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笑う門には福来たる

(この記事は2015年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



福本医師 外科 副部長 福本 兼久


 皆様、明けましておめでとうございます。一昨年、故・宮垣部長が若くしてご逝去され、突然、外科の責を担うことになりました。昨年は、出口のない迷路に迷い込んだかのように途方に暮れる日々もありましたが、他の外科スタッフや他科の先生方、看護師さん、コメディカルスタッフの方々のご協力のおかげで、新年を無事迎えることができました。また、近隣の先生方の暖かいご支援、ご指導もあり、当科での治療を希望しご紹介頂ける患者さんも増え、昨年の外科手術件数も前年とほぼ同等となりました。

 当科では、高木副部長が企業と共同開発した内視鏡外科専用器具を用い、低侵襲手術である単孔式内視鏡手術を早期より導入し、特に、単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術、単孔式腹腔鏡下虫垂切除術、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は、多くの患者さんにご満足頂いております。また、がんの治療も手術に限らず、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療など様々な治療法が選択できるようになり、個々に応じた治療後のQOL(生活の質)が重視されています。そのためには、医師だけではなく、様々な職種が一人の患者に携わるチーム医療が不可欠であり、当院の特色でもある他職種間のチームワークを更に強化し、より良質な医療を提供できるよう、スタッフ一同精進して参ります。

 「笑う門には福来たる」と申します。全ての患者さんにとって笑顔の一年となりますよう、外科一同頑張りますので、本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

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透析センターにおける災害対策 ~患者さん対象避難訓練開催報告~

(この記事は2015年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


松田副主任 透析センター災害対策委員会
 臨床工学科副主任
 松田 英樹


 昨年初秋の10月5日(日曜日)に、本館2階透析センターにおいて、災害対策の一環として患者さん対象避難訓練を実施しました。「透析治療中に火災が発生し、治療を中止して避難・誘導を行う」という想定のもとに、当院で透析を受けておられる患者さんに実際に体験していただきました。透析センターでは、普段から、透析治療中にトイレ休憩をとられる患者さんと透析機器の離脱手技を行っており、その手技を災害時に行う手技と同じようにしております。その成果からでしょうか、スタッフより避難訓練当日もあせらずに行動できた、との声がありました。また参加された患者さんからは、初めての訓練で緊張したけれど落ち着いて行動出来た、スタッフの方が大きな声で誘導してくれたので安心した、夜の暗いときに停電になったらどうなる、などのご感想・ご意見をいただきました。

 患者さんの中には、杖を用いての歩行や車イスを使用されている方もおられます。そのような方の避難誘導は、声かけ・目配り・気配りに注意しながら安全に行う事が大前提です。医師・看護師・臨床工学技士・看護アシスタント等のスタッフが、コミュニケーションをとりながら2階から1階へと階段を利用して無事避難することが出来ました(写真)。
災害対策は、日頃からの心がけと繰り返し訓練することが大事であると考え、今後も定期的に実施して災害に備えたいと思います。

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「うがい」のおはなし

(この記事は2015年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 薬剤部 主任 福本 郁子


  風邪やインフルエンザが流行する時期となりました。風邪の予防や病院にかかって処方されて、うがい薬を使用されている方も多いのではないでしょうか。今回は、「うがい」についてお話します。


 うがい薬には、①口腔内を消毒するもの、②口内炎など粘膜の炎症を抑えたり、傷ついた粘膜を修復するもの、と大きく2種類に分けられます。
 感染予防や治療には殺菌消毒剤、のどの痛みや口内炎などの炎症には抗炎症剤を使用します。



 うがいの方法
●のどに炎症がある時や口腔内を消毒する場合(下図参照)

(大正製薬HPより引用)

●抜歯後の消毒や口腔内に炎症がある場合
 まず、口の中の食べかすなどを洗い流す。その後、うがい液を口に含み、頬を左右前後にふくらませてうがいする。


 うがい薬を使わなくても、「水道水でのうがい」も風邪の予防効果が実証されています。外出から帰宅した時、飲食後、のどの不快感のある時など、通常のうがいには水道水で構いません。
 のどや口の中に炎症がある時・風邪の流行期にはうがい薬、それ以外の時は水道水でのうがい、と使い分けると良いでしょう。

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白内障について

(この記事は2014年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



中司医師 眼科 部長 中司 美奈
白内障とは?

 白内障は、水晶体が白く濁ってくる病気です。目の構造はよくカメラのしくみにたとえられますが、水晶体はカメラでいうとレンズの役割をしている部分です。加齢により誰でも起こる病気で、60 歳代で約70%、70 歳代で約90%、80 歳代でほぼ100%の人に白内障による視力低下がみられます。
他にも先天性や外傷性、アトピー、糖尿病など基礎疾患に合併する白内障、薬剤や放射線による白内障もあり、若い頃から発症していることもあります。


・白内障の症状
 ごく初期の白内障はほとんど自覚症状が出ませんが、白内障が進行してくると実に多彩な症状が出現します。よくある症状は、眼がかすむ、夕方になると見えにくくなる、光がまぶしい、物が二重、三重に見えるなどです。このような白内障の症状がいくつも同時に出ている場合もあります。また、近視・遠視・乱視といった屈折度数が白内障によって変化しますので、眼鏡の度数がすぐに合わなくなることもあります。白内障が初期の段階から、強い症状を感じる人もいますが、白内障が進行してきても、あまり症状がでない人もいます。
白内障 白内障が高度になると瞳(瞳孔)の中が
 真っ白になります。


・白内障の治療
 では、白内障と診断されたら手術をしないといけないのでしょうか?白内障は加齢性の変化であり、白髪ができると同じように年齢とともに進行します。まだ自覚症状が出ていないような初期の白内障では手術の必要はありません。白内障進行予防の点眼薬がありますが、濁った水晶体を元に戻すことはできませんので、白内障が進行し、自覚症状が強くなってきたら、手術を行います。手術の時期に決まりはなく、基本的には患者さんが手術を希望される時に手術を行いますが、稀に手術を早めにされる方が良い患者さんもおられます。手術の時期は主治医とよく相談しましょう。


・白内障手術について
 白内障の手術は、局所麻酔で行われ30 分程度で終わります。合併症がなく、お元気な方は日帰り手術が可能ですが、手術当日はなるべく安静に過ごす必要がありますので、一人暮らしの方やご高齢の方、合併症のある方は入院されることをお勧めします。白内障の手術は、水晶体の濁りを除去し、眼内レンズを挿入します。通常、水晶体の濁りは超音波で削りますが、非常に進行した白内障では水晶体が硬くなってしまい、超音波で削れない場合がありますので、その場合は水晶体を塊のまま摘出します。手術翌日から、手術した眼も使っていただけますので、日常生活は普段どおりお過ごし頂けます。ただし、手術後1週間程度は洗顔・洗髪や激しい運動ができません。また、点眼治療が必要ですので、主治医の指示に従って点眼をしてください。


・眼内レンズについて
 白内障手術で白内障の濁りを除去した後、眼内レンズを入れることで眼内レンズがこれまでの水晶体の役割を引き継ぎます。眼内レンズには眼鏡やコンタクトレンズと同じような度数がついていますので、患者さんに合う度数を選んで挿入します。最近では多焦点眼内レンズと呼ばれる遠近両用眼内レンズを先進医療として選択できるようになりました。ただし多焦点眼内レンズを用いた手術を実施できる病院は決められており、また保険外診療となりますので手術に高額の費用がかかります。多焦点眼内レンズのメリット・デメリットもありますので、手術前に主治医とよく相談して、納得して手術を受けましょう。


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誤嚥性肺炎の予防と運動について

(この記事は2014年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


リハビリテーション科 副主任
言語聴覚士 西村 豪文
肺炎は日本人の死亡原因の第3位であり、高齢者ではその死亡率は急激に上昇します(厚生労働省の平成23年度人口動態統計)。高齢者の肺炎の7割が誤嚥による肺炎です。


 普段、私たちは嚥下(飲み込む)という行為を何気なく行っていますが、食べ物を口から胃へ送り込むという一連の運動を行うためには、多くの器官が複雑に働いています。咽頭は、①口から食道へ至る飲食物の通り道②鼻から肺へ至る空気や声の通り道が交わっていて非常に複雑な働きをします(図1参照)。嚥下の際には、声帯や喉頭蓋(喉頭のふた)により気道の閉鎖が行われ、食物を気道に入りにくくして(図2参照)。しかし加齢や病気などにより、協調運動がうまく機能しなくなり、飲食物などが肺などに入ることを「誤嚥(ごえん)」といいます。誤嚥によって肺に細菌が繁殖して炎症を起こすのが「誤嚥性肺炎」です。しかし、誤嚥すれば必ず肺炎を起こすわけではありません。誤嚥をしても咳により気道から誤嚥物を出せたり、免疫力が高ければ、肺炎に至らない事も多いです。他にも誤嚥した細菌量、細菌の種類、肺の健康状態など種々の要因が誤嚥性肺炎を発症するかに影響します。ですから、日ごろからこれらの要素を良好に維持するように心がけることが大切なのです。



 飲み込みの際に気管を閉鎖する力、誤嚥物を気管から出すための喀出力(咳の強さなど)は、呼吸機能や声帯の閉鎖機能に影響されます。これらの機能を低下させないためには、日常生活での運動が重要です。例えば重たいものを持ち上げる時などには、無意識に息を吸い、胸を膨らませ、息が漏れないように声帯を締め、胸郭を固定します(一度やってみてください)。このことで腕は安定し、最大の力、瞬発力が発揮されます。この時には強力な声門閉鎖が行われており、身体の運動は声帯機能の維持強化にも繋がるのです。運動では体力維持も期待でき、免疫力向上にも繋がります。これに対し、寝たきりの生活では、胸郭や横隔膜の運動が阻害され、呼吸機能の低下を招いてしまいます。ベッド上中心の生活の方でも、呼吸機能や体力維持のためにベッド上で座位をとることや車椅子に乗車することは重要ですので、是非、行ってみてください。また、声帯をはじめ、呼吸機能の維持には、歌唱や会話、笑うことも重要です。こういった視点でみると、嚥下機能の維持のためには、ご家族や親しい方と、お出かけし、楽しくおしゃべりや、お食事をすることがなにより効果的かもしれません。


 「食べること」は、単なる栄養補給だけでなく、生きる楽しみの一つであり、“生きがい” に関わる問題です。嚥下障害・誤嚥性肺炎を「治す医療」も大切ですが、加齢や疾患の特性上限界があります。当院では、嚥下障害の患者さんの「生きがいを支える医療」を念頭においた対応を大切にしています。当科でも、昨年7 月に言語療法室開設後、嚥下障害の患者さんに対して言語聴覚士、理学療法士、作業療法士による専門的リハビリを行ってきました。当院では、栄養サポートチーム(メンバーは各科医師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士、薬剤師、臨床検査技師など)により、専門的な医療サポートを行っています。嚥下障害でお困りの方は、まずは主治医にご相談ください。

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