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お薬相談でよく聞かれる質問 Q&A

(この記事は2009年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤科 科長 三宅健文


Q1 クスリと服用時間には、どの様な関係があるのですか?

服用時間には、朝昼夕、食後30分、食直後、食直前、食間、食前30分、時間毎、寝る前 があります。

  • ほとんどの薬は食後30分に当てはまり、食事を摂ってから30分以内にクスリを飲んでください。これは食事毎に服用することで飲み忘れを防止する目的もあります。

  • 食直後は、食事のあと時間をあけずにすぐに服用してください。空腹時に服用すると作用が強いものがあり、食直後に飲むことで胃への刺激を抑えることができます。また、クスリの吸収を良くする働きもあります。

  • 食直前は、食事を摂るすぐ前にクスリを服用してください。食後の過剰な高血糖を抑える糖尿病薬などがあります。

  • 食間は、食後2時間くらいが目安です。食事と食事の間の空腹時に服用してください。食事中(食べている最中)にクスリを服用するのではありません。

  • 食前30分は、食事を摂る30分くらい前に服用してください。朝などは起きてすぐ位がよいでしょう。

食事をしなくても服用しなければいけないクスリ(血圧を下げる薬やコレステロールを下げる薬など)や食事を摂らなかった時には服用してはいけないクスリ(血糖を下げる薬など)があります。


Q2 薬を飲むのを忘れたのですが…

薬を飲み忘れたと気付いたときに、すぐに服用してください。但し、次の服用時間に近い場合には2回分を一度に服用はせず1回分だけ服用してください。
体内の薬の濃度(血中濃度)を保つ必要のあるクスリもあるので、クスリは必ず指示通りに服用するよう心がけてください。


Q3 2カ所以上の病院から薬をもらっているのですが…

病気が違っても同じ様な効果があるクスリが処方されたり飲み合わせの悪いものが処方されたりする事があります。お薬手帳を活用し、必ず医師や薬剤師に相談してください。
薬局・薬店でクスリを買う場合にも“お薬手帳”を持参してください。


Q4 目薬の上手なさし方は?

  1. 手をきれいに洗います。

  2. 眼球を押さえないように指で下まぶたを軽くひき容器の先がまぶたやまつげに触れないように1滴を滴下します。

  3. 点眼後は、約1分間静かに眼を閉じます。軽く目頭を押さえるのも効果的です。

  4. 眼からあふれた点眼液は、清潔なガーゼやティッシュで拭き取ってください。


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私たち薬剤科の仕事

(この記事は2009年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤科科長 三宅健文

 今回は、薬剤科について紹介します。

 私たち薬剤科(現在、薬剤師は10名)の仕事はもちろんクスリに関するすべての事。最近クスリの進歩はめざましく、いろいろな病気を治療する上でとても大切なものとなってきています。患者さま一人一人に最も適したクスリが効果的かつ安全に使われ、質の高い薬物治療が行なえるよう、医師や看護師など他のスタッフと連携をとり業務を行なっています。

 業務の中心は、入院患者さまが服用するクスリの調剤や監査業務、中心静脈栄養療法時の注射薬混注業務、薬剤管理指導業務(患者さまへのクスリの情報提供を行なったり、クスリに関するご相談をお受けするとともに、クスリを効果的に使用する上で必要なお話を伺ったりしています)などですが、入院患者さまだけではなく、外来患者さまや地域の方々に糖尿病教室や透析教室など各種健康教室でもクスリの話をしています。また、次世代の薬剤師を研修・教育するために、入院薬局や病棟において薬学部の大学院生や4回生を対象に、実務研修や実習なども行なっており、新しい薬学教育6年制の薬学部生も受け入れるため現在準備を進めています。

 今年で処方箋を院外に発行してから10年目になります。外来患者さまに対しては、お目に掛かることが少なくなってしまい、少し寂しい思いをしていますが、近隣の保険薬局とも連携を取りながら、適正にクスリが使用できるよう努力しています。クスリに関して疑問・不安等があれば遠慮なくいつでも声をおかけください。

 最近の薬剤科では、専門的な分野にも力を入れています。ひとつは、糖尿病治療に関する専門としての『糖尿病療養指導士』が2名います。ふたつめは、厚生労働省が推進している“がん均てん化(どこの施設でも同じようながんの治療が受けられる体制)”に伴い、1名の『がん薬物療法認定薬剤師』がいます。最後に、入院患者さまの栄養に関するサポートを行なうため専任の『NST専門(薬剤師)療養士』が1名います。まだまだ至らないところも多いと思いますが、クスリを通じて患者さま一人一人の身近な存在として日々業務を行なっていけるよう精進して参りたいと思いますので宜しくお願い致します。

| Copyright 2009,03,02, Monday 01:27pm administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

七草粥は漢方の知恵

(この記事は2009年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤科科長 三宅健文

 七草粥は、お正月休みの食べ過ぎ、飲み過ぎで疲れた胃を優しくいたわってくれる7種類の薬草粥です。春の七草の行事は「正月の七日に春の七草を摘み、これを神前に供えてから食べれば、その年は病気にかからない」という考えで、もともとは中国から日本へ伝わりました。

 正月7日(人日)、3月3日(桃の節句)、5月5日(端午の節句)、7月7日(七夕の節句)、9月9日(重陽の節句)を合わせて五節供と呼び、その中の1月7日を過去1年の厄払いとこれからの1年の無病息災と招福を祈願する「人日(じんじつ)の節句」とし、この日には、万病除けと邪気払いに良いとされる7種の野菜や雑草を入れた粥に餅を入れた七草粥を食べる習慣があります。

 たくさんある春の若草のなかで、この7つが選ばれたのはなぜか。じつは、定説はなく、和歌に詠われたことから広まったと言われています。「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ七草」鎌倉末期の四辻左大臣が詠みました。

 本来、お正月に食べる七草粥は「7種類の草の粥」ではありませんでした。日本で、1月7日に春の若菜を粥にして食べる風習が始まったのは、平安時代とされています。1月7日は、都びとの位が上がる日だったので、「名(な)を成すために、菜(な)を食す」という縁起かつぎだったという面白い説もあります。

 当時は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ=七草粥とは、まったく決まっておらず、草以外にも木の実や海草など多彩に入れていたようです。「いろいろ、もろもろ、あれこれ、たくさん」という意味合いで、7という数字を使っていたのです。7はなんといっても吉の数字。ラッキーセブンですから。

 春の七草を使った七草粥のエキスには、弱った胃腸を助けて食欲を増進する。という効果の他に、糖尿病の合併症を防いだり、活性酸素を除去する働きがあることが医学的に報告されているそうです。まさに「医食同源」を考えた漢方の知恵と言えるでしょう。

 1.セリ(芹):七草粥
   効能/健胃・食欲増進・解熱・利尿・去痰など
 2.ナズナ 別名「三味線草」:
   効能/止血・消炎・鎮痛・利尿・解熱・下痢止めなど
 3.ゴギョウ(御形) 別名「母子草」:
   効能/せき止め・去痰・扁桃腺炎・利尿など
 4.ハコベラ 別名「はこべ」:
   効能/利尿・乳汁分泌促進・歯痛・消炎など
 5.ホトケノザ キク科の「コオニタビラコ」:
   効能/健胃・食欲増進・歯痛など
 6.スズナ(現在のかぶを指します):
   効能/消化促進・解毒・せき止め・そばかすなど
 7.スズシロ(現在の大根を指します):
   効能/消化促進・せき止め・去痰・利尿など

| Copyright 2009,01,01, Thursday 09:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

タバコがやめられないのは脳の病気

(この記事は2008年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤科科長 三宅健文

「意志が弱いのか…」
「口がいやしいからか…」
「決意が足りないのか…」

 禁煙に失敗した人は、理由を見つけたがりますが、結論は「脳の病気」だからだそうです。最近、テレビでやっていました。「ニコチン依存症」というのは、体の病気ではなく、脳の病気だそうです。

 医学的(?)に言うと、禁煙を試みるが、うまくいかず禁煙を中断し喫煙を始めるも、また禁煙をしてみる(つまり、再発を繰り返しています)

「タバコを吸うとリラックスする」
「ほっとする」
「気持ちが和む」
というのはすべて錯覚のようです。
「落ち着く」
「仕事に集中できる」
「思考が冴える」
これはある意味正解みたいです。

 喫煙は、全身を緊張状態に追いやるわけですから、結果的にこうした効果はもたらすでしょう。が、それがそもそもストレス状態であることに気づいていないようです。

 タバコを吸うと、中脳腹側被蓋野においてニコチンによリ「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌されますが、これは、ホルモンの調節や快楽を感じる効果などをもたらし、一度これを得てしまうと、繰り返し得たいと思うようになります。

 脳を健康に保ち、脳が良く働くようにするには、脳を常に刺激し活性化させることが一番大切なようです。最近よく見かける、脳科学者の茂木健一郎氏が紹介する「アハ!体験」、脳の『ひらめき』は、新しいことや、変化に気づくことで、このドーパミンが放出され、脳の学習回路が強化されて、頭が良くなるというものです。

 薬物依存もドーパミンに関係しています。コカイン、アンフェタミンなどの覚醒剤などはドーパミンを増やす効果があるため、その行動そのものが動機となって強化され、精神依存を作り出し、やめたくてもやめられなくなります。脳から見るとタバコも覚醒剤も殆ど同じと言っていいことが明らかになっています。タバコ

 だから、気合をいれたり、努力することで、タバコを止めることはなかなか出来ません。正しい薬剤を使用して、適切な医師の指導のもとで禁煙しましょう。

| Copyright 2008,11,01, Saturday 09:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

脳卒中のうち3分の2を占める脳梗塞(こうそく)は夏場が最も危険

(この記事は2008年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤科科長 三宅健文

 卒中とは「卒然として邪風に中る(そつぜんとしてじゃふうにあたる)」。つまり、「突然、悪い風にあたって倒れる」という意味です。
 冬に発症するイメージを持つ人が多いですが、ジメジメした梅雨、ジリジリと焼けるような夏は、本人も気づかぬうちに、汗をかいて脱水症状に陥りやすい季節です。しっかり水分補給をしないと心臓病や脳卒中の魔の手がしのびよります。「喉が渇いてないからまだ水分を摂らなくても平気」とか「トイレが近くなるから極力、水は飲まないようにする」というのは大きな間違いです。喉が渇いた時というのは既に体内で大幅に水分が不足している飢餓状態。いわば緊急スクランブルの指令が脳内を駆け巡っている状態なのです。夏場に水分をこまめに取りましょうというのは何も熱中症対策のためだけではありません。脳疾患の予防にも大きな意味を持っています。

脳卒中の予防策

・脱水症状
 血液が〝ドロドロ〝になって血液の塊ができやすくなるので、 こまめに水を飲みましょう。個人差もありますが、1日計1.5~2リットルほどの補給を。

・睡眠不足
 血管を収縮させるホルモンが分泌されて血圧を上げ、心筋梗塞などを引き起こします。1日に6~7時間ほどの睡眠をとりましょう。過労やストレスも、このホルモンの分泌を促すので要注意。

・排便
 便を出そうと気張ると血圧を急激に上昇させるので、便秘にならないように、食物繊維が多い食事をとるように気をつけましょう。

運動・運動
 暑いからと言って家にこもってばかりいると、肥満などを招きます。1日最低30分の散歩など運動をしましょう。でも、水分補給を忘れないで。

 脳卒中を起こした患者さんに処方される代表的なクスリを紹介します。

1)脳循環改善薬
 脳の血管を広げて、脳の血液を良くするクスリです。脳梗塞にも脳出血にも使います。通常発症から数週間たって、脳の状態が落ち着いた頃から処方されます。クスリの効果としては、脳の血液が悪いために起こる、頭痛、めまい、ふらつき、耳鳴りなどの症状を改善する働きがあります。

2)抗血小板薬
 脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)を予防するクスリです。効果としては、血液中の血小板の働きを妨げて、血栓を作りにくくする 作用があります。

3)抗凝固薬
 主に脳塞栓(心臓からの血栓による脳梗塞)を予防するクスリです。心房細動などの不整脈があると、心臓の中に血栓ができて脳に飛び、脳梗塞を起こすことがあるので、抗凝固薬で血栓をできにくくします。

4)その他のクスリ
 脳卒中の原因となる動脈硬化に関連した危険因子として、生活習慣病が最も注目されています。そこで、脳卒中の再発を防ぐために、生活習慣病の治療のための様々なクスリが処方されます。

| Copyright 2008,07,01, Tuesday 09:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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