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皮膚科で耳たぶへのピアスの穴あけをはじめました

(この記事は2015年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


ピアス


皮膚科 部長  坂元 花景



 細菌感染の可能性もあるため、ピアスの穴開けは医療機関で行う方が安心です。

 医師が耳たぶに穴を開けます。ピアスは当院で用意している医療用ファーストピアス5種類からお選びいただきます。金属アレルギーをお持ちの方にも対応できる純チタンのピアスを使用しています(アレルギーが生じる可能性はゼロではありません)。また、耳の軟骨部や耳以外の部位への穴開けは行っておりません。未成年の方には、同意された親権者が付き添われている場合にのみ、施行いたします。ピアスの穴開け後の化膿などのトラブルは、保険で診察いたしますので御来院下さい。


ピアス

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帯状疱疹(ヘルペス)について

(この記事は2014年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)




皮膚科 部長  坂元 花景  


 ヘルペスという病気について、皆さんどこかで聞かれたことがあるかと思います。ヘルペスはウイルスの名前で、単純疱疹ウイルスと水痘・帯状疱疹ウイルスの2種類があります。単純疱疹ウイルスが原因の「ヘルペス」には、俗に「熱の花」と呼ばれる唇の周りの水ぶくれなどがありますが、今回お話しするのは、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因の「帯状疱疹」です。

 水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると、水痘(水ぼうそう)になります。ほとんどの方は子供の頃にかかるか、予防接種を受けておられます。一旦かかると、ウイルスは一生神経細胞の周囲に潜伏し、身体が疲れた時に活性化して増え、皮膚に赤みやブツブツを作ります。これが帯状疱疹です。

 帯状疱疹では神経の支配領域に一致して皮疹が出るため、赤みやブツブツは身体の左右のどちらかに帯状に出ます。どこに出てくるかは人によって違い、ピリピリとした痛みやしびれ、腫れを伴うことが多く、重症の場合は潰瘍化して痕を残します。四谷怪談のお岩さんは、帯状疱疹がモデルと言われています。また、ブツブツの中にはウイルスがいるので、水ぼうそうにかかったことがない人と接触すると、水ぼうそうがうつる可能性があります(帯状疱疹はうつりません)。

 帯状疱疹は痛い病気としても有名です。全く痛みがない人もいますが、通常は皮疹が出てから1週間が一番痛く、改善しても1ヶ月ぐらいは痛みが続くことが稀ではありません。皮疹より先に痛みだけが出ることもあり、その場合は診断が難しくなります。初期の痛みの原因は皮膚の炎症によるものですが、その後の痛みはウイルスによる神経障害が原因、つまり神経痛です。痛みは温めると楽になることが多いです。

 治療には、帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、痛みを抑える各種鎮痛剤、神経障害を改善するビタミン剤や、皮疹を早く治す塗り薬を使います。ウイルスは皮疹が出てからの3日間で一番増えるため、早めの抗ウイルス剤内服が治療の鍵になります。痛みが長引くのを防ぐためには、初期の痛みをしっかり抑え、痛くない状態を保つことも肝心ですので、なるべく早く受診し、治療を受けましょう。

 昔は、帯状疱疹には一生に1度しかかからない、と言われていましたが、最近は寿命が延びたことや生活環境の変化から、数十年後に2回目の帯状疱疹にかかることも珍しくありません(皮疹の部位は同じではありません)。疲れやすい季節の変わり目や、大きな病気をした後にかかることが多く、一番多い発症年齢は50 ~ 70 代ですが、10 代でかかることもあります。

 皮疹が顔に出た場合は、目や耳に合併症が起こる可能性があり、その場合は専門医にかかることも必要になります。稀ですが、重症化すると全身に皮疹が出たり、髄膜炎になることもありますので、これがヘルペスかな?と思ったら、皮膚科を受診してください。身体が弱っている時に出る病気ですので、帯状疱疹と診断されたら、治療を受けると同時に、休養を取ってゆっくり休むようにしましょう。


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顔の「色素性疾患」と「Qスイッチルビーレーザー」について

(この記事は2013年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 皮膚科部長 若林 浩子


西陣病院皮膚科では、日頃の外来診療において、顔の色素斑についてのご相談を受けることが、たびたびありました。顔については、人と接する際に印象を左右しますので、年齢、男女を問わず、関心があるかと思われます。

 色素斑と一言にくくられますが、成因は様々です。一見同じように見えるシミも長年の紫外線暴露による、炎症後色素沈着によるものから、皮膚癌の初期段階である、日光角化症もあります。日光角化症には、最近イミキモドという薬剤を外用することが有効であり、多発している場合も治療が簡便になりました。黒色の結節で、いかにも悪そうな顔をしていながら、良性である脂漏性角化腫と、ダーモスコープという特殊な装置で観察すると鑑別できる、基底細胞癌は、見た目は似ております。脂漏性角化腫は、麻酔の必要ない液体窒素による凍結治療で加療できますが、基底細胞癌は手術切除が必要です。稀ですが、悪性黒子、悪性黒色腫といったものがひそんでいることもあります。生下時や、若いころより存在する母斑性のものもあります。目の周囲に見られる青黒色の太田母斑や、茶褐色の扁平母斑などです。


 長年の紫外線暴露による、炎症後色素沈着や、太田母斑、扁平母斑の治療については、いままで、形成外科への紹介や、母斑用レーザーのある大学病院等に紹介させていただきご不便をおかけしておりましたが、当院でも、最新式のQスイッチルビーレーザーを導入いたしましたので、今後の診療に役立てていければと思っております。



 当院のJMEC社The Ruby Z1 Qスイッチルビーレーザーは、異所性蒙古斑、自転車の転倒時などに受けた擦過傷などの異物混入による外傷性刺青、太田母斑、扁平母斑には保険適応があります。当院のレーザー機種は、東洋人に多い、目の周りに両側性に見られる、遅発性両側性太田母斑にも保険適応があります。The Ruby Z1は、メラニンという黒色の色素に選択性の高い694nmの波長を持ち、アレクサンドライトやYAGレーザーより、周囲組織へのダメージを最小にして、色素の薄い病変でも鋭い反応性を持つことができます。カライドスコープにより、均等な強度のエネルギーを与えることができるので、治療ムラがでにくくなっています。


Qスイッチルビーレーザー 紫外線暴露による、炎症後色素沈着、老人性色素斑といったいわゆるシミには、保険適応がありませんので、まず、通常の外来を受診いただいて、ほかの治療が適切な疾患を除外した上で、別の日時に予約外来に来ていただく必要があります。レーザー照射後のアフターケアや遮光を適切にしないと、東洋人では再び炎症後色素沈着を起こしやすいので、きめ細かな説明もさせていただきます。


 皮膚癌については早期診断が大切ですし、レーザーが有効な治療であり、保険診療の適応である太田母斑や、外傷性刺青を治らないものとあきらめておられる方も多くありますので、ご紹介いただければと思います。色素斑が気になっておられる方もお気軽に受診ください。


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