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(この記事は2006年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤科 三宅健文
さて、今回のテーマは「セルフメディケーション」です。
「セルフメディケーション」って、言葉を聞いたことがありますか?言葉の意味は知らなくても、実際にはほとんどの人が実行していることだと思います。
「セルフメディケーション」を直訳すると「自己治療」。つまり、自己判断(セルフ)による治療(メディケーション)または軽いケガの手当てが実際に行われる治療です。
昔はこの直訳の通り、軽い風邪や熱が出た時に市販の薬を薬局に行って購入し、使って早めに治すことや市販の妊娠検査薬でチェックするなどの意味で使っていました。しかし、最近では、毎日の食事が不規則なので、不足している栄養素をサプリメントで摂る、ハーブやアロマテラピーで心身を癒す、体温を測ったり体の信号に耳を傾けたりして休養のために積極的に睡眠を取るなども「セルフメディケーション」と考えられるようになりました。
なにも市販の薬を買って病気を治すことだけがセルフメディケーションではありません。
あなた自身が自分の病気を理解し受け入れること(セルフ)で、病院や診療所または開業医の医師から処方される薬の必要性が理解し治療に参加する(メディケーション)ことは大切なことです。
あなたの身体を治療するために必要な薬のことで分からないことがあればかかりつけの薬局で薬剤師に色々質問して下さい.あなたにとって重要で必要なアドバイスをしてくれるでしょう。
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(この記事は2006年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
(前回の記事は
こちら です)
西陣病院 外科 福本兼久
前回は鼠径ヘルニアの原因と症状について説明しましたが、今回は実際の治療法について少し詳しく説明します。
鼠径ヘルニアの治療
大人の鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、放置するとだんだん大きくなるため治療が必要です。
鼠径ヘルニアの治療法は「手術」しかありません。
鼠径ヘルニアに対する手術は、子供の場合、飛び出した袋を切るだけの簡単なもので、手術翌日、または数日で退院できます。大人の場合はもう少し複雑で、飛び出した袋を切るだけでなく、弱くなった腹壁を補強することが必要となってきます。この補強として、古くから腹壁の弱い部分の周りの組織を縫い寄せる方法が取られてきましたが、この方法で補強すると縫い合わせた筋肉や金幕の部分に”つっぱり”ができ、術後の痛みやつっぱり感の原因になることがあります。また、加齢によってさらに筋膜が弱くなると再発することがあります。再発率は約2~10%と報告されています。
そこで現在では、弱い部分にメッシュ(細いポリエステル製の糸をシート状にしたもの)を挿入し腹膜を広く覆いヘルニア修復術を行うのが主流となってきました。メッシュを使うメリットは筋肉を無理に縫い合わせないので筋肉に緊張がかからず、術後の違和感や痛みが少なく早期社会復帰が可能で、再発が極めて少ない(1~5%)ことです。
当院では、周りの組織を縫い寄せるかわりに人工の膜を入れて補強するメッシュ・プラグ法という手術方法を用いています。この手術を行った場合、手術後早期の退院も可能です。
また最近ではヘルニアの状態により傘状のプラグ(栓)だけでなく、プロリーン・ヘルニア・システム(PHS)、クーゲルパッチと呼ばれる平らなパッチを補強材として使用する場合もあります。
手術時の麻酔は?
入院期間は?
局所麻酔から全身麻酔まで使用すべきメッシュの種類によって変わります。
手術後は、次の日には、食事をしたり歩くことが可能です。シャワーやお風呂に入ることもできます。
そのため入院期間は数日から1週間以内で、退院直後から仕事は可能です。ただし、重い物を持つことやゴルフなどのスポーツなどおなかに力を入れるのは手術後1ヵ月位避けて下さい。
メッシュは安全ですか?
ポリエステル製のメッシュは1956年からヘルニアの補強に使用されており人体に大きな影響を与えません。
成人鼠径ヘルニアの手術は、人工補強材の登場によって、最近では患者さんの負担の少ない手術が実現可能になりました。なんといっても再発を防ぐことができるのは、患者さんには大きなメリットだと思います。また手術後の痛みが少ない点や、短時間で終わることなど、長所の多い手術なので、ここで理解を深めていただければ、いざ手術ということになっても安心して受けることができると思います。
以上、2回にわたり鼠径ヘルニアについて説明してきましたが、鼠径部というデリケートな部位の症状だけに、病院に来るのを恥ずかしがる方もいらっしやいますが、かんとん状態になると危険です。おかしいなと思ったら、苦痛を感じる前に、いつでも当院にご相談ください
続き▽
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(この記事は2006年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
画像診断センター 山川 稔隆
MRI(磁気共鳴画像法)はX線を使わずに人体の断面像(輪切りの像)を撮影できるので、被曝の危険のない優れた画像機器です。どのようにして撮影しているのでしょうか。MRI装置は、大きな筒状の構造をしており、この簡は超電導磁石になっています。検査を受ける人はこの中に人ります。強い磁場の中におかれた人体に電波を発射すると、これに反応して体内の組織の水素原子核が共鳴し、電波を発します。発生した電波を受信し、コンピュータでデータ処理することで人体の断面が画像化されます。
このようにMRI装置はつねに磁場を発生しているので、体内に磁性体(鉄など、磁石に吸い寄せられる性質を持つ金属)が埋め込まれている場合は磁力の影響を受けます。場合によっては危険なこともあります。では、MRI撮影時に危険な体内の磁性体にはどのような物があるのでしょうか。
①脳動脈瘤クリップ・コイル:脳動脈瘤は破裂するとクモ膜下出血の原因になりますが、動脈瘤の部分に金属クリップを挟むことで動脈瘤の破裂を防ぎます。このクリップが磁性体の場合、MRI検査時にはずれて脳出血をきたす危険性があります。最近の動脈瘤クリップは非磁性体(チタン)製のことが多いですが、この場合は磁場の影響を受けないので検査を受けられます。
②心臓ペースメーカー:精密な電子部品からなるため磁場や電波の影響で動作が狂ってしまいますので検査は受けられません。
③頭蓋内・眼窩内の金属片:銃弾の破片や金属片などが脳や眼球といった柔らかい臓器の中や周囲に残っていると、磁場の影響で金属片が引き寄せられて脳出血や失明の原因になることがあります。
④「いれずみ」や「パーマネントアイライン」:色素の中に鉄粉を含んでいることがあり、電磁波の影響で検査中に熱を発生することがあり、皮膚が腫れたり、火傷をおこしたりすることがあります。
⑤磁石で接着する「入れ歯」:MRIの強い磁場の中で義歯の磁石が壊れることがあります。
MRIが普及して既に20年以上たっているので、最近の体内埋込み器具の多くは非磁性体でMRI可能なものも多いようです。体内に金属が埋め込まれているからといって、すべてが危険とは限りませんが、注意しないと思わぬ事故につながることもありますので、お心当たりのある患者様はMRIを受けられる前に主治医やMRI担当技師にご相談下さい。
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(この記事は2006年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです。長谷川医師は転勤のため、現在西陣病院で外来診療はしておりません。ご了承ください)
内科(呼吸器科) 長谷川 功
呼吸器内科は、内科診療領域のうち呼吸器疾患の患者様の診断と治療を行っています。
呼吸器疾患は、心臓疾患などに比べて、病気の種類が多いのが特徴です。呼吸器疾患には、肺炎や膿胸、肺結核、非定型抗酸菌症などの感染性肺疾患、気管支喘息などのアレルギー疾患、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)、びまん性肺疾患(過敏性肺臓炎、サルコイドーシスなど)、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群、肺結核後遺症などによる慢性呼吸不全、肺腫瘍(肺癌等)、膠原病などの全身疾患など、多種多様な疾患があります。
このように、感染症から癌までの幅広い領域にわたる疾患の診断、治療を行うのが呼吸器内科です。
呼吸器内科の主な検査としては呼吸機能検査等の生理機能検査、胸部レントゲン、胸部CT、RI検査などの画像検査、気管支鏡等の内視鏡検査等があります。
呼吸器疾患、特に肺癌については通常のレントゲン診断では十分とは言えず、最近はCTやFDG・PET検査が重要とされています。
最近は多くの高齢者が肺炎によって亡くなられており、また、肺癌は我が国における癌死亡者数の第1位になっています。吸入ステロイドの普及により、死亡者数が減少したとはいえ、まだまだ多くの方が気管支喘息発作によって命を落とされています。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の有病率も40歳以上の8.5%と推測されており、今後、ますます呼吸器疾患の治療を必要とする方が増加すると考えられています。
呼吸器内科の病気は、症状がまだないかあるいは軽いうちから進行してしまうことがしばしばあります。咳、痰などの呼吸器症状の長く続く場合や血痰が出る、歩行時に呼吸因難がある、突然息苦しくなりヒューという音がする、その他何か呼吸器症状で気になる方、健康診断で胸部レントゲンの精密検査を勧められた方などは気軽に御相談ください。また、その際はそれまでの詳しい経過や過去のレントゲン写真が、受診時に撮影したレントゲン写真、CT写真と比較し、有用なことがしばしばあります。
初めて受診する場合、是非、かかりつけのお医者様の紹介状とレントゲン写真をお持ちになり、呼吸器内科予約枠(月曜日午後)を予約し、受診してください。
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(この記事は2006年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
内科 葛西 恭一
脂肪肝とは、肝細胞内に中性脂肪を主とした脂質が貯留して重量として5%以上となった状態のことを指し、その原因には飲酒、肥満、糖尿病、薬物など、様々なものが含まれます。
習慣性の飲酒者(日本酒で1日平均3合、ビールで大瓶3本、ウイスキーならダブル3~4杯以上飲む人)では大部分に脂肪肝が認められます。
多くの場合は自覚症状がありません。飲酒による脂肪肝では、それが長期続くと脂肪肝にとどまらず、アルコール性の肝繊維症・肝炎を経て肝硬変にいたる場合があるので、禁酒ないし節酒の指導がおこなわれる場合が多いのですが、肥満による脂肪肝で肝機能異常の経度の人に対しては、一通りの食事指導や体重減量指導は行われるものの、あまり積極的な指導・治療がおこなわれていないのが現状です。
しかし、最近ではアルコールを飲まないにもかかわらず、アルコール性肝炎類似の経過をたどり、慢性に経過して肝硬変にいたる例があることが知られてきて、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と呼ばれています。肥満その他の原因で脂肪肝が生じた後、肝へなんらかのストレスが加わってNASHに移行するのだろうといわれています。単なる脂肪肝に比べてNASHでは病気が進行性であり、しかも治療に対する反応が悪いので、脂肪肝からNASHへの移行を予防する必要があります。
そのためには脂肪肝の原因疾患(糖尿病、高脂肪血症など)の早期発見・治療や肥満の改善などにより脂肪肝を治療することが重要です。治療は減量が最も重要と考えられています(但し、急激な減量はかえってNASHを憎悪させることがあるので、注意が必要です)。
現在、肝臓病ではB型肝炎、C型肝炎といったウイルス性肝炎が脚光を浴びていますが、これらは今後減少していくと予想されています。最近、生活習慣の欧米化に伴い、若い人で肥満の人が増えており、近い将来生活習慣病としてのNASHが肝臓病の中心として切実な社会問題となることが予想されます。
脂肪肝と言われたことがある方で「自分はアルコールを飲まないから大丈夫」と思っておられる方は、NASHの可能性がありますので、一度肝臓外来(毎週水曜午後)でご相談ください。
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