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普段何気なく使用している目薬。皆さんは正しい使い方をご存じですか?

(この記事は2012年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 薬剤部 薬剤師 青木 芙美


 緑内障など成人の目の病気が多く発症してくる40~60代の男女1,200人(病院で複数の目薬を処方された経験のある人)を対象に、点眼方法に関する調査を行った結果、3人に1人が目薬をさし過ぎ、94.2%が点眼後に“目をパチパチさせている”や37.2%が十分間隔を空けずに複数の目薬を点眼しているなど、点眼滴数、点眼後の行動、点眼の間隔について正しく点眼できていない実態が報告されています。
目薬



◆目薬は1滴だけで本当に効果があるの?

目薬の1滴は約50μlで、瞼の中に貯めておける涙の量は約30μlと言われており、1滴だけでも瞼の限界を超えています。つまり、1滴で効果が期待できます。


◆点眼後は目をパチパチさせると良い?

 目をパチパチさせると目薬を外に追い出すことになり、目薬の十分な効果が得らません。点眼後は目を閉じ、目薬を眼球(患部)に行き渡らせることがポイントです。 


複数の目薬◆目薬が2種類以上ある場合は?

 2種類以上の目薬を使用する場合は、間隔を5分以上あけて点眼しましょう。
 続けて点眼すると、先に差した目薬の効果が減弱します。点眼薬の種類によって、水溶性⇒懸濁性⇒油性の順に点眼すると良いのですが、医師の指示がある場合は指示に従ってください。




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ジェネリック医薬品とは?

(この記事は2012年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 薬剤部 主任 牛嶋 麻紀


ジェネリック医薬品とは?

◆ジェネリック医薬品とは?

 “ジェネリック=generic name=一般名”の意味です。後発品と呼ばれることもあります。(一般名とは、商品名ではなく、薬の成分の名前です。)

 医療用医薬品は特許問題があり、新薬の発売後10年程度、つまり特許が切れるまでは同じ薬を販売することができません。つまり、全ての薬にジェネリック医薬品がある訳ではありません。新薬は最初に開発・発売されたことから“先発品”と呼ばれてます。一方ジェネリックとは、この特許が切れた後に申請、販売された薬です。つまり、効果は同じものなのです。

 ジェネリック医薬品は先発品と異なり、開発にかかるコストが大幅に削減されているため、先発品に比べると安値になっています。(おおまかに言ってしまうと、既に安全性等も分かっている化合物を真似て作り、検査などの手間が少なくなるので安くなります)またジェネリックの薬価(厚生労働省が定めた薬の値段)は新薬の約2~8割と定められています。ジェネリック=安値、という図式はこういった経緯が関与してくるのです。

 WHO(世界保健機構)も、ジェネリック医薬品の使用促進を推進していますし、ジェネリックの使用割合が低いと言われている日本も厚生労働省がジェネリック医薬品の使用促進を奨めています。慢性疾患の場合、薬代もかさんできますし、こういった薬で少しでも医療にかかる経済負担が軽減されることが望まれています。


◆効果は同じ?

 先に発売された新薬と同じく厚生労働省の元試験がされ、許可がおりたもののみが製造を認められます。健康な成人に先発品とジェネリックを投与し、有効成分が体にどうやって入って
いき、出ていくかといった試験が行われますし、また作られた製剤品が品質に問題ないかなどの試験も行われています。つまり、効果が同じ薬しか世に出回れないようになっています。

 ただし、同じなのは成分だけです。剤形(薬の形状)などが異なることも多く、含まれる添加物などが先発品とジェネリックでは異なります。ここの部分で効き方も違い、場合によっては副作用を感じるケースも往々にしてあります。

 全ての薬にジェネリックがあると勘違いされている方もいらっしゃいますが、新しい薬は先に記載したとおり特許の問題もありジェネリックがありません。また、ジェネリック同士でも添加物などが異なるため効き方が違ってくる場合もあります。ジェネリックに興味のある方は、保険薬局でも相談にのってもらえますので、お気軽にご相談ください。


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新年なので初心に帰って薬の飲み方についてのお話です

(この記事は2012年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


中野葉子 薬剤部 薬剤師 中野葉子

  病院でもらう薬のほとんどは「食後」に飲むように薬袋(やくたい:薬が入っている袋)に書かれています。普段何気なく飲まれていますが、実は薬を「食後」に飲むのには昔から次の2つの理由があると言われています。

 ひとつめは『飲み忘れ防止』です。条件反射として食事の後には薬!と食習慣と服薬を関連付けておくと、便利でかつ間違いのない方法だと考えられてきました。

 ふたつめは『胃粘膜の保護』です。錠剤やカプセルの中にある薬の成分は、胃の中で溶け出して腸で吸収されます。薬が溶け出す時に胃の粘膜を刺激すると考えられているため、食後に飲む方が刺激を抑えられます。

 「食後」とは「食事を終えて30分」という意味ですが、「食事の30分後に服用しないと!」と30分間時計を眺めなくても大丈夫、30分以内に服用すれば問題ありません。また、食事をしない時も、食事をするような時間帯に飲んでください。特に血圧の薬などは食事に関係なく、一定の間隔で毎日規則正しく飲み続けることが大切です。

用法

 ただし、糖尿病治療のための血糖値を下げる薬に関しては、食事を摂らなかった場合は薬を飲まないのかどうか主治医に相談してください。特に、「食直前」や「食直後」などのように食事に関連した飲み方が記載されている場合は、それを守らないと低血糖などの重大な副作用をきたす場合があります。

 また、「食間」に飲む薬は「食後」に飲んでも吸収が悪く効果が出なかったり、「食直後」に飲む薬は食べ物がないと吸収されにくいため空腹時に飲んでも効果が出なかったりします。このように、「食後」以外に細かく指示された飲み方にはそれぞれの理由があるので、飲めない時や飲み忘れた時の対応については薬剤師に相談しましょう。

 薬袋に書かれた飲み方で、どうしてもその時間に飲むと不都合があったり、忘れてしまう、などということがあれば、医師または薬剤師に相談して下さい。

 薬と良い関係を築いて、今年も良い一年をお過ごしください。


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インフルエンザの時期になりました

(この記事は2011年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



薬剤部 部長 三宅 健文

 インフルエンザの薬物療法には、「ノイラミニダーゼ阻害薬」と呼ばれる抗インフルエンザウイルス薬を使う「原因療法」と、症状を和らげるためのくすりを使う「対症療法」があります。

 インフルエンザウイルスに対して、直接的に作用する抗ウイルス薬が使用されるようになりました。従来の対症療法とは本質が違い、ウイルスの増殖を抑え、症状の重症化や長期化を食い止めることができます。抗ウイルス薬には、ドライシロップや吸入薬、経口薬があります。

 インフルエンザウイルスは増殖のスピードが速いため(24時間で100万倍に増えます)、症状が出現して48時間以内にウイルスの増殖のピークがきます。このため、48時間以内に服用しないと“くすりの効果”が現れにくくなります。

 また対症療法では、高熱の場合には解熱鎮痛薬(熱を下げるお薬)を、黄色痰(たん)など細菌の二次感染が疑われる場合には、抗菌薬(細菌を殺すお薬)を使います。

 薬を服用することで、高熱や体の痛みを緩和することができますが、高熱や体の痛みを緩和できても、インフルエンザウイルスに対する直接的な効果はありません。インフルエンザの治療に抗菌薬による薬物治療が処方される場合がありますが、解熱鎮痛剤と同じで、インフルエンザウイルスに直接作用するものではありません。

手洗いうがい インフルエンザにかからないためには、まずきちんとした予防対策をとる必要があります。室内の換気を良くして、室内の湿度を保つために加湿器を設置するなど、室内の空気環境にも配慮が必要です。インフルエンザウイルスは、くしゃみや咳によって感染する可能性があります。鼻水や唾液、咳が手に付着すると、感染するので、うがいや手洗いは必須です。テーブルやドアのノブなど、とくに手に触れる機会が多い場所には、消毒液を用いてこまめに拭き取るなど、室内にある物にもインフルエンザの予防対策が必要です。とくに、インフルエンザが流行する時期には、このような配慮が必要不可欠となります。


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腎臓を守る薬のはなし

(この記事は2011年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



薬剤部 薬剤師 中野 葉子

腎臓を守る薬について
 慢性腎臓病(CKD)という言葉をご存じですか? CKDとは腎臓の働きが低下し、尿にタンパクが何カ月も出る症状を言います。治療せずに放置しておくと腎不全となり、人工透析(腎臓の代わりに機械的に体をきれいにする方法)を必要とします。加齢と共に腎臓の働きは低下してきますが、自覚症状がほとんどありません。『気付いたら腎臓が悪くなっていた!』ということがないように、まずは血液検査(血清クレアチニン値)や尿タンパク検査を3ヶ月に1回程度受けて腎臓の状態を把握しましょう。


 糖尿病や高血圧の人は、そうでない人よりも早く腎臓の働きが低下すると言われています。特に高血圧は腎臓に負担をかけるため血圧をきちんと下げることが大切です。腎臓が悪くなってくると、体内の塩分のバランスが崩れて血圧が高くなってきます。そして血圧が高い状態が続くとさらに腎臓への負担が大きくなり腎臓病が進みます。


 血圧をきちんと下げるには、減塩(6g/日以下)と血圧を下げる薬をしっかり服用することが重要です。血圧を下げる薬を何種類も服用されている方も多いのではないですか? 実は、『血圧を下げる薬』とひとことで言ってもいくつかの種類があり、それぞれで作用する部位が違います。中には、腎臓の血管に働きかけて負担を軽くし、尿にタンパクが出るのを減らす働きを持つものがあります。(西陣病院採用薬:タナトリル、レニベース、ミカルディス、ブロプレス、ディオバン、オルメテック、アバプロ、ラジレス)血圧が目標値(130/80㎜Hg)以下であっても腎臓を守る目的で医師から処方されることもあるので、もらった薬を調節したりせずに毎日定期的に服用を続けてください。「食事を摂らない時は薬を飲まなくていいの?」という質問をよく受けますが、血圧を下げる薬は食事に関係なく、1日の決められた回数を決められた時刻に服用することをお勧めします。


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