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循環器内科の紹介

(この記事は2016年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 循環器内科 副部長 中森 診



循環器内科とは
 心臓病は癌に次いで日本人の死亡原因の第二位になっていますが、「循環器内科」は血液の循環に関係する臓器(心臓、大動脈、末梢動脈、静脈、肺動脈)の病気(循環器疾患)の診断治療を行う内科です。狭心症、心筋梗塞、弁膜症、心筋症、心不全、不整脈などの各種心臓病の他、大動脈の病気(解離性大動脈瘤など)や、末梢動脈疾患(下肢の動脈硬化症など)、静脈血栓症などの治療を行っています。


◆循環器内科の特徴

 「胸が苦しくなる」、「動悸がする」、「心電図がおかしいと言われた」、「歩くと足が痛くなる」などは循環器疾患で、心不全の悪化で呼吸困難になったり、狭心症の発作で胸痛に襲われたり、心筋梗塞になり救急車で病院に運ばれたなどと聞くこともあると思います。このように、循環器疾患は緊急での対応が必要な病気が多いのが特徴で、特に急性心筋梗塞、不安定狭心症、急性心不全、急性大動脈解離、肺塞栓、重症不整脈などは、適切な初期治療が生死を分けますので、心臓病は怖い恐ろしい病気だというイメージがあります。しかし、循環器疾患を正しく理解し、日頃から適切な治療をうけ予防をしていれば、良い効果が期待できますので、むやみに怖がる必要はありません。



◆カテーテル治療

 狭心症などの診断には64列マルチスライスCTを用いて安全に行っていますが、緊急性の高い循環器疾患の治療を行うために、当院では休日・夜間も含めて24時間緊急心臓カテーテル検査・治療を行っています。また、狭心症や心筋梗塞の治療に使用するステントには再狭窄を予防する薬剤溶出性ステント(DES)を主に使用しています。虚血性心疾患に対する心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術)は血管カテーテル治療撮影装置を用いて行いますが、当院では平成27年11月に血管撮影装置を島津製作所製Triniasに更新し、以前より明瞭な画像でより安全かつ低被爆で治療を行うことができるようになりました。左主幹部病変、分岐部病変、慢性完全閉塞病変などの複雑病変や下肢の動脈硬化病変には血管内超音波(IVUS)や血流予備量比(FFR)などを用いてカテーテル治療を行っています。



◆チーム医療

 循環器疾患は、一人の患者さんの治療に複数の医師、看護師、臨床工学士、臨床検査技師、診療放射線技師などが同時に関わる場面が多いのも特徴のひとつです。この為、緊迫した状況下でも全員がチームの一員として適切に各自の役割を果たす「チームプレー」が欠かせません。カテーテル治療において、安全(Safe)を主として、迅速(Speedy)かつシンプル(Simple)に治療し、患者さんにやさしく(Soft)、笑顔で接する(Smile)ことの「5 S」を心掛けています。



◆心臓血管外科との連携

 当院に心臓血管外科はありませんが、京都第一赤十字病院心臓血管外科など他病院の心臓血管外科と緊密に連携を取り、緊急手術も含めて必要な治療ができる体制にあります。





・心電図、ホルター心電図、運動負荷心電図(マスター階段、トレッドミル)
・(経胸壁)心臓超音波(心エコー)検査
・冠動脈CT検査(64列)
・心臓カテーテル検査(冠動脈造影検査、右心カテーテル検査)
・経皮的冠動脈形成術(ステント治療 PCI)
・FFR(冠動脈予備量比)検査
・冠動脈血管内超音波検査(IVUS)
・大動脈内バルーンパンピング(IABP)
・心臓電気生理検査(不整脈カテーテル検査 EPS)
・ペースメーカー移植術(条件付きMRI対応ペースメーカ)
・経皮的下肢動脈形成術(下肢閉塞性動脈硬化症カテーテル治療)
・24時間自由行動下血圧測定
・ABI(足関節上腕血圧比)、CAVI(心臓足首血管指数)
・SPP(皮膚組織灌流圧)

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ジェネリック医薬品 について

(この記事は2016年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



薬剤部 主任 牛嶋 麻紀

 最近では「ジェネリック医薬品」という言葉は広く世間に浸透し、よく耳にするようになりましたね。では、どんな医薬品なのかもう一度説明したいと思います。


◆どんな医薬品?

 新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に、それと同じ有効成分で製造・販売される医薬品で、新薬と同一の有効成分を同一量含み、同一の効能・効果を持つ医薬品のことです。新薬と異なる添加物が使用されていることがありますが、有効性、安全性及び品質について国が厳格な審査をして、製造販売承認をしています。

◆どうして安いの?
 
 先発医薬品の研究開発には、長い歳月と莫大な投資費用が、コストとして薬の値段に反映されています。これに比べてジェネリック医薬品の場合、既に有効性や安全性について先発医薬品で確認されていることから開発期間やコストを大幅に抑えられ、結果として薬の値段も先発医薬品と比べて安く設定することができます。

◆これからは?

 少子高齢化が進む日本では、今後も医療費の増大が予想されています。ジェネリック医薬品の普及によって、一人ひとりの自己負担や国の財政・健康保険組合の負担などの削減、ひいては高齢化社会の進展によって増大を続ける国民医療費の抑制にもつながります。厚生労働省もジェネリック医薬品の普及を都道府県や医薬品メーカー、保険者などと共に進めています。

 西陣病院でも4月より後発医薬品の導入を予定しています。わからないことがあれば、かかりつけ薬局、当院薬剤部にご相談ください。


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旬の食材 スナップエンドウ

(この記事は2016年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

スナップエンドウ


 栄養科 管理栄養士 安井 裕香



◆スナップエンドウはグリーンピースの改良品種で、アメリカ生まれの緑黄色野菜。

 たんぱく質とでんぷんが主成分で、必須アミノ酸のリジンを多く含みます。また、β-カロテン、ビタミンC、カリウム、カルシウムなど、ビタミン・ミネラルも豊富です。旬は3月~6月で、サヤごと食べられパリッとした食感が特徴です。その食感がスナックを食べるイメージに近いことから、「スナックエンドウ」と呼ばれることもあります。

栄養メモ
 リジンとは、必須アミノ酸のひとつで、人体を構成するたんぱく質の組み立てに必要な栄養素です。ブドウ糖の代謝を良くし集中力を高める、疲労回復、髪の毛の健康を保つ等の効果が確認されています。

春野菜の天ぷら

●春野菜の天ぷら


1人分:
エネルギー200kcal
塩分 0.7g
材料 (2人分)
  
作り方

(1) 玉ねぎは食べやすい大きさへ切り、爪楊枝でばらけないよう刺しておく。菜の花は、茎を切り半分から下を取り除きます。たけのこは、下茹でしたものを使う。スナップエンドウはヘタを除いて、両側の筋を取っておく。
(2) ボウルに天ぷら粉を水で軽く溶いておき、野菜をくぐらせ、170℃に熱した油で揚げる。
(3) 小鍋にみりんを沸騰させ、(A)を加え、ひと煮立ちさせて天つゆを作る。
(4) 野菜を器に盛り付け、天つゆで頂く。
 新玉ねぎ1/2個
 菜の花4本
 たけのこ60g
 スナップエンドウ4本
 天ぷら粉適量
 揚げ油適量
 大根おろし適量
 みりん小さじ1
 だし60cc

A
濃口醤油小さじ1
淡口醤油小さじ1


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新年のごあいさつ 平成28年 元旦

(この記事は2016年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


伊谷先生 西陣病院 院長 伊谷 賢次

 明けましておめでとうございます。

 皆様には、さわやかな新春をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。また、昨年中、当院に賜りました数々のご厚情とご支援に対しまして、職員一同心より御礼申し上げます。


 昨年は日本のTPP 参加表明による農家の不安、集団的自衛権を含む安保法案による国民の不安、フランスなど欧州での無差別テロによる世界不安がありました。また、地球温暖化も原因と考えられるゲリラ豪雨による洪水災害が毎年のように起こり、マンションなどの基礎工事の不正など、様々な不安の多い一年でした。福祉医療においても、2年前の消費税8%導入、診療報酬改定後、病院経営にとっては厳しいものとなり、良質な福祉医療の継続に大きな不安があります。今年4月に行われる診療報酬改定も、社会保障費抑制のため7対1看護の急性期病院のハードルがさらに高く設定される予定です。このような厳しい状況でも、当院の目指すべき目標は、設立当初からの基本方針である、「地域に密着した良質な医療を高いレベルで提供する」ことです。そのためには、ハード面、ソフト面ともさらに充実させなければなりません。

 ハード面では、昨年10 月に眼科用手術顕微鏡を最新の機種に更新し、さらに安全な白内障などの手術が可能になりました。また、11 月に血管撮影装置を最新のフラットパネルに更新することで、低被曝で鮮明な画像が得られ、より安全で低侵襲な検査やカテーテル治療も可能となりました。今後も良質な医療を提供するには、できるだけ最新の機器整備が必要であり、今後も計画的に医療機器の更新を行っていく予定です。

 ソフト面では、今後もさらに診療体制を充実させ専門性の高い急性期病院を目指します。また、包括ケア病棟の開設も予定し、サブアキュート・ポストアキュート・レスパイトなど地域にあった診療体制を構築していきます。当院の特徴のひとつは、一般診療と透析医療を車の両輪と考え、相互に緊密な連携をとりながら総合診療を行っていることです。一般診療も、中高年層の多い地域で、透析患者さんと同様に、多くの合併症を持った患者さんを診療しています。そのような、合併症の多い患者さんが安心して安全で高度な医療を受けていただけるには各科医師の連携はもちろん看護師をはじめ、すべての医療スタッフのチームワークが必要です。幸い透析医療を行ってきた歴史により、心臓血管外科・脳神経外科疾患は連携病院に搬送しますが、それ以外のハイリスクの患者さんには、内科医系・外科医系・画像診断医・麻酔科医などによるスピーディーなチーム医療を行う文化が根付いています。

 今後も職員全体が患者さんを主体に考え、良質な医療を提供するためにスタッフ一人ひとりが役割と責任を自覚して努力していきますので、今年一年、さらなるご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。


平成二十八年 元旦


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手術を受ける患者さんの思いによりそって

(この記事は2016年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



麻酔科 部長 中川 博美


 明けましておめでとうございます。

 皆様にはお健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。昨年も、近隣の先生方の温かいご支援、各診療科間の綿密な連携、また、コメディカルの協力によるチーム医療に支えられ、安全に麻酔と周術期管理を行うことができました。これも、皆様方のおかげと深く感謝申し上げます。

 昨年、麻酔科では約900件の麻酔を担当しました。65歳以上の方が67%を占め、その内90歳以上の方は40名、最高齢は104歳でした。医学の進歩とともに手術はより低侵襲に麻酔はより安全になり、ご高齢な方の手術や麻酔が可能になりましたが、同時に、今後は、手術に向けてより早い時期からの体調管理がますます重要になってきます。麻酔科では、2013年から術前外来を始め、ご入院前から禁煙・休薬指導のみならず必要な方には院内外での内科的治療をお願いしています。また、2015年からは地域医療連携室を通じ上京歯科医師会の先生方のご尽力を賜り、周術期口腔機能管理の医科歯科医療連携にも取り組み始めました。麻酔時の歯牙損傷の回避や術後肺炎の予防だけでなく、手術前からよく噛める状態にして術後の全身の回復を助けることが主な目的です。

 麻酔科は周術期のコンダクターでもあります。麻酔の知識と技術の習得に加え周術期医療連携を充実させ、患者さんが安心して手術を受け、順調に回復して頂けますよう力を尽くして参りたいと存じます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

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