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あなたは大丈夫?メタボリックシンドロームを予防しよう。

(この記事は2011年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤部 薬剤師 高岡 静香
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)をご存じですか?近年、この言葉は急速に広まり、生活習慣を改善しよう、といった雰囲気が社会の中に芽生え始めていることは、私達の健康を考えるうえで大きな一歩といえます。メタボリックシンドローム
◆メタボリックシンドロームって何?
 生活習慣病は、お腹周りの内臓に脂肪が蓄積した「内臓脂肪型肥満」が大きく関わることが分かってきました。具体的には、ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上です。それに加えて高血圧(130/85㎜Hg以上)、高血糖(空腹時血糖値110㎎/dL以上)、脂質異常(中性脂肪150㎎/dL以上またはHDLコレステロール40㎎/dL未満)のうち2つ以上が合併した状態をメタボリックシンドロームといいます。

◆メタボリックシンドロームはなぜ危険なの?
 動脈硬化を引き起こし、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などといった命にかかわる病気の危険性が急激に高まるので、大変危険です。

◆メタボリックシンドロームの予防・改善は?
 主因は内臓脂肪の過剰沈着です。内臓脂肪は食事・運動療法によって燃焼しやすいことが知られています。予防・改善するためには、生活習慣を改善して内臓脂肪を減らすことが大切です。すでに高血圧症や糖尿病、脂質異常症と診断されている場合には薬によるコントロールが必要なこともあります。治療で必要な薬は適切に使用しましょう。「薬を飲めば安心」ではなく、生活習慣の改善をあわせて行うことが大切です。

◆メタボリックシンドロームと特定健康診査・特定保健指導制度
 2008年4月より、メタボリックシンドローム対策に重点を置いた新しい健康診断が実施されています。40~74歳を対象にウエスト周囲径の計測が必須になります。また、その他の検査からメタボリックシンドロームのリスクの有無を調べ、リスクの程度に応じて保健指導が行われます。


皆さんは健康診断を定期的に受けていますか?健康診断を定期的に受診し、自分の健康状態をキチンと把握することが大切です。そして結果を放置せず、改善すべき項目は早めに改善しましょう。

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UPD System -内視鏡挿入形状観測装置-

(この記事は2011年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


竹中先生 内科 部長 竹中 信也

 今回は新しく西陣病院に導入された、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)のシステムをご紹介します。

 それは、UPD(内視鏡挿入形状観測装置)、通称:コロナビです。
 このシステムは、大腸カメラが大腸の中でどのようになっているのかを、X線(レントゲン)を使うことなく、見ることができるシステムです。(図1)
 カメラの挿入形状を3次元的に表示。内視鏡に内蔵された十数個のコイルから発生する磁界を挿入形状観測装置にて受信し、リアルタイムで挿入形状を表示します。(図2)
 UPDは、従来の挿入形状を表示する手段として活用されていたX線と比較し、磁界を利用しているため、術者、介助者、患者様の被曝が無くなるばかりではなく、リアルタイムの3次元的なカメラの挿入形状の表示により、スムーズな内視鏡の挿入をサポートするため、患者様の負担の軽減も期待できます。
 しかし、今後も従来からのX線透視室での大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を平行して行います。ただし、挿入困難が予想される症例、ポリープを切除する症例、造影剤を組み合わせる症例などを中心に行なっていきます。これにより検査の待ち時間もかなり短縮されると予想しています。
 西陣病院では、近年増加し続けている大腸疾患(大腸ポリープ、大腸癌、潰瘍性大腸炎、虚血性腸炎、大腸憩室等)、それに伴い増加する大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の件数に対応すべく、UPDを新たに導入しました。
 みなさんも、主治医に大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を勧められた時には、臆することなく是非受けてみて下さい。

図1図2_UDP図2_X線
図1図2 UDP図2 X線


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心腎疾患 -腎臓と心臓の関係について-

(この記事は2011年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


小山先生 腎臓・泌尿器科 医長 小山 正樹

 さまざまな原因で腎臓の働きが徐々に悪くなる病気を慢性腎臓病(CKD)といい、日本では、成人の25人に1人は慢性腎臓病の疑いがあると言われています。腎臓病が進行すると末腎不全へと進行し、透析治療が必要となります。これまで、慢性腎臓病の終末像は末期腎不全、透析療法であるとみなされていましたが、ところが、透析にいたる前に心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患(CVD)を高率に発症することが判ってきました。慢性腎臓病は、①蛋白尿などの検尿異常、②糸球体濾過率(GFR)60㎖/分/1.73m2と定義されています。慢性腎臓病の患者様は腎機能低下が無い患者様に対して、心血管疾患による死亡リスクは男性で3倍、女性で4倍ものリスクが高まります。

 高血圧、糖尿病、高脂質血症、肥満などのメタボリックシンドローム、喫煙が慢性腎臓病発症の原因ですが、これらは心血管疾患発症の原因でもあります。これらの生活習慣病と加齢が原因となった血管病変が腎臓にきたものが慢性腎臓病でありますし、心臓・脳血管にきたものが心血管疾患であります。ゆえに慢性腎臓病と心血管疾患が密接に関連しています。また、慢性腎臓病の進行とともに貧血、高血圧、カルシウム・リン・カリウムなどの電解質異常、尿毒症物質の増加により、血管内皮機能障害を引き起こし、動脈硬化の進行を認めます。よって慢性腎臓病により、さらに心血管疾患の発症が高まります。

 心血管疾患の予防のためにも慢性腎臓病の積極的な診断および治療が必要になります。慢性腎臓病患者様の高血圧は、食塩感受性であることから、塩分摂取量により大きく変化します。そのため、慢性腎臓病患者様では、高血圧・心血管疾患のためにも塩分摂取量を6g/日以下に制限することが非常に重要であります。血圧は130/80㎜Hg 未満を目標とします。尿蛋白が1g/日以上の場合には、さらに125/75㎜Hg未満まで下げる必要があります。24時間にわたる安定した降圧をめざすためにも、家庭血圧の測定が奨められます。慢性腎臓病治療の食事としては、蛋白制限が挙げられます。蛋白制限により慢性腎臓病の進展を防止することが知られていますので、1日に0.6~0.8g/kg×体重まで制限することが重要です。

 生活習慣としては、喫煙は慢性腎臓病、心血管疾患ともに進行を進めますので、出来る限り禁煙されることをお薦めします。

 心血管疾患を予防するためにも、早期に腎障害を発見し、治療を行うことが非常に重要であります。慢性腎臓病と診断された患者様は心機能の検査、心血管疾患と診断させた患者様は腎機能の精査をお薦めいたします。当院での慢性腎臓病の3泊4日の教育入院では、腎機能のみならず心機能検査も合わせて行っておりますので、こちらを利用していただくことも一考かと思います。心腎疾患

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花粉症のおはなし

(この記事は2011年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤科 佐藤 加奈スギ花粉
 今年も、花粉症の季節がやってきました。

 日本気象協会による2011年春の花粉(スギ・ヒノキ科)の飛散予測では、ほとんどの地域では例年より多いか例年並とのことですが、花粉の飛散数が少なかった2010年春に比べると、近畿地方では10倍以上になる所があると予想されています。

 花粉症の4大症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみですが、人によっては、頭痛・体がだるい感じ・イライラ感など、さまざまな症状がでることもあり、意欲が低下して日常生活にまで支障をきたすことがあります。

 現在のところ花粉症を完全に治す薬はなく、症状を軽くするための飲み薬や点眼薬・点鼻薬などが使われます。花粉が飛び始める1~2週間前から病院で飲み薬を処方してもらい、シーズン中続けて服用することで症状を軽くすることができます。しかし、このような薬の中には副作用で眠くなったり、知らず知らずのうちに集中力や判断力が低下するものがあるので、車の運転をされる方などは注意が必要です。また、のどが渇く・便秘になるといった副作用がでることもあります。この副作用は花粉症の薬だけでなく、睡眠薬や心臓の薬・市販の風邪薬や胃腸薬などにもあるので、服用中の薬があれば医師や薬剤師に相談して下さい。

 花粉症の予防には、外出時のマスクやメガネなどを使用することで原因となる花粉を避けるとともに、ストレス・睡眠不足・疲労などを取り除く事が大切です。規則正しい生活を心がけましょう。花粉症

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尿路結石について

(この記事は2011年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


平山先生 腎臓・泌尿器科 医長 平山 きふ

 尿路結石とは、読んで字のごとく『尿路』に石ができる病気です。尿は腎臓で作られ尿管を通過して膀胱に貯留され、尿道から排出されます。この尿の通り道、尿路のどこかに石がつまって尿路結石となります。それぞれ石がつまった位置により腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と分類されます。この病気は食事の影響が非常に大きく、一種の生活習慣病と考えられており、日本でも食生活の欧米化で本症の頻度は増え続けています。なぜ石が出来るのか、原因のはっきりしているものもありますが、およそ8割は原因不明です。2:1以上の割合で男性に多い病気で、疫学調査によると男性の場合は約10人に1人、女性の場合は約25人に1人が一生の間に一度は尿路結石症に罹患する計算になります。いろいろな種類の結石があり、石の成分を調べると発症の手掛かりがつかめることがあるので、再発防止のためにも、自分の結石の分析結果を知っておくことは大変重要となります。

 症状は結石の大きさや存在している場所により異なりますが、疝痛発作と呼ばれる激痛が特徴的です。吐き気を伴うこともあります。尿路の粘膜が結石によって傷ついた場合には血尿が出ることもありますし、膀胱を刺激することにより頻尿や残尿感といった症状がでることもあります。また、結石により尿流の通過障害があると、腎盂腎炎から「敗血症」という怖い病気を誘発することもあります。


治療法

保存療法:
 水分を多量にとり、尿管の蠕動運動を活発にさせることで結石の下降を促します。ほかに、尿酸結石やシスチン結石の場合には、尿をアルカリ性に変える薬などを投与し、結石を溶かす治療を行ないます。

侵襲的療法:
 結石が大きく自然排石が困難な時、激しい痛みがある時等に行ないます。多くの場合では、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が第一選択となります。これは体外で発生させた衝撃波を体の中にある結石に集め、そのエネルギーで結石を砕くというものです。細かくなった石は尿道より自然に排出されます。ESWL が無効な場合や、解剖学的にESWLが施行しにくい場合等には内視鏡的に結石を取り出します。当院では軟性腎盂尿管鏡とレーザーを用いて、腎結石や尿管結石に対する治療を行っています (f-TUL) 。現在結石に対する開腹手術は稀です。


再発予防

 水分をたっぷり採り、1日2リットル以上の尿量を保つようにしましょう。しかし、アルコールを大量に飲むのでは逆効果です。ほかにカルシウムはしっかり採る、脂肪は控えめにする、野菜・海草・青身の魚を適度に採る、塩分・砂糖は控えめにする等ありますが、一種の生活習慣病であり、食事はバランス良く・規則正しくを心がけ、肥満にならないように注意することが大事です。

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