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たかが湿布薬! でも注意が必要です。

(この記事は2013年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤部 副主任 福本 郁子


最近、化粧品による皮膚障害が話題となり、皆様の記憶にも新しいのではないでしょうか。今回は、比較的よく使われている薬剤による皮膚炎についてお話します。

 腰痛や関節痛などに使われている消炎鎮痛剤の成分ケトプロフェンは、医療用の湿布薬(商品名:モーラスパップ、モーラステープ)・ぬり薬、また市販薬にも多く含まれています。

 この成分の湿布薬を貼った部位に紫外線を浴びると、光アレルギー性接触皮膚炎が起こることがあります。その症状は、かゆみ、赤くなる、ぶつぶつができる、ただれ、かぶれなどで、湿布薬をはがした後にも起こることがあります。 一度皮膚炎をおこした薬剤は、体の中に記憶されます。そして、ふたたび同じ薬剤や、よく似た系統の薬剤を使うと、薬疹(副作用として出る発疹)が出る可能性があるので注意が必要です。

 皮膚炎をおこした薬剤は、ふたたび症状をおこさないように必ず覚えておき、医師または薬剤師に薬剤名と症状について話してください。

注意! 注意点
(1)貼ったところに日光をあてないでください。外出するときは、服やサポーターで貼ったところを日光からさえぎってください。はがした後も、皮膚に薬が残っているので、4 週間は注意が必要です。
(2)症状が出たら、すぐに使用を中止してください。
(3)ほかの人に譲らないでください。



| Copyright 2013,08,30, Friday 08:03pm administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

くすりのおはなし -薬の保管は大丈夫ですか?-

(この記事は2013年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬の保管方法


薬剤部 薬剤師 須山 奈見子



 薬は、温度や湿度、光によって品質が変化する可能性があります。通常は30 度以下、冷所保存の場合は15度以下での保管が必要です。特に梅雨時や夏場など多湿や高温の時期には、カプセルが軟らかくなったり、カプセル同士が張り付いたり、錠剤では潮解といって溶けてしまうものまであります。冷蔵が必要な薬は、薬袋に「冷所保存」、「要冷蔵」と記載されています。

 インスリン製剤は、使用を始めてから常温で1ヶ月は携帯出来ます。しかし、インスリン製剤は温度の影響を受けやすいため、屋外に駐車した車に置いておく場合は、クーラーボックスなどにいれておくと良いでしょう。使用していないインスリン製剤等は、凍結を避けて2 ~ 8℃(扉のところが良いでしょう)に遮光して保存してください。要冷蔵となっていない薬は、直射日光が当たらない戸棚などに保管してください。

 これから本格的な夏になるので、屋外に駐車した車の中などでは、かなりの高温になるため、薬を車中や日差しが強い場所には放置しないようにしましょう。

注意! 以下のような場合は薬が変質しているおそれがあるので、使用しないでください。

●錠剤やカプセルの色が変わっている、表面がザラザラしている、亀裂が入っている、においが変わっているときなど。
●粉薬の色が変わっている、固まっている、においが変わっているときなど。
●透明だった水薬がにごったり沈殿物ができ、よく振っても溶けないとき。
●軟膏やクリームなどの外用剤で色が変わっていたり、油が浮いているとき。
●透明だった点眼薬が濁っているとき。
●シップ剤などの表面が乾いていたり、油が浮いているとき。

変質した薬は、交換できません。
あなたの病気を治す薬を大切に保管しましょう。


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くすりのおはなし -花粉症の季節がやってきました-

(この記事は2013年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


花粉
森本 卓志 薬剤部 主任 森本 卓志


◆今年の花粉の傾向は?

 5人に1人が悩むという花粉症。ウェザーニューズによると、今年の花粉の飛散開始は、昨シーズンよりもやや早く、2月中旬ごろとなるそうです。近畿地方でも、この「西陣病院だより」を読んでいる頃には、もう花粉症シーズンが始まっているかもしれませんね。また、今年は花粉の飛散量が多い年にあたり、昨年の1.6 倍、平年の0.9 ~ 1.4 倍となる見通しとのことです。花粉症の人にとってはつらいシーズンになりそうです。


◆花粉症のくすり

ポイントは先手必勝!早めの対処がその後のカギを握っています。花粉症のくすりをのむタイミングとして花粉が飛び始める2 週間前、可能なら3~4週間前までに行うのが理想的です。これは多くの抗アレルギー薬は遅効性で、即効性が期待できない場合が多いからです。
 くすりの種類は、市販薬と処方薬(病院でもらえるくすり)に分かれますが、最近では従来病院でしかもらえなかったくすりが市販薬として売られています。効果や副作用(眠気や口渇など)はくすりによって、個々によって程度が変わってきます。また、副作用を最小限に抑えるために点鼻薬や点眼薬を使用することも効果的です。医師や薬剤師に相談しながら自分に合ったくすりをみつけましょう。


主な花粉症ののみぐすり
花粉症ののみぐすり
同じ行に記載されているくすりは成分が同じです。含有量は違うものがあります。


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アルツハイマー型認知症の治療薬について

(この記事は2012年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤師 安藤 典子


 認知症は65才以上の10人に1人が発症すると言われ、その中でもアルツハイマー型認知症の患者数は年々増加傾向にあります。アルツハイマー型認知症は、βアミロイド蛋白が脳の神経細胞に蓄積することにより神経細胞が破壊され、脳が萎縮し、脳機能が低下する疾患です。根本的な治療法はないものの近年新薬が次々と発売されており、治療の幅が広がっています。
 ドネペジル(商品名アリセプト)は最も古くから用いられている薬です。副作用に食欲不振、興奮、幻覚が報告されています。特に服用開始時は副作用が出やすいので注意が必要です。

 メマンチン(メマリー)は昨年使用できるようになった薬です。副作用に頭痛、めまいが報告されており、もともとめまいがある人は注意が必要です。アリセプトとメマリーを併用した方がよいとの報告もあります。

 ガランタミン(レミニール)も新しい薬で、主な副作用は吐き気、嘔吐です。

 リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチ)は貼り薬です。副作用はかぶれ、吐き気ですが、吐き気は他剤に比べて軽減されているようです。いずれの薬も無治療なら1~ 2年で進む症状悪化のスピードを3年ほどに遅らせることができると言われています。しかし薬の効果には個人差があり、早い段階で治療を開始するほど効果が高いことも分かっています。

 何度も同じ事を言ったり聞いたりする、家事や仕事の段取りが上手く出来なくなる等の症状がみられたら、すぐに医師の診察を受け、早期治療を行うことが重要です。


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経口(飲み薬)抗菌薬のおはなし

(この記事は2012年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



岡本早織 薬剤部 薬剤師 岡本 早織


 抗菌薬(抗生物質)は、細菌を殺すことで感染症を治療するお薬です。抗菌薬はウイルスを殺す作用はなく、風邪の80~90%を占めるとされるウィルス性の風邪に対して直接効くわけではありません。しかし高熱、咳や痰が多い等症状の強い風邪では、細菌による二次感染を治療・予防するために抗菌薬が処方されることがあります。このほか皮膚感染症、呼吸器感染症、泌尿器感染症等様々な疾患に対して処方されます。

 皆様は、病院でもらった抗菌薬を、症状が良くなったために途中で飲むのをやめたことはありませんか?

 149例を対象に実施された経口抗菌薬の服薬状況の調査では、42%の患者様で服薬が中断されていました。さらに、日本は世界各国の中で、中国に次いで服薬コンプライアンス(服薬遵守=指示通りに服薬すること)の悪い国であるとの調査結果も公表されています。

 抗菌薬の服用中断による問題点は2つあります。1つは、また悪化したり治るまでの期間を長引かせる場合があること。もう1つは、『耐性菌』といって、抗菌薬が効きにくくなったり効かなくなった菌を増やしてしまうことです。






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