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(この記事は2007年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤科 三宅 健文
くすりを飲んでコントロールしましょう・・・
主な薬物療法は、すい臓を刺激してインスリンの分泌を促すくすり(スルホニル尿素薬)、食後の異常な血糖上昇を抑えるくすり(αグルコシターゼ阻害薬)、インスリンの利用効率を上げるくすり(インスリン抵抗性改善薬)の飲み薬とインスリンがほとんど分泌されない人や不足の人のためのインスリン注射があります。
どちらも効果がないからといって医師に相談せず、勝手にやめたり、多く使ったりしてはいけません。くすりを飲み始めて調子が悪くなったら、必ず医師や薬剤師に相談してください。
あなたの服用している薬はどれですか?(西陣病院採用医薬品のみ掲載)
ところで、話は変わりますが・・・
毎日暑い日が続くと、どうしても摂取量が増える水分。昔に比べるとコンビニや自動販売機で簡単に飲料が手に入るので、ついつい余分に摂取してしまいがち…。一般成人が一日に摂取して良い砂糖は10~15gくらい(日本人の平均摂取量は20gと言われています)。特に暑い夏頃に、喉が渇いた時に、□あたりのよいジュース、コーラ、サイダー、スポーツドリンクなどをたくさん飲むと、飲んだ直後は□の渇きもなくなり、気持ちよいのですが、直ぐに血糖値が上昇します。血糖が上昇すると□が渇くため(血糖コントロールが不十分な場合のどが渇くのと同じことです)、さらに清涼飲料水をついがぶ飲みするという悪循環になります。これが「ペットボトル症候群」と言われるものです。
ペットボトル1本(500mL)で約30~50gの砂糖が入っています。夏の暑い日とかに2本飲むともうそれで2日分以上の砂糖を摂取したことになります。
清涼飲料水には、いろいろなキャッチフレーズがあります。例えばノンカロリーとは100gあたリ5kcal未満の食品に、カロリーオフ/低カロリーは100gあたリ20kcal以下の食品に表示できます。また糖分ひかえめとは砂糖・ぶどう糖が100gあたリ5g以下の食品に表示でき、甘さひかえめとは何の基準もありません。
必ず食品表示を確認し、糖質や塩分量、カロリーなどを確かめる必要があるでしょう。
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(この記事は2007年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
内科 葛西恭一
口から飲み込まれた食物は、喉を過ぎると食道という細い管を通った後に胃の中に入って消化が始まり、栄養分・水分が腸で吸収され、便となって肛門から排泄されます。
胃食道逆流症(GERD)とは、噴門部(胃の人り□)が緩むことにより胃酸などの胃内容物が食道へ逆流するために自覚される症状のことで、逆流性食道炎とも呼ばれます。症状としては「胸焼け」が代表的で、「げっぷ」「食事がつかえる感じ」「胃のもたれ」などを自覚されることが多いです。これらの症状以外に、「胸の痛み」、「背部の痛み」、「咳」、「喉の不快感」 など様々な症状として自覚されるため、循環器科や呼吸器科、耳鼻咽喉科を受診されることもしばしばあるようです。肥満傾向の人、コルセットなどにより腹部を圧迫している人や、腰が曲がった高齢者などに多く、特に飲酒後や甘いもの・脂の多いものを食べた後、食後にすぐ横になると症状が出やすいと言われています。
以前は高齢者に多い病気と考えられていましたが、近年の生活習慣の欧米化に伴い20歳代や30歳代の若年者に発症することも多くなってきています。GERDの患者様を胃カメラで観察すると、噴門部は緩み、食道粘膜は炎症を起こして潰瘍を形成し、重症の場合は出血を伴うため吐血の原因になる場合もあります。
治療法としては、第一に生活習慣の改善が挙げられます。
・体重を減らすこと、
・食後すぐに横にならないこと、
・コルセットなどによる腹部の圧迫に注意すること、
などが必要です。夜間に症状が強まる場合は、なるべく頭の位置を高くすることで胃酸の逆流を少なくすることができます。薬物治療としては胃酸を弱める薬(プロトンポンプ阻害剤など)の効果が高く、GERDの患者様の大半に投与されています。
しかし、生活習慣の改善が不十分な場合は薬を減らしたり中止したりすると再び症状が出てくることが多く、長期間投与が継続される場合があります。薬物治療の効果が乏しい場合や中止が出来ない場合、外科手術が行なわれることがありますが極めて稀です。
また、ごく一部の施設では胃カメラを用いて緩んだ噴門部を縫うことが可能となってきましたが、まだ一般病院には普及してはいません。
最近、〝食道に炎症所見を認めない胃食道逆流症(NERD)″が注目されるようになってきました。詳しく検討してみると、NERD患者様のおよそ半数はプロトンポンプ阻害剤の効果がないといわれています。この場合は胃酸ではなくストレスや不安、緊張などが原因とされ、食道運動の低下や食道粘膜の知覚過敏を生じていると考えられています。このため、消化管運動機能改善薬や抗不安薬などが効果を示す場合も多いようです。
GERDやNERDは近年増加してきておりその診断は比較的簡単ですが、画一的な治療法には限界があるため患者様ごとに最適な治療法を検討していく必要があると考えています。「胸焼け」や「げっぷ」などの症状があるかたはGERDの可能性がありますので一度消化器内科受診をお勧めします。
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(この記事は2007年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
整形外科 牧之段 淳
股関節は球状の関節であるため曲げ伸ばしだけでなく、回旋(捻り)もできる自由度の高い関節です。一方、球状であるために、体重を受ける面が小さく一旦関節軟骨が擦り減ると疼痛も強く、日常生活動作が制限され外出もままならなくなることも少なくありません。
治療は減量や杖をついて股関節の負担を少なくするなど生活習慣を見直すことが基本です。膝関節が変形して痛む場合、ヒアルロン酸を関節内に注射することで痛みが軽くなりますが、股関節には保険が適応されておらず、なかなか優れた保存療法がないのが現状です。一般的に60歳以上であれば人工関節を考慮します。人工股関節置換術により股関節痛から解放されると言っても過言ではありません。手術の翌日から歩行器を用いて歩き始め、約3~4週間後に一本杖で退院が可能です。術後3カ月もすれば特に目立った痛みは訴えられなくなります。
一方、人工股関節にも幾つかの問題点があります。
第一に耐久性です。人工関節も十数年も経過すると骨とインプラントとの間に機械的な緩みが生じてしまうのです。現在では15年間程度もつようになっています。60歳で人工股関節置換術を行うと75歳頃に再び人工関節の緩みが生じ、再度入れ換え手術が必要となる見込みとなります。女性の平均寿命が85歳なので当院では再置換術をしなくて済ませるよう70歳以上の方に人工関節をお勧めしています。
第二の問題点は約4%で脱臼を生じることです。人工股関節置換術の手術方法にはいくつかの進入法があります。全国的には後側方から進入する施設が多いのですが側方や前方から進入する方が術後の脱臼が少ないと言われています。当院でも後側方進入法を行っていたのですが最近外側進入法に変更しております。手術中にインプラントを設置した時点で脱臼傾向がないか確認するのですが、以前に増して相当安定感があるとの手応えを得ています。今のところ外側進入法で脱臼を生じたことはありません。脱臼があまり気にならないので主治医としても安心して退院を勧めることができるようになりました。
その他稀ですが肺梗塞という重篤な合併症があります。当院では術後早期に足をつくことが大切と考え手術翌日から起立歩行を開始したり、術後抗凝固剤を内服していただいており予防に努めています。手術前には予め御自身の血液(自己血)を貯えておきますので自分の血液を戻すだけでいわゆる輸血(他家血輸血)はほとんど必要ありません。
整形外科にはさまざまな手術がありますが、人工股関節置換術は除痛効果や術後早期に歩行が開始できるなどの観点から切れ味の鋭い手術との印象を持っています。股関節痛でお悩みの方は毎週木曜日13時から股関節外来を開いておりますので御気軽に御相談下さい。
続き▽
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(この記事は2007年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤科 三宅健文
糖尿病って言われたんです・・・。
「血糖」とは血液中に含まれるブドウ糖のことで,心臓や脳の活動など生きていくために重要なエネルギー源です。しかし,血糖の量(血糖値)が増え過ぎる「高血糖」の状態になると,体のあちこちに支障がおきる原因になってしまいます。糖尿病とは,ひとことで言うとすい臓のランゲルハンス島から分泌されているホルモンの一種で,血糖をコントロールする「インスリン」の量や作用が何らかの原因で不足し,高い血糖値の状態が続くことです。
治療の基本は,食事療法
食事療法は糖尿病と付き合っていく上で,絶対不可欠なものです。症状や薬が違うのと同じように,食事療法もその人によって違います。食事療法や運動療法を続けても効果が現れない場合には,薬物療法を行います。
次回は,「くすりを飲んでコントロールしましょう・・・。」です。
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(この記事は2007年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
リハビリテーション科 牛山麻衣
冬も去り、過ごしやすい季節になってきました。そこで、健康のためにウオーキングを始めてみませんか?
ウオーキングと言っても、ただ歩くだけでは無く、実はいろいろな利点があリます。まず、ウオーキングは比較的軽い運動ですので、心臓や肺に負担をかけることなく心肺機能を高めることができます。また、汗をかき、新陳代謝も活発になり内臓機能の正常化作用もあります。その他、ストレス角牢消や生活習慣病の予防など、いろいろな効果があります。ウオーキングを開始する際の姿勢としては、胸を張り、腕を大きく振り、歩幅は広めが良いでしょう。かかとから地面に着け、つま先で蹴るように心がけて下さい。最初は、10分・20分からというように、無理せず、気軽に始めてみましょう。
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