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安全 安心 よりよい術後

(この記事は2013年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


麻酔科 部長 中川 博美


 明けましておめでとうございます。西陣病院に赴任させていただいてから早15 年が過ぎ、現在では麻酔科医師は3 名に増加し、昨年は当初の3.5 倍以上の850 件を超える手術が麻酔科管理の下で行なわれました。地域柄、手術を受けられる方の約3 分の2が高齢なため、手術の対象となった単一の疾患で受診される方はごく稀で、高血圧・糖尿病・脳梗塞・心不全・腎不全など様々な疾患を抱えていらっしゃる方がほとんどです。麻酔と全身管理で手術を受けておられる方の安全を守る麻酔科が慎重な麻酔・全身管理を心掛けることはもちろんのこと、適切な術前評価を行手術前から積極的に周術期管理に関与することがますます重要となってきています。幸い、近隣の先生方の温かいご支援と院内の各診療科間の綿密な連携、そして、コメディカルの迅速な協力によるきめ細かいチーム医療に支えられ、高齢・重症な方の麻酔・周術期管理もより安全に行うことができるのも、多くの皆様方のおかげと深く感謝申し上げます。

 近年、麻酔薬や麻酔関連機器の進歩だけでなくEvidence basedmedicine( EBM)の発展により、麻酔が手術の短期のみならず中・長期予後にも影響を与えることが解明され、より安全でより適切な麻酔・周術期管理の指標が明らかになりつつあります。当院でも、術後の早期回復に寄与するといわれている超短時間作用型麻酔薬や術前経口補水療法などを積極的に取り入れ、手術予後の向上を目指しています。また、かつては微妙な針先の感覚のみにたよっていた末梢神経ブロックも、今や超音波ガイド下により安全かつ確実に施行できるようになり、全身状態の芳しくない方の手術の際にも威力を発揮するようになってきました。加えて、今後ますます増加が予想される高齢な方の手術予後の改善に向けて、麻酔科の術前評価の重要性を検証する取り組みも始めました。

 よりよい術後を目指して、これらの新しい麻酔・周術期管理に関する知識と技術の習得のため日々研鑽を重ね、その結果を検証し、高齢・重症な方でも安心して安全に手術が受けられるように微力ながら力を尽くして参りたいと存じます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。


| Copyright 2013,01,01, Tuesday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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