NEWEST / < NEXT   BACK >

「かぜをひいた」とよく言いますが・・

(この記事は2007年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤科 三宅健文


 かぜというのは最も日常的で、また最もよく知られている病気と言えるでしょう。一般的な症状として、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳や痰などの呼吸器症状、さらには頭痛、発熱、全身倦怠感などの症状を呈し、ときには下痢、腹痛を伴う場合もあ
ります。

 私たちが普段一般に「かぜ」と呼んでいるものは、「かぜ症候群」といって、さらに次のように分類することができます。

 「普通感冒」といって、俗に言う「鼻かぜ」のことです。原因はピコルナウイルス、アデノウイルス群などの、ウイルスによるものが殆どで、他にも数多くの種類があります。この「普通感冒」は、通常は発熱は無いかあっても37℃台の微熱であることが一般的です。

 「インフルエンザ」と呼ばれるタイプがあります。普通感冒とは違って熱は急激(38~39℃)に上昇し、頭痛、腰痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠などの症状を伴います。さらに鼻水、咳などの症状も加わってきます。原因はインフルエンザウイルスによりますが、インフルエンザウイルスの中にもA、B、C型などの種類があり、さらにその中でも幾つかの種類に分かれます。(香港型とかソ連型、イタリアかぜなどもありましたね)

 「気管支炎」の場合は、上記の「普通感冒」や「インフルエンザ」をこじらせた時に細菌感染を起こして、咳や痰の症状が続いてしまうことがよくあります。



「かぜをひいたとき」に良く処方されるお薬は?

1.解熱・鎮痛・消炎成分
 市販の総合感冒薬、いわゆる「かぜ薬」には必ずと言っていいほど、この成分の薬が含まれています。また病院で「かぜ症候群」に対してよく処方される「PL顆粒」にも、アセトアミノフェン及びサリチルアミドという解熱鎮痛成分が含まれています。

2.鼻水を止める成分
 鼻水を止める成分としては、「抗ヒスタミン剤」と呼ばれているマレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミンなどがあります。この薬は鼻水を止める以外にも、蕁麻疹や皮膚の痒みを止める目的で内服又は外用として使われます。副作用としては、まず第一に眠気があります。

3.咳を鎮める成分
 咳は、もともと気道の異物を排除しようとする生体の防御反射の一つであるため、むやみに止める事は慎まなければなりません。しかし、ひどく咳き込んで著しく体力を消耗してしまったり、「眠れない」などの苦痛を伴ってしまうような場合には、薬を使って止
めることも必要になってきます。

4.痰の切れを良くする成分
 感冒や気管支炎などでは、気道の炎症に伴う炎症性滲出物や、感染症では病原微生物を含むようになり、痰の量や粘稠度も正常時とは大きく異なってきます。このため咳に伴って痰が喀出されるようになったり、あるいは粘稠な痰の存在そのものが気道を刺激して咳反射を誘発してしまうことになります。
 痰の切れを良くする薬を「去痰薬」と呼んでいます。

| Copyright 2007,01,01, Monday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

薬はしっかり飲んで、効果を発揮

(この記事は2006年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤科 三宅健文


薬は、一日に服用する回数や量や時間など、指示された通りに服用しないと充分な効果が得られません。「食前」「食後」「食間」など薬を飲む時間には各々理由があります。
一般的には食後とは食事の後30分くらい、食前は食事の前30分くらい、食間は食後2時間~2時間半くらいが目安です。ただし、このことに縛られる必要はありません。食後,薬を飲もうとしていたが30分間待って過ぎてしまい、「30分過ぎたからもう飲めない」と言うのではなくて、一般的に食後1日3回なら【朝昼晩と3回飲んで下さい。】ということだと思って下さい。


食後なら、一番良いのは食後30分ですが・・・

飲み忘れを考えたなら食後すぐでも何の問題もありません。 ただし、特殊な薬で渡された時に薬剤師に「この薬はこの時間に飲んで下さい。」「絶対食後すぐに飲んで下さい。」などと言われた時は守って下さい。普通の人は朝昼晩3回ご飯を食べるだろうから3回飲まなければいけない薬は食後に、とすれば3回飲んでくれるだろうということで、1日の起きている時間の3等分位と思っていただければ良いでしょう。また、糖尿病の薬に食直前や骨粗鬆症の薬に起床時という特殊な飲み方があり、食後では飲まない方が良い薬があります。その場合は薬剤師が説明しますので必ず守って下さい。


1日1回朝食後の降圧薬を飲み忘れたら・・・

朝に食事をしなかったから、忙しくて飲むのを忘れたからと言って、1日降圧薬を服用しないのはいけません。降圧薬は1日1回であれば朝に食事を摂らなくても飲み忘れていても思い出した時に服用して下さい。あまりにも朝食後で服用を忘れる場合は、1日1回忘れない時間帯に服用して良いか医師に相談しましょう。



お茶で飲んでも構わないのか?

お茶で飲んでもかまいません。「お水を汲みに行くのが辛くて飲めませんでした。」と言われるなら、お茶で飲んでもらって構いません。薬によってはお茶で飲んではいけない薬もありますがその場合は必ず薬剤師が説明します。最近ではカテキン入りなど色々なお茶がありますが普通のお茶なら構いません。一番良いのはお水かお白湯ですが飲み忘れが一番良くないのです。

| Copyright 2006,11,01, Wednesday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

腹腔鏡下手術について

(この記事は2006年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


髙木 剛 医師西陣病院 外科 高木 剛


腹腔鏡下手術とは、おなか(腹腔内)を炭酸ガスでふくらませた状態でおへそ(臍)周囲からカメラ(腹腔鏡)を挿入し、更におなかの数ヶ所に1Cm前後切開し、そこから手術用の器具(鉗子)を挿入し行う手術のことです。腹腔鏡下手術は、1989年に初めて胆のう結石症に対して行われて以来、傷が小さく、術後の痛みが少なく回復が早い(すなわち、入院期間が短く、社会復帰が早い)ことから、急速に普及してきました。
特に胆のう結石症に対しては腹腔鏡下手術が標準手術になっています。また、腹腔鏡下手術には健康保険が適応されています。

腹腔鏡下手術の利点
1、キズが小さくてすみます。
2、キズが小さいぶん手術のあとの痛みが軽度ですみます。
3、手術後の腸運動の回復が早いので、早くから食事をとることが可能です。
4、結果として、入院期間が短く、仕事や家事などへの復帰が早くできます。
 通常、大腸や胃の開腹手術では腹部を20Cm前後切開しますが、腹腔鏡手術であれば4~6Cm程度の傷1カ所と1Cm程度のキズを数ヶ所切開すれば手術を行うことができます。
腹腔鏡手術の手術時間は開腹手術と比べやや長めですが、出血量は少なく切除したリンパ節の個数にも差がありません。

腹腔鏡下手術の欠占(問題点)・合併症
1、.安全性…視野が狭くカメラには死角があるため、他の臓器損傷に十分注意する必要があります。また鉗子を用いて操作するため手術を行うのに制限される場合があります。そのため、腹腔鏡での手術が危険と判断した場合、途中から開腹手術に変更する場合があります。
2、癌の根治性…開腹手術に比べ癌の根治性が劣るのではないかといった理由で現在でも進行大腸癌に対する腹腔鏡下手術を敬遠している病院がありますが、最近では進行癌でも術後の生存率や再発率は開腹手術と変わりはないという報告がなされています。我々は癌の根治性を十分に意識し、開腹手術と同程度に癌病巣と周辺リンパ節の切除を行うよう努力しています。
3、合併症…おなかを炭酸ガスでふくらませて手術を行うために起こりうる特有の合併症があります。例えば、下肢静脈血栓症、肺塞栓症:足の静脈に血栓(血液のかたまり)ができることを下肢静脈血栓症、また、血栓が心臓を介して肺にとんで、肺の血管につまることを肺塞栓症といいます。肺塞栓症は致命的な場合がありますが、その発生頻度は0・1%程度と言われています。それらの予防のために足に弾性ストッキングをはいたりして予防しています。
このように腹腔鏡下手術は従来の開腹手術に比べ問題点(疑問点)はありますが、慎重かつ安全に行えば決して危険で、難しい手術ではありません。美容的にも、また身体への負担も軽いため、我々はこの腹腔鏡下手術を積極的に取り入れておりますのでご相談下さい。

一般的な消化器外科での腹腔鏡下手術には以下のようなものがあります。

腹腔鏡下胆嚢摘出術(胆嚢結石の手術です)
腹腔鏡下総胆管切石術(胆管に石がある場合、胆管を切開し縫合します)
腹腔鏡下大腸・直腸切除術(良性・悪性)
腹腔鏡下虫垂切除術(いわゆる盲腸の手術です)
腹腔鏡下胃切除術(良性・悪性)
腹腔鏡下胃・十二指腸穿孔手術(穿孔部を縫合閉鎖します)
腹腔鏡下小腸切除術(良性・悪性)

などがありますが、その他様々な疾患で腹腔鏡下手術が可能です。

| Copyright 2006,11,01, Wednesday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

CT・MRを最新機器に更新

(この記事は2006年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


画像診断センター所長(放射線科部長)谷池圭子


 昨年より工事を進めてまいりました、当院新本館が竣工し、放射線科及び超音波検査室が新本館に移転、CT・MRを最新の機器に更新し、画像センターとして診療を開始いたしました。

 CTは、検出器が64列あるマルチスライスCT(フィリップス社製 Brilliance64)です。200611gazou1このCT装置では、最短0.35秒間に0.625mm厚さの断面を64枚、あわせて頭足方向に長さ40mm(0.625mm×64)の範囲を撮影することができます。従来のCTでは心臓の動きのために摘出困難だった心臓・冠動脈が、わずか10数秒の息止めで描出可能となりました。

 MRは、1.5T(フィリップス社製 lntera Achieva PuIsar)で、頭部や脊椎はもちろん、胆管・膵管や下肢動脈、小さい関節なども、従来より鮮明で、分解能の高い画像を、短い検査時間で撮影することができるようになりました。

 CT、MRともに3次元画像や種々断面像なども作成し、有用で分かりやすい情報を提供していきたいと考えています。

| Copyright 2006,11,01, Wednesday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

メタボリックシンドロームについて

(この記事は2006年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

内科 小林 由佳


最近メタポリックシンドロームという言葉を患者様から聞くことが多くなってきました。健康に関する情報がテレビなどから得られるためでもありますが、なによりも自分の健康を考える機会が増え、心筋梗塞や脳梗塞など身近に思える病気が増えてきたためではないかと思います。

 ではメタポリックシンドロームとは何でしょうか?
これは内臓肥満、耐糖能異常、脂質代謝異常、高血圧などの動脈硬化性疾患の危険因子が重複する症候群のことで、心筋梗塞、脳梗塞などを起こしやすい病態であることが注目されています。

 インスリンが効きにくくなっている状態をインスリン抵抗性といい、耐糖能異常を引き起こし、これを基盤とし糖尿病に進行します。それだけでなく高血圧、脂質代謝異常の原因になるとも言われています。
「糖尿病と言われてないが境界型と言われて」という耐糖能異常の段階でも糖尿病と比較して心血管系疾患発症のリスクに差がないという研究もあります。

 脂質代謝異常についてはLDLコレステロールが動脈硬化性疾患の危険因子であることがいわれていますが、高トリグリセリド(中性脂肪)血症、低HDLコレステロール血症もま
た別の機序で動脈硬化を進展させるといわれています。

 高血圧に関しては、メタポリックシンドロームの診断基準は130/85以上とされ、より発症のリスクを軽減するために低い降庄目標が必要となります。出来るだけ家庭血圧測定を起床後1時間以内と就寝前にしていただきたいと思います。いくら昼間に下がっていても早朝高血圧があると心血菅系疾患の発症リスクが高くなるためです。

 そして内臓肥満が何故いけないのかというと、脂肪細胞が産生する様々な生理活性物質(アディポサイトカイン)の分泌調節異常が、耐糖能異常、脂質代謝異常、高血圧、さらには動脈硬化に直接影響しているためです。

 ウエスト周囲径や、診断基準には入りませんが身長、体重からわかるBMIは日常生活の中で自覚できますが、血糖や血圧、コレステロール、中性脂肪は少々高くても自覚症状がないので、受診して検査していただきたいと思います。見かけ上肥満がなくても実際は内臓脂肪型肥満の方もおられます。今度CTで内臓脂肪量を測定することが当院で可能となりますのでまた受診の際ご相談ください。

| Copyright 2006,09,01, Friday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

NEWEST / PAGE TOP / < NEXT   BACK >

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACK


LINK

PROFILE

OTHER

POWERED BY

BLOGNPLUS(ぶろぐん+)