昭和47年開設してきた経験から得られた「貴重な技術」を元に、日頃の透析治療に貢献できるよう努力を続けています。
慢性腎臓病(CKD)の保存期の治療から、急性期および慢性期透析療法、そして終末期までトータルで診療する全腎的な治療が可能な環境を整えております。
慢性腎臓病(ChronicKidney Disease : CKD)とは、腎障害を示す所見や腎機能低下が慢性的に続く状態で、放置しておくと末期腎不全になってしまいます。
現在、日本には約1,330万人のCKDの患者さんがいるといわれています。これは、成人の約8人に1人に相当する数です。また、血液透析を受けている患者さんも、約30万人を超えており、毎年1万人ずつ増え続けています。
さらにCKDでは、心臓病や脳卒中などの心血管疾患にもなりやすいことが明らかになっており、いかにCKDを治療し、心血管疾患を予防するかが重要となっています。
近年、CKDの進行を抑える方法がわかってきており、平成22年9月より、慢性腎臓病外来を開設しております。
慢性腎臓病の進行を抑えることを目的として、腎機能維持・腎機能改善治療に取り組んでいます。
慢性腎臓病(CKD)は8人に1人が罹患すると言われている国民病です。
その背景を受け、当院ではCKD看護外来を開設しました。看護師が外来に立ち、CKDステージ3b以降(GFR:45以下)の患者さんを対象に、治療を織り込んだ生活によって生じる様々な問題に対して、患者さんが自分らしく、より健康的な生活が出来ることを目標として介入しています。
当院では、かかりつけの医師と連携し、情報共有を円滑に行うための「医療連携パス」を活用しています。
腎臓病外来の初回受診の際に、「医療連携パス」を配布させていただきますので、かかりつけ医および当院受診の際には、「医療連携パス」をご持参下さい。
心血管疾患を予防するためにも、早期に腎障害を発見し治療を行うことが重要であります。
CKD と診断された患者さんは心機能の検査、心血管疾患と診断された患者さんは腎機能の精査をお薦めいたします。
当院でのCKD教育入院は、腎機能のみならず心機能検査も合わせて実施しております。また、このほかにも、シャント作成を兼ねた教育入院も行っております。
CKD教育入院のタイムスケジュール
1日目 | 検尿、心電図、レントゲン、24時間血圧測定、DVD学習、内服確認 |
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2日目 | 動脈血採血、腹部CT検査、水分体重管理、蓄尿検査、DVD学習 |
3日目 | 心臓超音波検査、体成分分析装置、ABI/TBI検査、腹膜透析、血液透析の説明・見学 |
4日目 | 退院後の診療計画、栄養指導、医師による説明・指導、薬剤指導(腎臓に影響を及ぼす薬)など |
当院では、糖尿病の患者さん、CKDの患者さん、透析を受けておられる患者さん、そのご家族あるいは関心をお持ちの方を対象に、糖尿病・CKD・透析に関する様々な情報をお伝えすることを目的として定期的に右記の教室を開催しております。
各教室は医師・看護師・臨床エ学技士・薬剤師・管理栄養士・ソーシャルワーカー・理学療法士・作業療法士がそれぞれの専門分野の内容で講師を務めます。糖尿病、CKDまたは透析にご関心をお持ちの方は、お気軽にご参加ください。
血液透析は、何らかの原因で腎臓の働きが低下し、その代替として行われる治療をいいます。身体からポンプで血液を体外に取り出し、ダイアライザーと呼ばれる特殊なフィルタを通して老廃物を濾過し、きれいになった血液を体内に戻す治療です。
基本的に週3回通院し、1回につき4~5時間の定期的な治療を受けていただきます。
透析治療では水道水をRO水という純度の高い水に変え、薬剤を混ぜて透析液を作成し患者さんの治療に使用します。当院では最新の医療機器を定期的に点検し計画的に更新を行い、安全な機器管理に努めています。
また、OHDF、IHDFを導入しております。
OHDF(オンラインHDF) という治療は、通常の血液透析に濾過を加えた方法です。透析液を大量に補液し、その分を濾液として体外に出すことで、多くの老廃物を除去することが可能です。
IHDF(間歇補充型血液透析濾過)は、治療中に一定時間毎に透析液を補液する治療で、通常の透析で血圧低下をきたしやすい方に有効とされています。その他保険収載された治療を実施しています。
血液透析を受ける際、シャントと呼ばれる手術が必要になります。腕の動脈と静脈を縫う手術です。発達させた静脈には動脈の血液が流れますが、透析のたびに2か所に針を刺すため血管が細くなったり狭くなったりすることがあります。普段からシャントの状態を観察することが大事ですが、万一シャントトラブル(狭窄:せまくなって十分な血液が得られなくなる、閉塞:血管が詰まってしまい血液が流れなくなる、感染:細菌が入り熱や発赤や膿が出るなど)が起きたときには、すぐに当院にご連絡ください。当院にて迅速に対応いたします。
午前透析4時間の治療例
7:45~ | 来院(更衣・血圧測定) |
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8:00~ | ●透析センター入室(検温・体調確認) ●体重測定●血圧測定・問診・シャントチェック ●除水設定 |
8:30~ | ●シャント穿刺、透析開始 ●血圧測定(開始後、2時間後、終了時、その他適宜) ●安全点検●担当医回診 |
12:30~ | ●透析終了●止血●体重測定●更衣帰宅 |
腹膜透析(PD)とは、腹膜(内部臓器の動きを滑らかにし保護する生体膜)と腹腔(臓器内の隙間)を使って体内で透析を行うもので、腹腔内に埋め込まれたカテーテルを通して透析液を腹腔内に貯留します。貯留している間に血液中の過剰な水分や老廃物が、腹膜を通して透析液に移動しカテーテルを通して体から排出します。
これをバッグ交換といい、体格や個々の体調に応じて1~2Lの透析液を1日1~5回、患者さん自身か介助者の方が行う治療です。この液の出し入れを、寝ている間に機械を使って自動で行う方法もあります。
血液透析に比べると体に負担が少なく、高齢者にも向いているといわれています。また残存腎機能(尿)が比較的長く保持されることや、カリウムの制限が緩和されることは長所です。
しかし腹膜は生体膜のため、現在の医学では5~8年くらいが継続の限界といわれています。
腹膜透析を実施されている患者さんは、2~4週間に1回程度、診察のために病院に来ていただき、採血や各種検査を実施し、腹膜透析がうまく行えているかを診察します。腹膜透析外来は、隔週・完全予約制で患者さん一人ひとりの在宅治療の様子や、カテーテル挿入部(出口部)のケアを行っています。現在当院では十数名の患者さんがおられ、腹膜透析外来の待合は、患者さん同士の情報交換の場としてとても和やかな雰囲気です。
よりよい治療が行えるように、
患者さんを中心に医師・看護師・臨床工学技士・薬剤師・管理栄養士・ソーシャルワーカーの専門スタッフがチーム医療を結成しております。
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