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胆石外来の開設について

(この記事は2010年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものを一部改編しています)





外科 医長 高木剛
外科 医長 高木剛





胆石症について

先ず、胆のうとは肝臓でつくられた胆汁(たんぱく質や脂質の消化・吸収を助ける液)を貯蓄する約30ccの小さな袋状の臓器です。胆石症は、胆のうの働きがなんらかの原因で悪くなり、その胆のうの中で胆汁が結晶を作ることで石ができてしまう病気です。胆石は下の写真のように、コレステロール・カルシウム・ビリルビン等の種々の成分からできています。



胆道系と膵臓の解剖
胆道系と膵臓の解剖


胆石症の症状は、石があるから必ずしも症状が出るわけでなく無症状で経過する場合が多いです。しかし、胆石症の約2割の方に症状がでるといわれています。典型的な症状は、脂肪の多い食事の摂取後に突然の上腹部痛、右季肋部痛が出現するのが特徴的です。痛みは右肩・背部にしばしば放散し、悪心や嘔吐を伴うことがあります。



摘出した胆のうと種々の胆石※写真はクリックで拡大します





治療方法

治療方法には、主に3つあります。


  1. 結石溶解剤[飲み薬]にて胆石を溶かす方法:体への負担は最も少ないのですが、溶かすことができる石には限りがあり、ほとんどの場合で無効です。

  2. 衝撃波による治療(ESWL):衝撃波で石を破砕するのに回数がかかり、時に破砕された石が細い胆のう管につまり胆のう炎を誘発することもあります。根治的治療とはならず、ほとんど行われておりません。

  3. 外科的治療:手術は一度で根治することができる方法です。


(3)の治療方法をご紹介します。




  • 腹腔鏡下胆のう摘出術

    現在、胆石症の治療の主流となっている方法です。全身麻酔のもと、通常は臍下と上腹部に計3~4個の小穴をあけおなかの中(腹腔内)に二酸化炭素を送気(気腹)した後、テレビモニターにつながったカメラ(腹腔鏡)を腹腔内に挿入し、映った画像を見ながら専用の手術器械を駆使して胆嚢を摘出します。手術所要時間は、状態にもよりますが1時間前後です。開腹胆嚢摘出術より創部がかなり小さい分、痛みも軽度で回復も早く傷もほとんど目立ちません。合併症がなければ手術後2~7日で退院可能です。また、当科では昨年秋より臍部一箇所の創のみより手術を行う単孔式腹空鏡下胆嚢摘出術を炎症の程度に応じて行っており、術後傷跡がほとんど目に見えず、患者様に喜ばれております(これについては、こちらでご紹介しています)。ただし、腹腔鏡下胆のう摘出術を開始しても、以下の理由などで途中から開腹胆のう摘出術に移行する場合があります。

    • 胆のうの炎症が強かったため周囲臓器との癒着が強い

    • 術中に出血、胆管損傷・腸管損傷が発生し、対処が困難(頻度はまれです)など




  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術





    腹腔内画像
    (胆のう摘出前)
    胆のう摘出後



  • 開腹胆のう摘出術

    最初から開腹手術を行うことはあまりないのですが、開腹手術の既往や炎症などにより癒着がかなり強いと予測される場合、また癌の合併している疑いが強い時は10cmほど切開する開腹術を行います。




手術後の経過

胆のうを摘出しても胆のう欠損症状はほとんど認められませんので、術後の食生活は今まで通りで構いません。退院後は、術後の経過を診るため1~2回外来受診して頂くことが多いですが、その後の定期受診は必要ありません。




胆石外来の開設について
当科では多数の患者様のご要望により、本年3月1日より夜間診療(月~金)の時間帯に胆石外来を併設いたします。胆石症でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。

| Copyright 2010,02,24, Wednesday 12:28am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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