年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

本館3階 科長 三宅 加代美


 西陣病院では、平成19年から一部の病棟で本院の患者さまでもあった、福井章二さん・千鶴子さん夫妻のご厚意で写真を展示してまいりした。写真は患者さま、ご家族、病院スタッフにも好評のため、今年の4月からは、『京の里山 丹波紀行』をテーマに院内の各階2点ずつ計25 点の写真を展示しています。
展示写真
 写真には、かやぶき民家や棚田、草花、桜や鯉のぼりなど季節を感じる京都市北部の風景が写っています。病棟では、入院中の患者さまが歩行訓練の合間に足を止めて眺められたり、面会の方と一緒に写真を見て話をされる姿を良く見かけます。

 入院されている患者さまは、病気になり気が滅入っていたり、入院期間が長くなり外の景色にふれられずストレスが溜まっている患者さまも多いです。病院という非日常な空間では、田舎の風景や草花などの写真は心が和み癒されます。

 看護スタッフも地方出身者が多く、患者さまと一緒に足を止め写真を見たり、夜勤の合間のふとした時に写真をながめ、遠い田舎の風景や家族を思い懐かしく感じています。

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インフルエンザワクチンのはなし

(この記事は2010年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤科 主任 森本 卓志


 この西陣病院だよりが発行される頃は、まだまだ残暑きびしい日が続いている事と思います。インフルエンザワクチンの話は、少し季節的に早い?ような気がしますが、実はインフルエンザワクチンの事は年中どこかしこで話題となっているのです。この原稿を書いている7月にこの冬に使用されるインフルエンザワクチンの内容が決定しました。(例年は5~6月頃に決定しています)

☞ ワクチンはいつからある?

 インフルエンザワクチンは1943年にT・フランシスというアメリカ人によって開発され、日本では1948年頃から接種が開始されているようです。

☞ ワクチンの中身は?

 毎冬流行に大きくかかわるインフルエンザの型にはAソ連型、A香港型、B型の3種類があり、ここ何年もこの3種類に対するワクチン(季節型インフルエンザワクチン)が使用されてきました。しかし、昨年は新型インフルエンザが流行したため、余分に新型用のワクチンを接種した方も大勢いたことと思います。今年の冬に使用するワクチンは従来の季節型ワクチンの中に新型用のワクチンが入っているため(新型、A香港型、B型の3種類が入っています)、1回の接種で済むようになっています。

☞ ワクチンの中身は誰が決める?

 世界的にはWHOの専門家会議で選定され、それを受け国立感染症センター等の専門家が前年の流行状況などをみて最終的に決められます。

☞ ワクチンの効果は?

 ワクチンを接種すれば、インフルエンザにかからないといった誤解がありますが、ワクチンはあくまでも「かかりにくくする」「かかっても重症化を防ぐ」為のものです。成人では、45%の発病を防ぎ、80%の死亡を防ぐという報告があります。

☞ ワクチンの副作用は?

 ワクチンの副作用は、接種した部位の腫れや赤み、熱がでたり全身がだるくなったり(ワクチン接種によってインフルエンザになったわけではありません)といった症状が比較的多くみられます。また、アレルギー反応や、因果関係がはっきりしていませんがその他重い副作用があります。

☞ 今年のワクチン接種は?

 今年も西陣病院ではインフルエンザワクチン接種の実施を予定しています。しかし現段階では、接種開始日や方法など未定となっています。詳細が決まり次第、お知らせする予定となっています。

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