診療に関すること::薬剤部
新年なので初心に帰って薬の飲み方についてのお話です
(この記事は2012年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤部 薬剤師 中野葉子 |
病院でもらう薬のほとんどは「食後」に飲むように薬袋(やくたい:薬が入っている袋)に書かれています。普段何気なく飲まれていますが、実は薬を「食後」に飲むのには昔から次の2つの理由があると言われています。
ひとつめは『飲み忘れ防止』です。条件反射として食事の後には薬!と食習慣と服薬を関連付けておくと、便利でかつ間違いのない方法だと考えられてきました。
ふたつめは『胃粘膜の保護』です。錠剤やカプセルの中にある薬の成分は、胃の中で溶け出して腸で吸収されます。薬が溶け出す時に胃の粘膜を刺激すると考えられているため、食後に飲む方が刺激を抑えられます。
「食後」とは「食事を終えて30分」という意味ですが、「食事の30分後に服用しないと!」と30分間時計を眺めなくても大丈夫、30分以内に服用すれば問題ありません。また、食事をしない時も、食事をするような時間帯に飲んでください。特に血圧の薬などは食事に関係なく、一定の間隔で毎日規則正しく飲み続けることが大切です。
ただし、糖尿病治療のための血糖値を下げる薬に関しては、食事を摂らなかった場合は薬を飲まないのかどうか主治医に相談してください。特に、「食直前」や「食直後」などのように食事に関連した飲み方が記載されている場合は、それを守らないと低血糖などの重大な副作用をきたす場合があります。
また、「食間」に飲む薬は「食後」に飲んでも吸収が悪く効果が出なかったり、「食直後」に飲む薬は食べ物がないと吸収されにくいため空腹時に飲んでも効果が出なかったりします。このように、「食後」以外に細かく指示された飲み方にはそれぞれの理由があるので、飲めない時や飲み忘れた時の対応については薬剤師に相談しましょう。
薬袋に書かれた飲み方で、どうしてもその時間に飲むと不都合があったり、忘れてしまう、などということがあれば、医師または薬剤師に相談して下さい。
薬と良い関係を築いて、今年も良い一年をお過ごしください。
| Copyright 2012,01,01, Sunday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |