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(この記事は2008年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤科科長 三宅健文
お薬手帳は、あなたに処方されたお薬の名前や飲む量・回数などの記録を残すための手帳です。どのようなお薬を、どのくらいの期間使っているのか、お薬手帳をお見せになれば、同じお薬や、飲みあわせのよくないお薬が出ないようにチェックできます。
どのように使うの・・・
まずは・・・(初級編)
①西陣病院を受診するときやかかりつけの薬局やかかりつけ医院に行かれるときは、
必ずお薬手帳をお持ちになって、医師・薬剤師に見せてください。
(薬局ごとに何冊も貰う必要はありません。いつも同じものをお持ちになって下さい。)
②書かれているお薬の情報をよく読んで下さい。
③疑問に思ったことは、薬剤師にご相談下さい。
慣れてきたら・・・(応用編)
①お薬や健康のこと、医師・薬剤師に聞きたいことをあらかじめ書き留めておきましょう。
②お薬を使い始めてからの体調の変化や症状、使いやすさなどを書き留めておきましょう。
③副作用かと思われる症状が出た時は、お薬を飲んだ時間・食事の内容・体調の変化や症状,その日の出来事などを書いておくと、相談するときに便利です。
④病院や医院にかかるときや、市販薬・健康食品を薬局で購入するときも医師や薬剤師に手帳を見せてください。
お薬手帳は、あなたの服用している薬の歴史を記録に残し、薬をより安全により効果的に使っていただくための手帳です。
必ず、外来受診時や入院される時、またかかりつけ薬局へ薬をもらいに行く時は持参してください。
過去の関連記事です
「お薬手帳」をご存知ですか[2005年9月]
| Copyright 2008,03,31, Monday
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(この記事は2008年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
内科部長 竹中信也
大腸の壁の部分的に弱くなったところが、外側に袋状にふくらんだ状態を憩室と呼びます。
憩室が出来る原因はいろいろありますが、その一つとして、腸内の圧力(腸管内圧) の上昇があげられます。慢性の便秘があると腸がふくらみ、排便時に力んだりすると腸管内圧が上昇し、次第に腸の壁の弱い部分がふくらんでいきます。ストレスなどの精神的緊張でも大腸の収縮が高まり、腸管内圧が上昇します。
大腸憩室は頻度の高い疾患で、アメリカ人では60歳以下の50%に、80歳以下ではほぼ全員に認められるそうです。欧米では大腸の左側にあるS状結腸で憩室が見つかりやすいのに対し、日本人は右側にある上行結腸に多いと言われています。日本でも近年、食事の欧米化により食物繊維の摂取が減少し、大腸憩室を持っている人が増加しています。
憩室があるだけでは症状はなく、治療の必要はありません。しかし憩室に便などが詰まって炎症を起こすと、憩室炎となり問題となります。
憩室炎とは、憩室が炎症や細菌感染を起こした状態のことを言います。腹痛、悪寒、発熱、排便習慣の変化といった症状が起こります。多量の出血(血便)が起こることもあります。重症例では腹膜炎になったり、膀胱および脛へ穿孔を起こしたり、腸管の壁が破裂したりします。
軽い憩室炎を繰り返していると、瘢痕により腸管が細くなり、ひどい便秘に悩まされる事もあります。
軽症では抗生物質を服用し、食事を制限することで治療を行います。場合によっては緩下剤を使用することもあります。
重症例では入院を要し、絶食にして抗生物質の点滴を行います。腸に穴が開いてしまった場合(大腸穿孔)には、外科的手術となることもあります。多量に出血(血便)を認める場合には、緊急内視鏡(大腸カメラ)を施行し、出血している憩室をクリッビングして止血します。それでも止血できないときは、血管造影で出血している血管を塞栓させます。輸血が必要になる場合もあります。
憩室炎を疑う症状が現れた場合は、できるだけ早く消化器内科を受診してください。大量の出血(血便)を認めた時には、迷わず救急車を呼びましょう!
大腸憩室は再発しやすいので、日頃から野菜などの繊維質の多い食べ物を多く取りましょう。その際には良く噛んで食べてください。歯が悪い方は、食物繊維の多く含まれる飲み物がお勧めです。また、お薬で排便コントロ-ルをしておきましょう。
予め、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で憩室の数、場所を確認しておくと、憩室炎の診断治療がスムーズに進められ、重症化を防ぐことができますので一度、主治医に相談してみてください!
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(この記事は2008年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
整形外科 医師 高取良太
頚椎は7個の椎体(骨)と椎体間をつなぐ椎間板、椎間関節から主に形成されます(図1)。頚椎は頭部と体幹部をつなぎ、頭部を支える役割を果たすため、非常に負担がかかる部位です。頚椎に負担がかかると、交通事故などの外力に伴う頚椎捻挫や、慢性的な肩こりを引き起こす場合があります。今回、頚椎に関わるいくつかの疾患をご紹介させていただきます。
頚推椎間板ヘルニア
椎間板が加齢とともに変性し、椎間板の-部が後方へ突出することで、神経根や脊髄を圧迫し、症状を引き起こします。30~50歳代に多く、頚部から肩、上肢にかけて、痛みやしびれが生じます。重度の場合には歩行障害や排尿障害が生じます。
頚椎症
50歳以降に多く発生し、変性、変形が進んだ椎間板、椎間関節やそれに伴い骨が変形してできた骨柄(こつきょく)、肥厚した靭帯などにより、様々な症状をきたします。頚部、肩甲骨付近の痛みや肩こりなどの局所症状、片側の神経根を圧迫することによる頚部から肩、上肢にかけての痛みやしびれ(神経根症)、脊髄を圧迫することによる手足の運動障害や排尿障害(脊髄症)などが症状としてみられます。
関節リウマチによる頚椎病変
関節リウマチは全身の関節に関節炎を生じる疾患ですが、約20~30%の患者さんに頚椎病変が生じます。特に環椎(第1頚椎)と軸椎(第2頚椎)をつなぐ環軸関節において、変形が徐々に進行し、環軸関節亜脱臼が生じます(図2)。この病変は頑回な後頚部痛などの症状や、進行すると脊髄圧迫に
よる脊髄症をきたす場合がありますので、専門医による診療が必要です。
頸椎の疾患では、神経根や脊髄などの圧迫症状が出現した場合、手術による加療を必要とする場合があります。しかし多くの場合、鎮痛剤や筋緊張緩和剤などによる薬物療法や神経ブロック、姿勢の指導、体操、筋力訓練などによる運動療法や頚椎牽引、温熱刺激、電気刺激などによる物理療法といった治療法が有効ですので、ぜひ一度整形外科外来を受診してみてください。
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(この記事は2008年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤科科長 三宅健文
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は、生理的昇圧物質(血管を収縮させ、血圧を上昇させる)である「アンジオテンシンⅡ」の作用を抑え、血圧を下げる薬です。最近開発された薬で、安定した効果が期待でき、「ACE阻害薬(アンジオテンシンⅡの生成を抑えます)」と似た作用ですが、副作用である咳が起こりにくいのも特徴です。
『心臓や腎臓などの臓器に対する保護作用に優れている』や『新規の糖尿病の発症が少ない』など、降圧効果以外にも様々な作用があると言われています。
また、ARB投与によって、一時的に腎機能が低下したり、血液中の力リウム濃度が上昇したり、血管浮腫(顔や首などが腫れる)などの副作用が現れる場合があります。
★ 降圧薬(血圧を下げる薬)を飲むときの注意点
降圧薬は、長い間飲み続けるものです。その間に他の薬を飲んだり、症状が変わったり、様々なことが起こる可能性があります。薬の服用で不安があるときには、早めに医師に相談するようにしましょう。
★ 自分の判断で中止したり、量を変えるのは危険です
-時的に血圧が下がったからといって、自分の判断で服用を止めたりすると、血圧は戻ってしまいます。血圧の上下が繰り返されると血管に傷を付ける原因ともなり、非常に危険です。
★ 飲み忘れても、まとめて飲まないでください
1回飲み忘れたからといって、まとめて飲む必要はありません。気が付いた時点で、1回分だけ飲めば大丈夫です。飲み忘れがないように、飲む時間を習慣化するなどの工夫をしましょう。
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(この記事は2008年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
西陣病院 外科 福本兼久
今回は、大腸がんに対する抗がん剤治療についてお話しします。
大腸がんは生活様式の変化から近年国内でも急激に患者数が増加しており、死亡率も男性では肺がん、胃がん、肝がんについで第4位ですが、女性では第1位です。
多くは早期発見、外科手術により完治させることが可能ですが、残念ながら手術後に再発したり、手術前に肝臓や肺に転移があり手術だけでは治せない場合も増加しています。そのような場合には手術以外の治療法として、薬による治療いわゆる化学療法(抗がん剤治療)が行われます。以前は大腸がんに対する有効な抗がん剤は少なく、副作用が強い割に効果が弱い薬も多かったのですが、1980年代後半から様々な抗がん剤が開発され、現在はそれらの抗がん剤を組み合わせて投与する多剤併用療法が行われるようになり、大腸がん患者さんの生存期間は大幅に改善しました。具体的には、数年の間に約10ヵ月も延び、抗がん剤治療を受けている人の約半数が20ヵ月を超えて生存できるようになりました。現在も新しい抗がん剤の開発や臨床試験が多数行われており、更なる生存期間の改善が期待されています。では、実際の抗がん剤治療について少し詳しく説明します。
一般的に抗がん剤治療は、次の2つの目的に分けて行われます。
1.手術後に再発を予防するため(補助化学療法)
2.手術でがんがとりきれない場合にがんが大きくなるのを抑えるため
1. 手術後の再発予防のために行う抗がん剤治療として現在一般的に行われているのは、
UFT(ユー・エフ・ティー)カプセルとロイコボリン錠(ユーゼル錠)を約6ヵ月から1年間服用します。これらの薬は、副作用も少なく、外来で処方されて他の薬と同じように服用することができます。
既に、抗がん剤を服用しなかった場合に比べて服用した方が、再発率が低いという報告もあり、術後に再発の可能性が高い場合は杭がん剤治療を行っています。
2.手術でがんが全てとりきれなかった場合や再発した場合は、注射や飲み薬の抗がん剤を組み合わせた治療が行われます。具体的には、注射剤の5-FU(ファイブ・エフ・ユー)とロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチンなどを組み合わせたり、飲み薬と注射を組み合わせたりして行います。2時間ぐらいから約2日間かけて行うものまで様々な方法がありますが、副作用が少ない場合は2週間毎の外来通院で行っています。
当院では週二回(月・水)化学療法専門外来を行っていますので、詳細は担当医または化学療法外来担当看護師までご相談ください。
なお、当院は日本がん治療認定医機構研修施設の認定を受けています。
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