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糖尿病のクスリについて

(この記事は2007年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤科 三宅健文


糖尿病って言われたんです・・・。

「血糖」とは血液中に含まれるブドウ糖のことで,心臓や脳の活動など生きていくために重要なエネルギー源です。しかし,血糖の量(血糖値)が増え過ぎる「高血糖」の状態になると,体のあちこちに支障がおきる原因になってしまいます。糖尿病とは,ひとことで言うとすい臓のランゲルハンス島から分泌されているホルモンの一種で,血糖をコントロールする「インスリン」の量や作用が何らかの原因で不足し,高い血糖値の状態が続くことです。

治療の基本は,食事療法

食事療法は糖尿病と付き合っていく上で,絶対不可欠なものです。症状や薬が違うのと同じように,食事療法もその人によって違います。食事療法や運動療法を続けても効果が現れない場合には,薬物療法を行います。
次回は,「くすりを飲んでコントロールしましょう・・・。」です。

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腎臓の機能を知る検査

(この記事は2007年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤科 三宅健文


慢性腎臓病が原因となる心血管病により、2015年までに世界で3600万人が死亡すると予想され、日本では成人の20人に1人以上(約500万人)が慢性腎臓病を患っていると予想されます。



クレアチニン値

 血液中のクレアチニン値は腎機能を知る最も簡単な血液検査で、どの医療機関でも簡単に検査が可能で、多くの健康診断にも取り入られています。このクレアチニンとは筋肉からできる老廃物で腎臓の糸球体からこされて尿に排泄されます。したがって、腎臓の働き(腎機能) が低下すると血液中に蓄積し濃度が高くなります。


尿中に出てくるタンパク質(尿蛋白)

 蛋白 (特にアルブミン) は腎臓が正常な場合にはほとんど尿には出てきません。このため慢性腎臓病 (特に糖尿病、高血圧、動脈硬化、慢性糸球体腎炎などが原因の場合) になると尿中にアルブミンが漏れ出るようになり、それが多くなると尿検査で蛋白が陽性になり治療が必要となります。ただし残念なことにこの尿中アルブミン検査が日本の健康保険で認められているのは糖尿病が原因となる慢性腎臓病のみです。尿中アルブミン検査は、高血圧や血尿だけが陽性の慢性糸球体腎炎の早期発見や治療効果の判定にとても有効なことが国際的に認められていますので、早く保険が適用になることが希望されます。


西陣病院では腎臓病教室を開催しています

 腎臓病を患うすべての患者様とその家族に病気に対する正しい知識を身につけていただき、少しでも良い医療を受けられることを目的に開催しています。正しい知識は不要な不安を取り除くことができます。くわしくは、受付でお聞きください。

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「かぜをひいた」とよく言いますが・・

(この記事は2007年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤科 三宅健文


 かぜというのは最も日常的で、また最もよく知られている病気と言えるでしょう。一般的な症状として、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳や痰などの呼吸器症状、さらには頭痛、発熱、全身倦怠感などの症状を呈し、ときには下痢、腹痛を伴う場合もあ
ります。

 私たちが普段一般に「かぜ」と呼んでいるものは、「かぜ症候群」といって、さらに次のように分類することができます。

 「普通感冒」といって、俗に言う「鼻かぜ」のことです。原因はピコルナウイルス、アデノウイルス群などの、ウイルスによるものが殆どで、他にも数多くの種類があります。この「普通感冒」は、通常は発熱は無いかあっても37℃台の微熱であることが一般的です。

 「インフルエンザ」と呼ばれるタイプがあります。普通感冒とは違って熱は急激(38~39℃)に上昇し、頭痛、腰痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠などの症状を伴います。さらに鼻水、咳などの症状も加わってきます。原因はインフルエンザウイルスによりますが、インフルエンザウイルスの中にもA、B、C型などの種類があり、さらにその中でも幾つかの種類に分かれます。(香港型とかソ連型、イタリアかぜなどもありましたね)

 「気管支炎」の場合は、上記の「普通感冒」や「インフルエンザ」をこじらせた時に細菌感染を起こして、咳や痰の症状が続いてしまうことがよくあります。



「かぜをひいたとき」に良く処方されるお薬は?

1.解熱・鎮痛・消炎成分
 市販の総合感冒薬、いわゆる「かぜ薬」には必ずと言っていいほど、この成分の薬が含まれています。また病院で「かぜ症候群」に対してよく処方される「PL顆粒」にも、アセトアミノフェン及びサリチルアミドという解熱鎮痛成分が含まれています。

2.鼻水を止める成分
 鼻水を止める成分としては、「抗ヒスタミン剤」と呼ばれているマレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミンなどがあります。この薬は鼻水を止める以外にも、蕁麻疹や皮膚の痒みを止める目的で内服又は外用として使われます。副作用としては、まず第一に眠気があります。

3.咳を鎮める成分
 咳は、もともと気道の異物を排除しようとする生体の防御反射の一つであるため、むやみに止める事は慎まなければなりません。しかし、ひどく咳き込んで著しく体力を消耗してしまったり、「眠れない」などの苦痛を伴ってしまうような場合には、薬を使って止
めることも必要になってきます。

4.痰の切れを良くする成分
 感冒や気管支炎などでは、気道の炎症に伴う炎症性滲出物や、感染症では病原微生物を含むようになり、痰の量や粘稠度も正常時とは大きく異なってきます。このため咳に伴って痰が喀出されるようになったり、あるいは粘稠な痰の存在そのものが気道を刺激して咳反射を誘発してしまうことになります。
 痰の切れを良くする薬を「去痰薬」と呼んでいます。

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薬はしっかり飲んで、効果を発揮

(この記事は2006年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤科 三宅健文


薬は、一日に服用する回数や量や時間など、指示された通りに服用しないと充分な効果が得られません。「食前」「食後」「食間」など薬を飲む時間には各々理由があります。
一般的には食後とは食事の後30分くらい、食前は食事の前30分くらい、食間は食後2時間~2時間半くらいが目安です。ただし、このことに縛られる必要はありません。食後,薬を飲もうとしていたが30分間待って過ぎてしまい、「30分過ぎたからもう飲めない」と言うのではなくて、一般的に食後1日3回なら【朝昼晩と3回飲んで下さい。】ということだと思って下さい。


食後なら、一番良いのは食後30分ですが・・・

飲み忘れを考えたなら食後すぐでも何の問題もありません。 ただし、特殊な薬で渡された時に薬剤師に「この薬はこの時間に飲んで下さい。」「絶対食後すぐに飲んで下さい。」などと言われた時は守って下さい。普通の人は朝昼晩3回ご飯を食べるだろうから3回飲まなければいけない薬は食後に、とすれば3回飲んでくれるだろうということで、1日の起きている時間の3等分位と思っていただければ良いでしょう。また、糖尿病の薬に食直前や骨粗鬆症の薬に起床時という特殊な飲み方があり、食後では飲まない方が良い薬があります。その場合は薬剤師が説明しますので必ず守って下さい。


1日1回朝食後の降圧薬を飲み忘れたら・・・

朝に食事をしなかったから、忙しくて飲むのを忘れたからと言って、1日降圧薬を服用しないのはいけません。降圧薬は1日1回であれば朝に食事を摂らなくても飲み忘れていても思い出した時に服用して下さい。あまりにも朝食後で服用を忘れる場合は、1日1回忘れない時間帯に服用して良いか医師に相談しましょう。



お茶で飲んでも構わないのか?

お茶で飲んでもかまいません。「お水を汲みに行くのが辛くて飲めませんでした。」と言われるなら、お茶で飲んでもらって構いません。薬によってはお茶で飲んではいけない薬もありますがその場合は必ず薬剤師が説明します。最近ではカテキン入りなど色々なお茶がありますが普通のお茶なら構いません。一番良いのはお水かお白湯ですが飲み忘れが一番良くないのです。

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最近良く耳にする「セルフメディケーション」ってなんでしょう?

(この記事は2006年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤科 三宅健文

さて、今回のテーマは「セルフメディケーション」です。

 「セルフメディケーション」って、言葉を聞いたことがありますか?言葉の意味は知らなくても、実際にはほとんどの人が実行していることだと思います。

 「セルフメディケーション」を直訳すると「自己治療」。つまり、自己判断(セルフ)による治療(メディケーション)または軽いケガの手当てが実際に行われる治療です。

 昔はこの直訳の通り、軽い風邪や熱が出た時に市販の薬を薬局に行って購入し、使って早めに治すことや市販の妊娠検査薬でチェックするなどの意味で使っていました。しかし、最近では、毎日の食事が不規則なので、不足している栄養素をサプリメントで摂る、ハーブやアロマテラピーで心身を癒す、体温を測ったり体の信号に耳を傾けたりして休養のために積極的に睡眠を取るなども「セルフメディケーション」と考えられるようになりました。

 なにも市販の薬を買って病気を治すことだけがセルフメディケーションではありません。

 あなた自身が自分の病気を理解し受け入れること(セルフ)で、病院や診療所または開業医の医師から処方される薬の必要性が理解し治療に参加する(メディケーション)ことは大切なことです。

 あなたの身体を治療するために必要な薬のことで分からないことがあればかかりつけの薬局で薬剤師に色々質問して下さい.あなたにとって重要で必要なアドバイスをしてくれるでしょう。



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