診療に関すること::内科
感染制御チーム( ICT:Infection Control Team)

![]() | 副院長 柳田 國雄 |
病院には多くの方が出入りされ、また入院されています。その中には感染症にかかっている方や子供さん、お年寄り、抵抗力の落ちている方などがおられます。そのような医療環境の中で感染が起きないように予防したり、院内での感染の発生をできるだけ早く発見し、拡げないように迅速に対応しているのが『感染制御チーム(ICT)』です。

ICTは医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学士など多職種から構成されており、各専門分野から知恵を出しあって、患者さんとその家族の方だけでなく、院内で働くすべての人、来院するすべての人を感染から守るための活動をしています。その活動としては、
(1) 院内での感染発生動向に関する調査・報告・対応 (2) 感染拡大(アウトブレイク)への迅速な調査と制御 (3) 職員への感染管理教育、感染防止技術の周知・徹底 (4) 抗菌薬の適正使用活動 (5) 感染対策マニュアルの作成や改訂 (6) 職業感染対策-職員のB型肝炎、流行性ウイルス感染症(麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎)などの抗体チェック・ワクチン接種推奨、針刺し事故対策 (7) 感染症診療に関連する相談 (8) 医療環境の整備 (9) 地域や国内外での感染発生動向に関する情報提供(最近ではエボラ、MERS、デング熱、手足口病の流行など) (10) 感染症流行時の対応(インフルエンザ、ノロウイルスなど)
など多岐にわたっています。また、平成24年からは地域連携の感染対策として京都府立医科大学と京都市内の2病院と連携し、年4回合同でカンファレンスを行い、相互ラウンド(お互いの病院を訪問して評価し合う)なども行って感染対策業務のレベルアップを図っています。


しかし、そのような努力をしても抗菌薬が効きにくい、あるいは効かない菌が検出されることがあり、これらを『耐性菌』と呼んでいます。多くの耐性菌の病原性は弱いので健康な人にはあまり問題ないことが多いのですが、高齢の患者さん、抵抗力が落ちている患者さんには大きなダメージになることがあります。耐性菌の多くは、患者さん、家族、面会の方、医療スタッフなどの手を介して感染が拡がります。やはり、手洗いが大事ということです。、ICTは病院内の耐性菌の検出状況を把握し、それらが拡がらないように防いでいく努力をしています。適切な感染対策により、患者さんにとって安心な、その家族の方々や医療従事者にとっては安全な医療環境を提供できるようにこれからも努力していきたいと思います。
今後とも皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
最後に、今年もインフルエンザの季節がやってきました!インフルエンザは普通の風邪とは違い、高熱や関節の痛みなどを伴い、高齢者や基礎疾患(糖尿病、慢性呼吸器疾患、抗がん剤や免疫抑制剤の使用など)のある方は重症化するおそれがあります。感染は、飛沫(くしゃみや咳)、接触(手指を介して)で拡がります。インフルエンザの感染を拡げないために、皆が「かからない」「うつさない」ことが重要です。その感染予防のためには「ワクチン接種」、「こまめな手洗い」「マスクの着用」などが重要です。インフルエンザワクチンは今季から含まれるウイルスのタイプが従来の3種類から4種類に増えました。効果が高まると考えられ、リスクの高いと考えられる方は是非接種をお願いします。
| Copyright 2015,11,01, Sunday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |