NEWEST /    BACK >

デイケアのとりくみ -通所リハビリテーション-

(この記事は2012年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


石原 祐子 デイケア室 主任 石原 祐子

デイケア

大雪のニュースが流れ京都でも冷え込みの厳しかった2月初め、デイケアでは豆まきをして、この1年の福を祈りました。季節の行事やふだんのプログラムを通して、私たちがめざしていることをお伝えしようと思います。

1. 体も頭も心も使って―心身機能の維持・回復

 「手先がきかず身の回りのことがしづらい」「物忘れがふえた」「立ち上がるのがしんどい」…こんな悩みをかかえておられませんか?デイケアではそれぞれの方に合わせての個別訓練や作品作り、体操・音楽・レクリエーション・季節行事などの活動を行っています。1日を通して、みんなで楽しみながら、運動、認知、呼吸、嚥下機能などを高め抑うつを予防していけるよう、総合的に取り組んでいます。


2. 安心して暮らせるように―生活環境の調整

 食事、トイレ、おふろ、爪切り…。お薬の管理、買い物、そうじ、せんたく、ゴミ出し、火の始末…。ご不自由はありませんか?毎日の生活のごようすを教えていただきながら必要なお手伝いをしたり、工夫をお伝えしたり。ケアマネさんと連携して、住宅の改修、福祉用具やサービスなどをご紹介することも、大切なはたらきのひとつです。ご家族様からの相談もお聞きして、暮らしやすい環境づくりにつとめています。


3. 「生きていてよかった」と思えるひとときを―生きがいづくり

 人のお世話になることがふえて気分が落ち込み、ひきこもって心身が弱ってしまう方は少なくありません。わたしたちは、同世代の方と一緒に楽しくやりがいをもってすごしていただけるよう、たくさんのメニューを用意しています。


 このような取り組みの土台になるのは、あたたかい見守りの中、何でも相談できる場所です。「早くお迎えが来てほしい」と言っておられた方が、「あんたも長生きしいや」とお隣の方を励ましてくださる。「何もできなくなってどうしょう」と不安でいっぱいだった方が、「ここに来てると安心や。来週も来ような」と声をかけあっておられる。そんな姿に力をいただいて、職員一同、今日もがんばっています。


連絡先




| Copyright 2012,03,01, Thursday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

デイケアだより 転倒を防ぐための環境整備

(この記事は2009年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

デイケア室主任 作業療法士 石原祐子

 東京消防庁の統計(平成18年度)によると、ケガが原因で搬送された高齢者のうち、転倒・転落による人が78%にものぼるそうです。どのようにしたら、転倒を防いで安全に生活することができるでしょうか。
 転倒・転落事故の要因として最近注目されているのが、次の12項目です(中間浩一氏の研究による)。

(1) 転倒・転落事故の経験
(2) 中等度以上の認知症
(3) 多動
(4) 早足
(5) 年齢(85~89歳)
(6) トイレ使用
(7) 骨密度低下
(8) 不穏
(9) 便秘
(10) バランス不良
(11) 抗生物質
(12) 視覚障害


 運動能力だけでなく、認知症などによる不安やあせり、周囲の状況がわからないなどの精神的な面、また、便秘や尿意ががまんできなくて急いで動こうとするなど、排泄行為の影響もわかってきました。
 さらに、転倒・転落事故の発生場所として、施設、自宅とも、廊下や階段ではなく居室が70%をこえていることも見逃せません(前述統計)。
 最も長い時間を過ごす居室での転倒を防ぐために、次のような工夫が考えられます。参考にしていただければ幸いです。

(1) なるべく床に物を置かない。
(2) コード類は移動のじゃまにならぬように、すみに固定する。
(3) じゅうたんやマットは、端を固定する。
(4) 夜間は足元に常夜灯をつける。暗くてもスイッチが見えるよう、蛍光テープを貼る。
(5) 床はすべりにくく光を反射しにくい素材にする。
(6) 階段の端にはすべり止めテープを貼る。
(7) 敷居などの段差には段差解消材、ミニスロープを貼り付ける。
(8) いすやベッドの高さは、一般的には、ひざが直角になり足底がしっかり床につくように。
(9) よく使うものは、背のびしたりかがんだりしなくても取れるところに置く。


※デイケア(通所リハビリ)では、介護保険「要支援」「要介護」の方に、転倒予防のための運動を取り入れたプログラムを行っております。お問い合わせ・見学ご希望の方は、電話461-8800(代)からデイケア室を呼び出していただくか、直接、西館地下1階デイケア室までおたずねください。

| Copyright 2009,03,02, Monday 01:43pm administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

デイケアだより 看護の日 作品展開催

(この記事は2008年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

デイケア室主任 作業療法士 石原祐子

 5月10日(土)、新しくなった本館1階ロビーにて、恒例の「看護の日」の行事が行なわれ、今年もデイケアの作品を展示させていただきました。

デイケア作品1 今年初めて出品されるのは、かわいいネコとイヌのぬいぐるみです。縫製しにくい伸縮性のある布地を使ってていねいに作られており、「お店で売っているのより上等」と、人気を集めていました。階段状になった引き出し小箱は、とても牛乳パックでできているとは思えない作品ですね。作られた方も「我ながらなかなかの出来」と、とても気に入っておられます。

デイケア作品2 おなじみの革細工は、大きなかばんとポーチ。模様も染め上がりもきれいですね。くるみ絵は、お寮りや着物姿の女の子、ぞれに、雪昏の風景や赤富士と鶴の大作もみごとでした。

 書類立ては、ダンボールも利用してとてもがんじょうに、美しく仕上げられています。折り紙細エも、宝船、こけし、ドラゴンボートなど、作られた方の苦労が伝わってくる見ごたえのある作品ばかりですね。 出品してくださった皆様、見に来てくださった皆様、ありがとうございました。来年もお楽しみに。

デイケア作品3デイケア作品4

 





 デイケア(適所リハビリテーション)では、介護保険「要支援」「要介護」の方に、手工芸も活用しながら、体と心のリハビリを目的とした活動を行なっております。お問い合わせ、ご見学ご希望の方は、電話:075-461-8800(代)からデイケア室を呼び出していただくか、直接、西館地下1階デイケア室までおたずねください。


当日のイベントに関する記事です
    看護の日のイベント [2008年7月]

| Copyright 2008,07,01, Tuesday 09:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

老年期のうつについて-第3回

(この記事は2008年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


デイケア室主任 作業療法士 石原祐子

 前回は老年期のうつの特徴についてご紹介しました。今回は、ご高齢の方のうつの予防についてお話したいと思います。

 若いころには、「うつなんて関係ない」と思っていた人でも、年齢を重ねて病気や人との別れを経験する中で、うつの症状が出てくることがあります。うつの予防のために、生活の中で次のようなことを心がけてみてください。

1.生活のリズムをととのえる

 何もすることがないからと、体の調子がよいのに昼間から横になっていませんか? 昼と夜が逆転すると、うつの症状が出ることがあります。起きる時間、食事の時間を決め、規則正しい生活を送りましょう。また、できれば朝いちばんに明るい光をあびるようにしましょう。

2.体を動かす時間をつくる

 「体の症状や先々の心配事ばかりに気が向いて、1日中落ち込んでいた」と言われる方が多くおられます。体を大切にしながら、動ける部分はよく動かして活動性を高め、体力を回復し、自分の健康な部分に目を向けてゆくことが大切です。まずは1日5分でも、簡単な体操からはじめてみましょう。

3.人との交わりを積極的に

 高齢になるにつれて、親しい友人や家族と死別し、仲のよい人に会いに行くのもむずかしくなってきます。同じ年代の人との交流の場をさがして、できるだけ定期的に参加してゆきましょう。同世代のなじみの人と苦労を分かち合ったり、支えあったりすることで、おどろくほど元気を取り戻される方がたくさんおられます。

4.声を出す

 音読をすることが脳の活性化につながるということが、最近話題になっていますね。実際、黙読するのと比べて、脳全体が活発に働くようです。本を読む、声を出す、うたをうたうなどやってみてください。また、悲しい気持ちやつらい気持ちを心の中にとじこめておくと、心が不健康になりがちです。うつの予防のために、自分の気持ちをことばにすることも、ぜひおすすめしたいと思います。

5.自分の役割をさがす

 仕事も引退して、家のことも家族にまかせて、もう自分は 何の役にもたたないと思っておられませんか? 仏さんのお世話、せんたくものをたたむ、ご家族の健康を祈る、など、小さなことでも、自分にできる役割をさがしてみましょう。

6.相談できる人をもつ

 年齢を重ねると、ちょっとしたことで、だれにも相談できずに悩み続けて、心身ともに具合が悪くなってしまうということがあります。気軽に相談できる友人や窓口をもつこと、小さなことでも、遠慮せずに相談する習慣を身につけることを心がけましょう。

 デイケア(通所リハビリテーション)では、介護保険「要支援」「要介護」の方に、うつの予防と回復にも配慮しながら、体と心のリハビリを目的とした活動をおこなっております。お問い合わせ、ご見学ご希望の方は、電話:075-461-8800(代)からデイケア室を呼び出していただくか、直接、西館地下1階デイケア室までおたずねください。


(前回の記事です)
老年期のうつについて-第1回
老年期のうつについて-第2回

| Copyright 2008,03,01, Saturday 09:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

老年期のうつについて-第2回

(この記事は2007年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


デイケア室 作業療法士 石原祐子


 前回はうつのチェックリストをご紹介しました。今回は、ご高齢の方のうつの特徴についてお話したいと思います。

 「うつ」というと、一般的に「気分が落ち込み、何もしたくない憂うつな状態がつづく」というイメージをいだかれると思います。ところが、ご高齢者の方の場合は、「仮面うつ病」といって、体の症状の訴えが強いために、心の症状がおおいかくされてしまうことが少なくありません。たとえば、頭が重い、めまい、しびれ、肩こり、胃の不快感、便秘や下痢をくりかえす、食欲がない、眠れないなど、いろいろな症状がおこってくるのです。しかし、検査をしても特に問題がないことがあります。異常がないのに「病気である」と思いこんで心配されることもあります。体の症状にとらわれてうつであることを見逃してしまわないよう、注意が必要です。

 心の症状としては、悲観的になったりおちこんだりするよりも不安が強かったり、いらいらしてじっとしていられないという症状が目立つことが多いようです。

 もうびとつの特徴は、「仮面認知症」といって、認知症とよく似た症状があらわれることです。「急にぽんやりして、反応がにぶく、ものを忘れるようになった」ということで「認知症がはじまった」と思ったら、実はうつであったということがあるのです。

 うつによる「仮面認知症」は、次のような点で「認知症」と異なります。親しい人を亡くしたり役割と失うなどのきっかけが思い当たる場合が多い、症状は軽度の記憶障害が中心だが生活への影響が大きい、質問されてもすぐに答えられず「わかりません」「できません」との回答が多い、自分の物忘れを強く意識して強調される、などです。(ただし、認知症の初期にうつ症状が出ることもあります)うつが回復に向かうと、このような症状はなくなってゆきます。

 「うつ」は治療できる病気です。今述べましたように、ご高齢の方の場合は他の病気と区別がつきにくいことがありますので、気になられる方はぜひ、主治医や専門医にご相談ください。

デイケア(通所リハビリテーション)では、介護保険「要支援」「要介護」の方に、うつの予防と回復にも配慮しながら、体と心のリハビリを目的とした活動をおこなっております。お問い合わせ、ご見学ご希望の方は、電話:075-461-8800(代表電話)からデイケア室を呼び出していただくか、直接、西館地下1階デイケア室までおたずねください。

(前回の記事です)
老年期のうつについて-第1回

(続きの記事です)
老年期のうつについて-第3回

| Copyright 2007,11,01, Thursday 11:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

NEWEST / PAGE TOP /    BACK >

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACK


LINK

PROFILE

OTHER

POWERED BY

BLOGNPLUS(ぶろぐん+)