NEWEST / < NEXT   BACK >

大腸の検査受けていますか?

(この記事は2016年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



鄭Dr 内科医長 鄭  哲臣

 近年、大腸癌に罹る人が増えてきています。2013 年に、男性では罹る癌で初めて第1位となり、女性でも乳癌に次ぐ第2位(死因では第1位)となっています。そこで、どんな人がなりやすいのか、予防法などについて説明させていただきたいと思います。
 

◆増加している原因は?
 牛肉などの赤身肉や、乳製品の過剰摂取による動物性タンパク質と脂肪の摂取が増える一方で、野菜など食物繊維の摂取が低下しており、この「食生活の欧米化」が大腸癌の増加と深く関係していると考えられています。また、運動不足による肥満、飲酒や喫煙も大きく関与しており、「大腸癌は生活習慣病である」とも言われています。


◆予防法は?
 最も有効といわれているのが運動です。肥満を避けるために1日1時間のウォーキングが推奨されていますが、無理のない範囲でよいので意識して運動するようにしましょう。次に、お肉や乳製品の摂取はほどほどに、野菜など食物繊維の十分な摂取を心がけてください。
 そして、早期発見・早期治療のためにも大腸内視鏡検査を受けましょう。


◆早期発見できれば大腸癌は怖くない!

 大腸癌は早期発見でほぼ100% 治ると言われていますが、現実には癌死因の疾患として男性では第3位、女性では第1位となっています。それは、血便や細い便など自覚症状が出た段階で、既にある程度進行した状態であることが多いからです。

 完治には自覚症状のない早期の段階で発見することが重要です。そのためにも定期的な大腸内視鏡検査は非常に有効です。当院ではOLYMPUS社製のPCF-H290ZI という拡大観察機能を備えた最新の内視鏡を採用しています。この内視鏡は、従来の内視鏡と比べて細径で患者様の苦痛が少なく、なおかつ超高画質で詳細観察にも長けているのが特徴です。気になる方は、ぜひ一度検査を受けてみてください。





| Copyright 2016,09,01, Thursday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

手術と麻酔に影響する サプリメント

(この記事は2016年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



薬剤師 薬剤部 薬剤師  國枝 亜矢香



 日常的に健康食品やサプリメントを使用されている方をよく見かけます。ドラッグストアだけではなく、インターネットやテレビ通販などで手軽に購入出来ることも一つの要因かもしれません。医療用医薬品や一般用医薬品とは少し異なるサプリメントですが、手術の予定がある方ではサプリメントを中止するよう説明しています。
 毎日飲み続けないと効果がないので手術前も入院中もサプリメントを飲んでいました、と言われる手術予定の入院患者さんが時々おられます。しかし、このようにサプリメントを中止しないと、手術をお断りする場合があります。

なぜ手術前にサプリメントを中止するのでしょうか?

 手術前にサプリメントを中止しないと、手術による出血の危険性を高めたり、麻酔が効きすぎたりすることで、安全な手術を行えない場合があります。
 このような予定外の危険(有害事象)が起こると、そのために新たなお薬を使用しなければならなくなるかもしれません。

 予期せぬ出血や血腫の危険性が高まる可能性のあるサプリメント
イチョウ葉エキス、魚油(EPA、DHA)、ガーリック(にんにく)、朝鮮人参、ジンジャー(しょうが)、ビタミンE など

 麻酔薬の作用を強めたり、心臓の機能に影響を及ぼしたりする可能性のあるサプリメント
セントジョーンズワートや朝鮮人参など

 ここに挙げたサプリメントは一部でしかありません。安全に手術を受けていただくために、医師や薬剤師は経験や知識から最も安全だと思える方法を提案していて、それが、「サプリメントを飲まないように」という、私達と患者さんとの約束です。
 手軽に飲めるサプリメントですが、手術の危険性を最小限にするためにも、手術前にはサプリメントの服用は控えて下さいね。


| Copyright 2016,09,01, Thursday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

新しくなった消化器内視鏡センターについて

(この記事は2016年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


葛西先生 消化器内視鏡センター長・内科部長
 葛西 恭一


 この度消化器内視鏡センターが新しくなりましたので紹介させていただきます。

 当院の消化器内視鏡センターは日本消化器内視鏡学会の指導施設に認定されており、現在内視鏡医10 名(指導医1名、専門医6 名)、看護師8 名(内視鏡技師4 名)の体制で診療しております。私が当院に赴任した2002 年には年間検査件数は2000 件程度で、通常観察が主体であり特殊な内視鏡検査や内視鏡治療はほとんど行っておりませんでした。その後、NBI という特殊光を用いた内視鏡や拡大観察用の内視鏡、超音波内視鏡専用機等続々と登場する最新の機器を積極的に導入してきました。内視鏡治療手技に関しては、早期消化管癌に対するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)や、消化管粘膜下腫瘍や膵腫瘍に対するEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診)といった新しい技術を積極的に導入し、より高度な内視鏡診療を目指して努力してきました。スタッフの努力のみならず近隣の先生方からご紹介いただく症例の増加もあり検査件数は年々増加し2015 年度の内視鏡検査数は年間約5000 件となりました。

 従来の内視鏡センターは本館地下1 階の画像診断センター内にあり、午前中は内視鏡室で上部内視鏡を、午後からは内視鏡室とX 線テレビ室を使って大腸内視鏡およびERCP(胆膵内視鏡)を行ってきました。X 線テレビ室が一つしかなく、各科共同での使用のため他科に迷惑をかけることも多々あり、検査件数の増加、検査内容の高度化も相まって従来の内視鏡センターでは今後の検査件数の増加に対応していくことは困難な状況となってきました。

 このような現状のなか、本年3 月をもって当院で永年行ってきたPET 検査が終了することとなりました。PET 終了により従来の内視鏡室の隣に約143㎡ のスペースが空くこととなり、このスペースを内視鏡センターとして今回リニューアル致しました。新内視鏡センターは内視鏡室2 室と専用のX 線テレビ室1 室からなり、最大で3 室同時に検査が可能となりました。各検査室とも十分なスペースを確保し、安全に検査・治療ができるようにしました。スタッフの導線にも配慮し、各検査室間をスムーズに移動できるように設計しています。


 スタッフルームには各検査室の内視鏡画像、X 線画像および検査中の患者さんに装着したバイタルサインのモニターがすべて同時に観察できるようにし、複数の検査が同時進行することにより指導や危機管理が疎かにならないように配慮しました。


 内視鏡洗浄室は十分なスペースを確保し、より安全で衛生的な内視鏡の洗浄が可能となりました。


 今後、旧内視鏡室を改修し、回復室や待合室とする予定です。

 以上、新内視鏡センターの紹介をいたしました。より整った環境で内視鏡検査・治療が受けていただけるようになりましたので、どうか安心して当院消化器内視鏡センターへお越し下さい。

| Copyright 2016,07,01, Friday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

脱水症と経口補水液

(この記事は2016年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



日置 透子 薬剤部 薬剤師  日置 透子

 梅雨が終わると、いよいよ夏本番ですね。
 猛暑日の中、脱水や熱中症を予防するためには、適切な温度調整に加えて、こまめな水分補給が大切になります。水分補給には、電解質を含んだ経口補水液やスポーツドリンクが欠かせません。
 今回は、経口補水液について紹介したいと思います。


◆脱水症とは
 体内の水分が不足している状態で、水分の取り方が足りない時や、身体のなかの水分が多く失われた場合に起こります。水分と一緒にナトリウムやカリウムなどの大切な電解質も失われます。
 脱水症状になると、血液量が減ることによる血圧低下や、神経や筋肉に悪影響が出ることによりこむら返りを起こします。
 また、放っておくと熱中症を誘発し、重症の場合は救急搬送されることもあります。
(症状)めまい、こむら返り、頭痛、吐き気、倦怠感、けいれん、意識障害など

◆経口補水液とは 
 電解質と糖質(ブドウ糖)が配合された飲料で、下痢や嘔吐、発熱、激しい(過度の)発汗、経口摂取不足などによって失われた体内の電解質や水分を補うことができます。
 経口補水液はスポーツドリンク(清涼飲料水)とは異なり、消費者庁から特別用途食品の中で病者用食品として指定されています。
 経口補水液は、他の飲料と比べてナトリウムやカリウムを多く含んでいるため、心臓や腎臓に負担をかけることがあります。
 高血圧、糖尿病、腎臓病など疾患がある方は、医師や薬剤師、管理栄養士にご相談ください。

経口補水液は一気に飲むのではなく、既定の量を少しずつ飲んでください。
また、経口補水液はあくまで軽度~中等度の脱水症状への適応です。
症状がよくならない場合はがまんせずに受診してください。


| Copyright 2016,07,01, Friday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

呼吸器外来について

(この記事は2016年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


上田先生 内科部長 上田 幹雄

 呼吸器外来では、肺や気管支などの呼吸器の病気の診療をおこないます。よくある症状は、咳がでる・痰がからむ・息が苦しい・息をする時にゼイゼイとかヒューヒューという音がする、などです。これらの症状がなくても健康診断の胸部レントゲン検査で異常が発見されることもあります。呼吸器の病気は、肺炎・気管支炎・気管支喘息・肺がん・COPD・間質性肺炎・睡眠時無呼吸症候群など多くの種類があります。
 

 COPD(シーオーピーディー)というのは、タバコや大気汚染などで肺に慢性的な炎症がおこる病気です。日本では2014年にこの病気で1万6千人が亡くなられ、日本人男性の死亡原因の第8位になっています。重症例では体を動かすと息切れがひどくなり日常生活が困難になります。呼吸困難のために日本で在宅酸素療法を受けている16万人以上の患者の半数近くがCOPDが原因です。また、軽症・中等症のCOPDであっても、わが国の悪性腫瘍死亡で最も多い肺がんや、社会の高齢化とともに近年急速に増加して死亡原因の第3位となった肺炎をひきおこしやすいので、注意が必要です。このように、高齢者の肺の健康を守り、健康寿命を維持するために、COPDの予防・診断・治療がとても大切だといえます。しかし、少なくとも530万人以上いると見積もられているCOPD患者さんのうち、正しく診断されて適切な治療を受けている患者さんは10%にも達していません。この背景には、COPDに対する社会的な認知度が低い現状があります。喫煙厚生労働省は2 012年に「21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21【第二次】)」の目標としてCOPDの認知度向上(2022年度までに認知度80%にする)を掲げ、国を挙げてCOPDの認知度向上に取り組む方針を示しました。喫煙者でかつ4 0 歳以上で息切れがあるようでしたら、COPDの可能性があります。息切れがしても病気だと考えずに「年のせいだろう」と思い違いをしているかもしれません。是非受診して診断を受けてください。


 また、日本などの先進国では、花粉症・気管支喘息・食物アレルギーなどのアレルギー性疾患の患者さんの数が増加しています。アレルギー性疾患のなかで呼吸器外来で対象となるのは気管支喘息です。気管支喘息はかつて日本で年間5千~6千人が亡くなられる病気でした。成人の気管支喘息患者数は、この30年間で3倍に増加し、人口の3~6%が罹患していると考えられています。しかし、昨今の治療法の進歩で、患者数は増えたにもかかわらず死亡数は2千人を下回るまでに減っています。気管支喘息の患者さんは、この最新の治療の恩恵を受ける機会を逃さないことが大切です。


 呼吸器外来では、より専門的な検査や治療が必要だと判断すれば高度専門病院と連携する体制にもなっていますので、気になる症状があればまずはご受診いただければと思います。

| Copyright 2016,05,01, Sunday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

NEWEST / PAGE TOP / < NEXT   BACK >

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACK


LINK

PROFILE

OTHER

POWERED BY

BLOGNPLUS(ぶろぐん+)