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医療機器の保守管理について
-医療機器の性能と安全を縁の下で支え、人と医療機器を結ぶ-

(この記事は2009年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


臨床工学検査科 ME部門 副主任 澤田正二


今回は診療に関することのテーマの中で、最前線で活躍する医療機器の安全管理について紹介させていただきます。

私達は、臨床工学検査科の臨床工学技士の中でME部門に所属しています。MEとは医用電子-Medical Electronics-の略称で、その名の通り医療電子機器の保守管理を主業務としています。

そもそも、臨床工学技士とは何なのか?・・・簡単に言うと「病院にある医療機器を扱う仕事」をする国家資格取得者です。

病院には治療や手術などに使う医療機器がたくさんあります。特に近年、医療機器が多種多様になってきたこともあり、それら医療機器の専門家として「医師の指示のもとに、生命維持管理装置の操作および、保守点検を行うことを業とする者」と定義される臨床工学技士が誕生しました。

当院にある生命維持管理装置とは・・・①人工透析装置(腎臓の代わりを行う装置)②人工呼吸器(呼吸の代わりを行う装置)③その他の血液浄化装置(特定の病気の時に使う装置)などをいいます。

それらの生命維持管理装置の他、点滴や注射薬の持続注入に使用する輸液ポンプやシリンジポンプ。医療のドラマなどでも心臓が止まったときにカウンターショックなどの名で出てくる除細動器。手術室内の種々の装置など26品目71機種517台(2009.04.01現在)の医療機器に専任2名、兼任2名の計4名で保守管理にあたっています。

それだけの台数の医療機器の保守管理業務を行うためには、業務のシステム作りが重要となります。

医療機器の保守管理
元来、当科に於いては人工透析関連装置の保守管理に30余年の実績があります。その間も現在も保守管理の在り方は常に進化しており、その内容は全国でもトップレベルにあると自負しております。その管理方法を応用する形で、その他の医療機器の保守・管理に携わっています。

具体的には、自作ソフトでのコンピューター管理による定期的なメンテナンスと点検を行い、医療機器の性能を維持するのは当然として、医療機器の使われている状況や、それに関わる環境を毎週、病棟などに足を運び確認しています。その際に発見した注意点などを関連部署に通達したり、勉強会を開催するなど安全レベルの向上に努めています。

「医療機器の性能と安全を縁の下で支え、人と医療機器を結ぶ」-その思いで私達は働いています。

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LDLコレステロールについて

(この記事は2009年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


臨床工学検査科 副主任 松田英樹


コレステロールについて

 皆さんは、コレステロールをご存じでしょうか。

 コレステロールは脂質の一種です。生命維持に必要な役割を果たす物質で、以下の働きがあります。

・男性ホルモン、女性ホルモンを作る材料となる
・細胞を包む膜(細胞膜)を作る
・栄養分の分解吸収をする

 コレステロールは食べ物からも摂り入れられますが、必要量の約7~8割が肝臓で作られ、食べた量に合わせて血中コレステロールが一定に保つよう調整されています。このコレステロールを肝臓から身体の細胞に運ぶものをLDL(悪玉コレステロール)といいます。悪玉といいますがコレステロールを体内へ運ぶ大切な仕事をしています。ただし、活性酸素によって酸化された悪玉コレステロールが要注意で、それが血管の壁にくっついて、内壁をどんどん硬く厚くし、狭くしていくのです。これが動脈硬化です。


閉塞性動脈硬化症(ASO)とは

 動脈硬化が進むと、動脈の血管は硬くなったり狭くなったりします。

 特に、足での動脈硬化が進み、足の血管が狭くなったりふさがったりすると、血液の流れが悪くなって、足の先の方まで栄養や酸素を十分に送る事が出来なくなってしまいます。足が冷たい、しびれる、ふくらはぎの筋肉がつる、痛むなどの症状が出てきます。

 このような症状を閉塞性動脈硬化症(以下ASO)といいます。症状の出現部位は腰の部分から足先までありますが、最も多く出現する部位はふくらはぎです。この部位にASOが起きると、足先にチアノーゼ(血液の酸素濃度が低くなり皮膚が紫色になること)・潰瘍が起きやすくなり、最悪の場合、壊死するケースがあります。

 ASOの治療は、症状の進行状況に応じて薬物療法や外科的治療が用いられますが、薬物療法で十分な効果が得られず、外科的治療が難しい場合には、動脈硬化の原因の一つとされる血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)などを除去する目的でLDL-アフェレーシス療法を行います。


LDL-アフェレーシス療法とは

 「アフェレーシス」とは、患者さまの血液中の不必要な成分を取り除いて、きれいにした血液を再び患者さんに戻すことです。

 LDL-アフェレーシス療法は、専用の機械を用いて体から血液を取り出し、吸着器でLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を取り除きます。きれいになった血液はすべて体に戻されます。治療時間は、症例によりますが約3時間程度で、治療効果を診るために動脈硬化検査や採血等も行います。LDL-アフェレーシス専用機器

 ASOの患者さまで、なおかつ一定の条件を満たす場合にLDL-アフェレーシス療法が保険適応となりますが、治療期間は3ヶ月間で10回までとなります。

 当科では、医師の指示のもとに、LDL-アフェレーシス療法の準備・設定・治療・管理を行っております。

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ESWL(Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy)

(この記事は2009年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

臨床工学検査科 腹部超音波室 副主任 仲川 久美子

ESWLとは?尿路結石
 体外衝撃波結石破砕術の略です。
 経皮的に体外から発生させた衝撃波を尿路結石に繰り返し当てることで、結石を細かく砕き、破砕された結石を尿中に排出させる治療法です。

衝撃波とは?
 音波の一種で超音速で移動する物体の周りに発生します。
 音速で飛ぶジェット機から発生された衝撃波により 付近の民家のガラスが割れてしまうように、それぐらい破壊力があります。

尿路結石とは?
 腎臓から尿道に至る尿の通り路にできる結石を尿路結石といいます。
 生活習慣の変化で、年々増えており男性は女性に比べて罹りやすく比率は 2:1だといわれています。
 結石のたまる位置により 腎臓、尿管、膀胱、尿道結石に分けられます。
 尿路結石症で最も問題になるのは 尿の通り路のどこかでつまる尿管結石です。
 水腎症といって腎臓が腫れ 血尿や痛みを伴う状態で、長期間続くと腎の機能がなくなってしまうこともあるため、早期の治療が望まれます。

ESWL

*当院では
▼使用している機器はフランスのEDAP社製です。皮膚表面から脂肪、筋肉などの体組織を通って伝播させ 体内深部の結石に衝撃波を収束させる事で結石を破砕します。
▼超音波でリアルタイムに結石の状態を見ながら治療ができます。
▼痛みも少なく 術前に坐薬を挿入するのみで 原則的に通院で行っています。(ほとんどの施設は 痛み止めに麻酔をするため、入院で施行しています)
▼実際に衝撃波をあてるのは約1時間で、治療後は 抗生剤や止血剤の入った点滴を40~50分かけてゆっくり落とします。
▼治療後は、安静の必要もなく普段と変わらぬ生活をしてもらえます。
▼破砕された結石は 細かい砂状となり尿中に排出されます。
ESWL前ESWL前ESWL後ESWL後

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潰瘍性大腸炎(UC)とは?

(この記事は2008年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

臨床工学検査科主任 光村勝也

 潰瘍性大腸炎とは、何らかの原因により、大腸の粘膜に炎症が起こり、びらん(ただれ)や潰瘍ができる病気です。炎症は通常、肛門に近い直腸から始まり、その後、その奥の結腸に向かって炎症が拡がっていくと考えられています。腸に起こる炎症のために、下痢や粘血便(血液・粘液・膿の混じった軟便)、発熱や体重減少などの症状があらわれます。病状は、おさまったり(緩解期)、悪化したり(活動期)を繰り返すことが多く、長期にわたって、この病気とつきあっていくこともあります。

治療方法は
 治療方法の一種として、G-CAP療法(Granulocytapheresis)とL-CAP療法(Leuko Cyt Apheresis)があります。「G-CAP療法(顆粒球吸着療法)とは、血液中の活性化した顆粒球を取り除き、炎症をすみやかに治める治療法のこと」です。「L-CAP療法(白血球除去療法)とは、血液中の活性化した白血球を取り除き、炎症をすみやかに鎮める治療法です。」

治療時間及び回数は
 G-CAP療法1回の治療時間は約60分間です。回数は1週間に1回の間隔で5~10回行ないます。L-CAP療法1回の治療時間も約60分間です。1週間に1回の間隔で5回を1クールとし、2クールまで行えます。どちらの治療方法についても、患者さんの状態にもよりますが外来での治療も可能です。また、どの時点で治療を終了するかは症状の改善度や検査の結果、治療が原因と考えられる副作用の有無などによって決まります。

L-CAP療法とG-CAP療法の違い
 吸着・除去するものが違います。L-CAP療法は、白血球全体を取り除き、G-CAP療法は、白血球の中の顆粒球・単球を取り除きます。L-CAP療法かG-CAP療法かは、患者さんの状態を見て決めます。

当科での対応
 当院において、2006年2月よりこの治療法を開始しております。当科においては、医師の指示の下に施行中の管理などを受け持っており、随時、治療可能なように準備をしております。

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心臓超音波検査の紹介

(この記事は2008年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

臨床工学検査科 主任 光岡敏明

 心臓超音波検査とは人の耳には聞こえない高い周波数の音(2.5~10MHz)を利用した検査法で、体表面から心臓の動きや、大きさ、血液の流れを描出、計測することにより客観的な心機能評価が出来る検査です。通常、心エコーと言われています、検査に用いられている超音波は安全で痛みも無く、副作用もないので繰り返し検査が可能です。

検査の目的
心臓はポンプの役割をしている臓器で、全身に血液を送っている左心房、左心室、肺に血液を送っている右心房、右心室の4つの部屋と逆流を防ぐ4つの弁(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁)から成り立っています。これらの形や大きさ、機能が保たれているか、異常血流が無いかを観察する事により、種々の心臓病(心臓弁膜症、先天性心疾患、心筋梗塞、心不全、等)の診断や重症度の評価、経過観察、治療方針、治療効果の判定など幅広い目的で検査を行います。また、手軽に検査が行えるため検診やドック等の循環器疾患のスクリーニング検査としても有用です。

お体に当てる筒状のもの
プローブ(超音波を送受信する部分)と呼んでいます。超音波検査では検査部位や用途に応じてこのプローブを使い分ける必要があります。超音波の周波数が高ければ分解能の良い画像が得られますが、超音波の減衰も大きくプローブから遠い部分の画像が不鮮明になります。心エコーの場合は2.5~5MHzのセクタ型というプローブを使用します。セクタ型プローブは浅部の視野は狭いのですが、深部にいくにしたがい扇状に広がり肋間から心臓を観察するのに適しています。また心臓の動きをリアルタイムに観察することが出来ます。

検査方法
検査時は大きく胸をだして仰向けか左側臥位になっていただきます。手と足に心電図の電極も付けさせていただきます。超音波の通りを良くするため、胸の一部に検査用のジェルを塗り、部屋はやや暗くして検査を行います。

検査時間
1人15分~30分程です。心疾患により計測や観察するところが沢山ある場合や、肥満、やせすぎ、肺疾患等で心臓が見えにくい場合では更に時間がかかることがあります。

心臓超音波検査を受けられる患者様へ(生理検査室より)心臓超音波検査
● 検査による痛みはありませんが、プローブを胸に強く押し当てた時に痛みを感じることがありましたら、検査担当者にお伝え下さい。
● 検査は胸を大きく出してもらいますので身軽な服装でご来院下さい。
● 腰痛等で長時間横向きの姿勢がとりにくい方、検査中に気分が悪くなられた方、トイレに行きたい、寒い等があれば検査担当者にお伝えください。
● 検査結果の説明は原則として行いません。検査結果の説明は担当医よりお聞き下さい。

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